第9話 お父さん強い!!

「乗客全員降りてこい!」

 盗賊が、大声で命令して居ます。


「ナユタ君アソウギ君、ソファーの下に隠れて!」

 シーシャさんが叫んでいますが、お父さんと離れて隠れる事はかえって危険と思い僕は言いました。


「いや!一緒に降ります」「…うん、その方が良いか」

 お父さんとシーシャさんを先頭に、お母さんの後をアソウギ君と降りました。


「金を全部置いて行け!!それと、アソウギは返してもらう」

「ん?」盗賊の中に、飲んだくれ親父が居るようです。


 突然お父さんが飛び出して、盗賊に殴りかかりました。

「ぎゃっ」

 悲鳴をあげて、先頭の盗賊が吹っ飛びました。

 お父さんは、吹っ飛んだ盗賊が落としたこん棒を拾うと、次々と盗賊をぶん殴って行きます。

「お父さん、凄い強い!!」

 お父さんは、たった一人で10人の盗賊をやっつけて仕舞いました。

 シーシャさんとお母さんは、倒れた盗賊を素早く後ろ手に縛って行きます。


 盗賊全員縛り終えた頃、鉄道公安が馬で駆け付けて来ました。

 縛って転がってる盗賊を見て、安心したようにお父さんに言っています。

「強盗逮捕、ご協力有り難う御座いました!」

「アルタどの、王都で公安総監表彰が有りますよ」


「公安官さん、盗賊はどうなるの?」

「鉄道強盗は、縛り首にします」

「縛り首って殺されるの?アソウギ君!良いの?」

「……」アソウギ君は、涙を流しながら無言で耐えて居ました。



「ま、待ってくれ!縛り首なんて、冗談じゃねえ!!」

「おいアソウギ、助けるように言え!!」


「往生際が悪いぞ!縛り首は確実!キサマ等はそれだけの悪事を行った!王室特別列車を襲ったのだからな!!」


 公安官達は憔悴しょうすい項垂うなだれた強盗を引っ張って、ションベン町に帰って行きました。

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