第5話
「……ッハゥア!?」
うぐっ…どうやら意識を失っていたみたいだ…!!
ヤバい!!
裏ボスの状態はどうなって…!?
「むげんのかなたにっ!! さあイキましょう!! れっつらずぽずぽっ♪」
…目を覚まして最初に飛び込んで来た光景が、目の前で地面に突き刺していた俺の剣の持ち手に発情中なイっちゃった聖女…。
「コラッ!! それを突っ込んじゃいけませんっ!!」
俺の剣の貞操を勝手に奪おうとしてんじゃねぇよ!!
盛り上がっているとこ悪いが、この剣は回収させてもら…うわぁ、なんか持ち手がベタベタしてるぅ…。
何汁だよコレぇ…。
…ま、まぁいい。
裏ボスはまだくっつき中で、意識を失っていたのはかなり短い時間だったみたいだし…。
「およっ…♪ いけめんまぞくのおじさま♪ おまたにつけたしゅごいぼー♪ いっぽんわたしにくださいなぁ♪」
…俺に対して、イケメン魔族のおじさまだと?
まさかババアが言っていた通り、体が魔族に変化したというのか!?
よく見たら足もバッチリと生えてるじゃん!!
「うぅ…あたし、まだ生きて…」
「っ!! 目を覚ましたのかゴリせ…」
「…っ!? なんで魔族が!? 勇者様はどこっ!?」
…誰デス?
この青い肌したぷにぷにのエッロい肉体なチャンネーは…。
サイズが合わなくなったのか、ビキニアーマーはずり落ちてほぼ全裸だし…。
ヤバ、俺の下半身に血が集結してき…おやおや、ちょっとみないうちにムスコったら、イカつい見た目になった上に引きこもりまで解消しちゃって…父は嬉しいぞ!!
…いや、今はムスコの事はまず置いといて、自分が勇者だという事をゴリ…いや、エロボディな剣聖に伝えなきゃだよ。
「…えーと、俺が勇者なんだけど…」
「…っ!! 魔族ぅ!! 自分が勇者様なんて嘘をついたあげくに!! そんなモノを大きくしてっ!! あたしにナニをするつもりよっ!!」
「わたしもまじぇてくだちぃ!!」
…ナニもしねーよ。
つーか悪ふざけでもしてからかったら、くっころ発言でも飛び出しそうだなコイツ。
そして性女となった聖女は黙っとけ。
「…これが大きくなったのはエロい体を晒している剣聖が悪い。自分の身体を確認してみろって」
「あたしの身体…? っうぇ!? なんじゃこりゃあ!!? 肌青っ!? 筋肉がちゃんとおっぱいぃっ!?」
それな。
ゴリ聖の時はおっぱいというより大胸筋だったしね。
ビキニアーマーもどっちかっていうと、大胸筋矯正サポーターって感じでしたから。
「時間が無いから簡単に説明するぞ。このままだと死ぬから先代魔王の霊的存在の助言に従って、魔王の核とかいうブツを取り込んだ勇者の俺と剣聖は魔族になりました。おけ?」
「へぃ!? 嘘ぉ!? いやでも、確かに勇者様の面影があるよ!? でもフサフサで良い身体だよ!? いやいやでもでも、あたしもエッロッいよ!? やっぱりこの魔族が勇者様!? 」
まぁ普通はすぐに受け入れられないよね。
俺は生まれ変わったボディにテンション爆上がり中だけど。
ババアに感謝感激雨あられ。
一段落ついたら盛大に弔ってやるからな…。
日本式の南無阿弥陀仏な感じに。
『い゛っヂョめ゛!! に゛っヂョめ゛!!
あ゛ゥ゛お゛!! 』
さて、裏ボスもほぼ復活したようだし…そろそろ決着をつけるとするか。
戦いと…フッ…恋にな。
うっしゃ、予定を前倒しして、テンション爆上がりの今プロポーズしたろ。
「…なぁ剣聖。俺この戦いが終わったらお前と結婚したいんだけど、ダメ?」
「うぇ!? け、結婚っ!? 勇者様と!?
あたしなんかが!?」
「ダメか?」
「ダ、ダメなわけがないよ!! あたし勇者様が大好きなんだけど!?」
「…ま、ぶっちゃけ俺はもう勇者じゃなくて、おそらく魔王って事になるんだけどな。勇者じゃなくて魔王な俺でも、剣聖は俺を大好きって言ってくれる?」
「ど、どんな姿だってあたしのこの気持ちは変わらないよっ!! 大好きっ!! 魔王様と結婚するぅ!!」
「じゃあ、その…結婚しような」
「はいっ!! 喜んでっ!!」
よっしゃオラァ!!!
恋に関しては決着ぅぅ!!!
「はいはーい♪ わたしもまおーさまとけっこんすりゅう♪」
…この戦いが終わったら、このイっちゃってる性女をどうするかも決めなきゃ…。
嫁(仮)は殺して楽にしてあげるのには、絶対反対するだろうしねぇ…。
「…えと、聖女。確かに正式な婚約者は聖女だったけど…正妻は絶対にあたしだからねっ!!」
「いーよー♪ さんにんでシよーねー♪」
「ならよし!!」
…あの、勝手に話を決めないで欲しいんだけど…。
ま、まぁその辺は後で話し合うとして、今は裏ボスをさっさと倒してしまおう。
多分、今の生まれ変わった俺なら血の一滴すら残さず滅却できると思うし。
『り゛アヂュバ!! ヂョめ゛ェェ!!!』
復活した裏ボスの何故かわからんが凄まじい怒りが込もってそうな、大量卑猥触手攻撃!!
「魔王様っ!! きたよっ!!」
「わぁ♪ いっぱいふとくてながいぼーきた♪」
「任せろ!! これで仕留めるっ!! 超絶勇者波改め…超絶魔王…波ァァッ!!」
という名の、手から大量の魔力的なモノを攻撃として放出するだけの技。
ぶっちゃけ単に自由自在に動かせるデカいビームです。
なんとなく魔力出すだけのに技名をつけていただけなので、超絶魔王破も超絶勇者波となにも変わらないと予測していたんだけどね。
魔族になったからか、ビームの色が勇者的な輝く白から魔王的なドスい黒に変わっておられる。
なんとなくでも名前を変えたかいがあったわ。
『ヂョめ゛ェェイ゛!!!! あ゛ッ…イ゛っ…ぐ…ゥ……』
手応えありっぽい!!
だがデカいビームをそこら中に撒き散らしたせいで、辺りが煙や砂埃なんかで包まれている。
こりゃちゃんと目視で確認しないと、確実に仕留めたかどうかは謎だな。
「殺った!?」
嫁(仮)のお約束なフラグ立て。
まぁ立てたフラグ通り、今ので殺れてなくてもいいけどね。
キッチリ滅却完了するまで、ビームを何発でもブチ込んでやるだけよ。
さぁ、視界が良くなってきたぞ。
「どれどれ…あぁん?」
なんか床にべちゃべちゃと落ちている肉片の他に、青い肌をした2つの全裸ボディが転がってんだけど…。
あっ、魔王の核も落ちてる!!
核が単体で落ちている様子を見るに、核が付いていたババアの頭は滅却されたっぽいな。
「あれは…魔法使いと荷物持ち!? アイツ等も魔族になったの!? 勇…魔王様っ!! どういう事!?」
どういう事って聞かれても困る。
俺だってどういう事なんだか説明して欲しいわ…。
(フェッフェッフェッフェッ!! 説明してやろう!!)
「そ、その声はババア!! 成仏してなかったのか!?」
「えっ、ババア…成仏? ま、魔王様? いったい誰と話して…」
「ゆうしゃさまもー♪ まおーさまもー♪ げんかくおなおなー♪ しこしこー♪ ずぽずぽー♪ しこずぽぴゅっぴゅっぴゅー♪」
「剣聖、今俺は先代の魔王の魂と話している。この状況を説明してくれるらしいから、そこのうるさい性女の口を塞いでおいてくれ」
隣で狂った発言を繰り返されてたら、話に集中できんわ。
「わ、わかった!! …聖女、邪魔しちゃだめだよ。静かにしなきゃ」
「うひひひひひひ…♪ こえをがまんするのむりー♪ おもいっきりあへりたいなー♪」
「…さっきから思ってはいたけど…。聖女、なんかおかしくなってない…?」
「のーぷろぶれむっ♪ へーじょーへーじょー…あひゃひゃひゃひゃひゃ♪」
「…まさか、聖女…グスッ。ごめんね…ちょっとの間だけ、口を抑えさせて貰うよ…。大丈夫、きっと魔王様がなんとかしてくるから…うぅ…」
…泣くな泣くな。
聖女がそうなったのは自業自得なんだし。
ハァ…なんとかできっかなー、ソレ…。
(…そろそろ説明を始めてもいいかえ? さっきと違って、今はガチで成仏寸前なんじゃよ)
「おう。ならサクッと説明頼むわ」
(うむ。あの異形と化した二人…勇者コロリじゃったか? その訳がわからん薬では死んでいなかったようじゃな)
勇者ポロリだよ。
まぁ、どっちでもいいけど。
「ふぅん、あんだけ体液フェスティバルしてたのに?」
(じゃよねー。だからわしも訳がわからん薬と言っておる。しかもあの薬に反応して、わしの額についてた魔王の核が暴走しちゃっとるし。ぶっちゃけ死に際の戦いでわしの核の魔力をほとんど使いきってなかったら、もっとヤバい異形になっていたと思うぞい)
なにそれ怖い。
「…まぁそこは終わった事だし別にいいわ。でもなんであの二人も魔族っぽくなってんの? つか、何であんだけ切り刻んだのにボディが無事なんだよ?」
(そりゃ一時的にとはいえ、奴等も魔王の核を取り込んだんじゃもん。身体が魔族に変化するのも仕方あるまい。ボディが無事なのは…運が良かったんじゃないかの? お主の勇者としての最後の攻撃でバラバラになった異形が全力で体を回復、何故か二人の体もしっかり回復、そのタイミングで上手いこと魔王の核が異形の体から吹き飛んだ的な…? 残った肉もピクリともせんから、あの薬の成分ももう残ってはおらんようじゃし…。おそらくあの薬の成分は、全部あの触手に回されてたんじゃないかの? 最後に異形の大量の触手を超絶、ブフッ…ま、魔王波じゃったかで、薬の成分ごと全部消滅させる事ができたんじゃないかと思うぞい…)
…人の必殺技名を笑ってんじゃないよ。
俺も知らない誰かが超絶とか叫んでたら笑っちゃうと思うけどさぁ…。
あと説明が長い。
「…まぁいいや。つまり色々ラッキーでしたって事でおけ?」
(おけじゃ。それではわしはそろそろ成仏するぞい。爺さんが迎えに来とるでな)
「そりゃさっさと成仏するべきだな。爺さん待たせちゃ悪いし」
(うむ。最後に、残ったわしの額に付いていた核じゃが…。次代の魔王として、ちゃんと管理するんじゃぞ?)
「あいよ」
(フェッフェッフェッ♪ では次代の魔王よ、バッハハーイ…♪)
「…バイビー、先代…」
…今度こそ成仏したか。
今更だが、あんた何年代の日本人だったんだろうな…。
1000年前に魔王とかなんとか言ってたし…。
この世界と元の世界の時間の流れって、どうなってんだろね。
「…ううっ…なんか…気持ち、悪っ……」
お、どうやら魔法使いが目を覚ましたみたいだな。
さてさて、どう断罪するか…。
絶対に嫁(仮)が殺すなって言いそうだしぃ…。
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