拳で戦ってたら死にたがりだと思われてた件

田中太郎

第1話

 俺の名前は児玉太一、所謂異世界トリッパーだ。異世界にきて約3年、この世界で俺は戦闘狂の死にたがりとういことになっているらしい。

「なんでや」


 この世界に来て2年と8ヶ月が過ぎた。冒険者としても中堅と呼ばれる程度には名前が知られてきた。そんな俺の耳にとある噂が流れてきた。なんでも例の死にたがりが、国お抱えの騎士団に目をつけられているらしい。そんな噂だ。


「なあおやじさん、死にたがりってしってる?」

「は?そりゃお前さんの事だろ。」

「え?」

「おいおいお前さんもう何年も前からそう呼ばれてるのに気づいてなかったのか?」

「嘘だろ。」


 空いた口が塞がらないとはまさにこの事、他人事で聞いていた噂話が自分の話題だったとわ。今朝話してから日が暮れようと未だに信じられない自分が居る。


 日が沈み酒場で1人酒を煽りながらあの噂話について思い出す。

「死にたがりか、ねえミレイさんも俺の 聞いたことあったの?」

 カウンターの前に立つバーテン服の女性ミレイさんに声をかける。


「そうね噂程度には聞いてたわよ。ソロの冒険者なんてそうそういないしね。でも名前が売れて良かったんじゃ無いかしら、個人で依頼が来るのも遠くないんじゃない?」

「いやいやこんな不名誉な名前の奴に誰が依頼なんて出してくれるんですか。ギルドでもやけに避けられてる理由がわかりましたよ。こんなのって無いよ。」

「すみません、児玉さんですか?」

 

 ミレイさんとの会話を楽しんでいると声をかけられる。振り返ると見知らぬ青年が立っていた。これが俺とグレイの初めての出会いで、これからオレが巻き込まれていく物語の始まりでもある。













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