第10話

「えー、魔法使い。先に俺がこのゴミをどうしたいか、話しとくな」


「はぁい…納得できる気がしないけど、聞いてみまーす…」


聞く前から納得できる気がしないかぁ…。

でもさすがにそろそろ疲れてきたんで、すんなり話が決まって欲しいです…。


「まず、殺すのはナシで」


「ぶぅー…」


案の定、魔法使いから唇を尖らせての不服アピールが入りましたね。


「ぶ、ぶぅー…!」


おやおや、どうしたんだい嫁(仮)?

魔法使いの真似っこ?

かなりあざといぞ?

そんな事されたら、下半身に血が回っちゃうんだけど。


「…ま、魔王様。あ、あたしは殺した方がいいと思うんだけど…」


あ、やっぱ優しい嫁(仮)ですらそう思う?


「だよねぇ剣聖!! こんな全女の敵みたいなゴミを生かしておいたら、またわたしや聖女みたいな被害者が増えるだけだもんねっ!!」


「…うん、邪神とか、ハメられたとか、あたしにはよくわかんないけど…みんなを傷つけたそのゴミを、許してあげるのは嫌だ…。聖女だって、オカしくなったままで…」


「…う…ひ…♪ ケ…ツメ…ド…ホジ…ホ」


「…さっきから聞こえてくる聖女の寝言、尻の穴の事ばっか言ってるんだけどぉ…。ねぇ旦那様、あのゴミがヤらかしたせいで、他にもいっぱいこんな女の子がいるかもしれないんだよぉ? やっぱりゴミには、死をもって償わせないとぉ…」


ま、当然女性陣としては許せんよなぁ。

俺だってゴミが同郷だとか邪神とかそういった話がなければ、何も考えずに魔法使いの好きなように殺させてあげてたもの。

今はゴミに、ちょっとだけ思うところがあるので…何も考えずに殺すってのは避けたい。


「まぁ話は最後まで聞け。俺としては殺すより、生かして長い間罰を与えた方がいいと思うんだよ。それに万が一だけど、殺したらあのゴミがまた邪神に会っちゃったりで、今度はパワーアップして戻ってきたりとかやられたら嫌じゃん。なんか俺達ってあのゴミに逆恨みされてそうだし、そうなったら絶対狙われるでしょ」


「うーん…邪神かぁ。神様に邪神の事をお願いされた旦那様がそう言うなら、殺さないのは、仕方ない…事なの、かなぁ…?」


お、もう一押しで殺さない方向にいけそうだぞ。


「ねぇ魔王様。長い間罰を与えるって、どんな罰なのさ?」


そこ気になるよねー。

一応はどんな罰を与えるか、考えていましたよ。


「えーと、俺が考えてた罰ができるかは、魔法使い次第なんだけど…」


「旦那様ぁ♪ わたしにできる事ならなーんだってしてあげるから、遠慮なく言ってねぇ♪」


「わかった。んじゃ、どんな罰を考えていたか説明するぞ。まず、ゴミがイカ臭い力を使えなくなるように、精液作成工場のキャンタマを切り落とします」


「それはいいねぇ♪」


「賛成」


「ムッグヴヴゥゥッ!!!」


うっせぇなぁ。

ちゃんと命は助ける方向で話を進めてやってんだろうが。

文句のムグりなんか聞きたくありません。


「魔法使い、ゴミを黙らしといて」


「はーい♪ 痺れろぉ♪」


「ムムムムムムムムムムムム…」


…なんかゴミが小刻みにビクビクしだしたんだけど…もしかして軽く電気でも流してる?

まぁいい、死なない程度ならヨシ。


「んでその後なんだけど…。魔法使い、ゴミがキャンタマを薬や魔法で再生できないように、阻害する事ってできたりする?」


「できるよぉ♪ 簡単には再生できないように、全力で呪いの魔法をかけちゃうんだからっ♪」


…ぶっちゃけその呪いの魔法、俺が足を切り落とした時にも一応使う気だったでしょ?

俺に魔法があまり効かないとはわかっていてもさ。

ま、もう許した事だからどうでもいいけど。


「それと魔法使い、お前キッツい洗脳はできたりする?」


「時間さえくれれば、ドギツイ洗脳薬を作れるよぉ♪ 人格が崩壊しちゃうから、ゴミの力みたいに使う事は無理だけどぉ♪」


ふむふむ、この魔法使い有能である。

洗脳さえされていなければ、しっかり勇者パーティで仕事をしてくれた事であろうよ。

俺ばかり頑張る必要も無かったのかもしれない。


あ、剣聖は一応勇者パーティでもちゃんと頑張ってたよ。

俺の下位互換過ぎて、仕事が回ってこなかっただけで。


「よし。んじゃその後は…男好きな偉い魔族っていないかな? 魔王就任がてら友好の品って感じで、好き者な男の娘肉便器を送ろうかと思ってるんだけど。あ、出荷前に傷がつかなきゃ、魔法使いが好きに拷問してもいいからよ」


「キャハハハハ…♪ それ、凄くいいねぇ♪ あ、そうだぁ♪ もし偉い魔族がいなかったら、ゴブリンのおもちゃとかにしてあげようよぅ…♪ 剣聖もそれがいいと思わないぃ…?」


「え、あ、う、うん…。いいんじゃ、ないかなぁ…?」


ニマニマと笑みを浮かべる魔法使いと、若干引き気味な嫁(仮)。

ま、これでとりあえずゴミの件は終わりでいいだろう。

一段落ついて良かったね。


「…さてと、それじゃ…」


これから次代の魔王としての挨拶回りとか、色々とやらなきゃいけない事は山積みだけど、その前に……。


「も、もっ…こり……あ、ぬ…す…♪」


涎を垂らしながら、イイ夢の中へと旅立ってしまっている性女を、元の聖女に戻さねばなるまい。

このままじゃ哀れすぎんだろ。


「なぁ魔法使い。頭がオカしくなった人を治す魔法とか薬ってある?」


「ゴメンね旦那様ぁ…。頭をオカしくする事は余裕でできるけど、治す方は専門外だから無理ぃ…」


「だよなー」


回復までイケたら、回復役の聖女が勇者パーティにいる必要性無くなるしねー。


「…そういうのを治す専門職の聖女が、頭オカしくなってるんだもんね…」


それな。

洗脳やレイプの心の傷を、専門職の自分でどうにか出来なかった結果がこれだし。

俺の奇行がたまたま聖女のメンタルにトドメを刺しただけで。


「…あ、そういや聖女にかかった洗脳ってまだ解けてないっぽいよな? ゴミに洗脳を解かせたら、多少は聖女も良くなるかも…」


「そっか!! じゃあ早くあのゴミに洗脳を解かさせないとっ!! 魔法使い、ゴミと話が出来るようにして!!」


…ゴミが洗脳を解く代わりにーとか、聖女は人質ーとか言い出さなきゃいいけど…また脅したりすんの面倒だし。


「うーん…それはちょい待ちでぇ」


「なんでさっ!?」


うん、なんでよ?


「手っ取り早く聖女を治せるかもしれない方法を思い付いたから。それをすれば洗脳も確実に解けるしぃ、今後の為にもなるかなぁって」


「えっ、本当っ!?」


ほほぅ?


「そりゃどんな方法だよ?」


「えっとぉ、聖女に魔王の核を取り込ませればいいんじゃないかなぁーって。頭っていうか、メンタル? までは治るかわかんないけど、洗脳は確実に解けるよねぇ」


「なるほど」


ちょうど一個余ってるし、確かに手っ取り早いな。


「ていうか聖女も魔族にしとかないと、可哀想な事になりそうじゃん。わたし達ってこれから魔族として魔王領に住むんでしょ? 聖女だけ人間のままじゃ、色々とキツいんじゃない? 上手い事人間のまま聖女を治して、それから王都に帰したとしてもさぁ。勇者を魔王にした罪とか言われて、絶対に殺されると思うしぃ…」


確かに…魔法使いの言う通りだわ。

俺ってば聖女を治した後の事、全然考えてなかったね。


「魔法使い、お前がいてくれて良かった…。これからも末長くよろしく頼むぞ」


これから魔王としてやってくのに、やっぱブレーン担当は必要だと思うんです。


「…はい♪ わたしの全てを、旦那様に捧げます…♪」


いえ、全部は捧げなくていいです。

つーか魔法使い、あんたチョロすぎじゃない…?


「むぅ…プ、プロポーズされたのもっ!!

は、孕むのもあたしが先なんだからっ!!」


「えー♪ 孕むのは旦那様次第の運次第でしょお?」


「じ、じゃあ、絶対に孕む薬とか作ってよっ!!」


「んー…避妊薬は簡単に作れるんだけどねぇ…。ま、正妻の為にも、頑張って作ってみるよぉ♪」


「うんっ!! よろしくねっ!!」


…君達、なんだか楽しそうね。

…とりま嫁(仮)とは後でじっくりと、しっかりと、しっぽりと今後の事をお話しよ…。


「あ、ぬ…んあぁ? …ここ、どこぉ…?」


お、聖女が良いタイミングで目を覚ましましたね。

ここどこぉとか言ってるあたり、まだ頭はオカしいままだと見える。


「あ、聖女♪ おっはー♪」


「…お、おはよう聖女…」


「ひゃい!! おっぱいはようございますよぉ!!」


やっぱりね。


「…そ、そっかぁ。うん、良いおっぱいで良かったね…」


「ですです。ぱいおつかいでーですよ、ほんと。くんかしましゅ? しりとちがってくさくないお?」


「あはは…くんかは、しないかな…」


「んじゃくんににしましゅ?」


「…それもしないよ」


「うっわ…思ってたよりもキッツいなぁ…。旦那様、早いとこなんとかしてあげてよぉ。見てらんないって…」


「うん、そうだな…」


完全に駄目だコイツ、早くなんとかしないと状態だもんな。


「ハァ…聖女、今すぐこれを飲み込め」


「ほよ?」


血や謎の汁で汚れた聖女の手に、核を乗せる。


おっさんもう精神的に疲れちゃったんでさ、さっさと核を取り込んじゃってくれな…。

それを取り込めば、お互いにきっと楽になれると思うから…。


「りょーかいでしっ!! このくらいのモノなら、なんこだってのみこめましゅ!!」


しゃがみこんで核を持った手を、尻の方に持っていく聖女…。


「…魔王様、止めなくていいのかな?」


「…取り込めれば、別にどこでもいいんじゃない?」


「…まぁ、剣聖も傷口から取り込めたんだしねぇ」


「ん…♪ …うひ♪ こんなんじゃじぇんじぇんたりないおー♪ もっともっともってこーい♪」


足りなくてゴメンなー。

でもその分、威力はヤバめだと思うから…。


「…あり? にゃんか、おしりのなかが…なかがっ!? なかがぁっ!!? んほ…んほぉぉぉぉぉぉぉぉ…!!!!」


…倒れこんで口から泡吹きながら、白目剥いてビクビクと痙攣して失神する聖女。

目が覚めて頭が治っていたら、オカしくなってた時の発言を覚えていなきゃいいね…。

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