【累計PV18000突破に感謝!】【現在一時休載中】異世界帰還者の事情 第一章 異世界帰還者が異世界へ行く前の事情【2024年夏までを目標に再構成版を発表予定】

ほんごうあるじお

第1話 天木家の朝の風景 その1

※これから本編を読まれる方へ

 この作品は、2021年11月4日から2023年10月4日までの約2年間に、このサイトで投稿された作品ですが、現在は作者の個人的都合により、一時休載中です。

 一時休載中ですが、現在作者によるブラッシュアップが行われ、今後、再編集版が投稿される予定です。

 作者自身は、再編集版の発表を、2023年内を目標にしておりますが、予定ですので、その限りではありません。果たされないこともありますので、悪しからずご了承下さい(苦笑)

 また、再編集版が投稿された時点で、この旧版は全話削除を予定しております。そちらも合わせてご了承下さい。

 では、どれぐらいの方がお待ち下さるのか分かりませんが、次は再編集版にてお会いしましょう~

 ああ、でも、近況ノートなどは、なるべくて定期的に更新しようと思いますので、そちらの方もよろしくお願いします~

 では、いずれ削除予定の期間限定掲載作品ですが、楽しんでいただければ幸いです~(^^)


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「おめざめ朝日です、ただいま六時五十三分、次はお天気のコーナーです」

 居間のテレビから、短いエレクトーンでのメロディーの後に、現在時刻と次のコーナー案内が流れる。

 物心ついた時から馴染んでいる、いつもの朝の風景だった。

 通勤着の上から黒のエプロンを着けた十八とおやは、おかずを盛った皿を食卓に並べると、チラリと画面に目をやる。

 ニッキーさんによると、今日も一日晴天の洗濯日和になるらしい。

 その後、居間を横切り、階段に向かう。

 目指すは二階の子供部屋。

 トントントンと木目の踏み板を鳴らし、最初の部屋へ。

 正面に「はるか」と書かれた可愛いプレートのかかる扉を開ける。

 洋間六畳の部屋の中央には、折りたたみ式の小さなテーブル。

 その奥には学習机とカラーボックスが据えられていた。

 そして、部屋の左半分にはシングルベットが置いてあり、その上で小さな女の子が、手と足を少しはみ出して眠っていた。

「はるかー起きなさーい、もうすぐ七時になるよー」

 学習机の後ろにあるカーテンと窓を開けて、朝の白い光を入れると、茶色く光る天井の常夜灯を消す。

 そして再びベッドの方を見るが、我が愛娘の春花はるかは、予想通り起きていなかった。はみ出ていた手足は引っ込んでいたが。

 まあ、これもいつもの朝の風景である。

 今度は先ほどより大きな声で呼んでみる。

「はーーるーーかーーっ、おーきーなーさーいッ、もーうーすーぐーしーちーじーにーなーるーよーッ」

「ン、んーンンッ…」

 ようやく目を開いた春花は、ゆっくりと布団から上半身を起こした。

 そして、一度こちらを見たあと、再びポテン、と布団に寝転ぶ。

「こらぁ、起きなさいって、早くしないと遅刻するよッ」

 再度の呼びかけで再び体を起こすと、寝ぼけまなこで十八を見た。

「おとーさん、おはよー」

「はい、おはよーもうすぐ七時になるよ、ほら、起きて起きて」

「はーい」

 モゾモゾとベッドから這い出ると、パジャマのままで部屋を出ていく。

 階下へ向かう娘に、落ちるなよ~と声をかけ、隣の部屋へ。

 こちらの扉にはプレートなど下がっていない。

 作り付けのままのそれを開けると、床の上にランドセルが置いてあった。

 間取りは春花と同じ洋間の六畳。

 そして、中央に折りたたみ式の小テーブル、奥には学習机とカラーボックスが据えてあるところも同じだった。

 ただ、女の子の春花と違い、男の子の柱基よしきの部屋は、あちこちに物が転がっていて、あまり整理されていない。

 そんな部屋の散らかりぶりに苦笑しながら、ランドセルを避けて奥の窓へ向かう。先ほど同様、カーテンと窓を開け、朝の白い光を入れて、常夜灯を消した。

 そして、同じく部屋の左半分を占めるベッドに向かうと、兄の柱基が気持ち良さそうに眠っている。

 妹の春花と違い、兄の柱基は声をかけただけでは目を覚まさない。

 なので、体を揺すりながら声をかける。

「よーしーきーッ、朝だよーッ、おーきーなーさーいーッ」   

 ユサユサと体を揺するが、すぐには反応しない。

 まあ、それもいつも通りなので、特にあわてない。

 今度は少し強めに揺すってみる。

「よォーッしィーッきィーッ!おォーッきィーッなァーッさァーッいィーッ」

 声のボリュームも上げ、先ほどよりも激しく、ユッサユッサと体を揺する。

 すると、ようやく少し目を開いて、反応し始める。

「ん、ンン~っ」

 しかし、ここで油断してはいけない。反応しただけではダメなのだ。

 起きたと思って先に戻り、その後十分以上も起きてこなかったなど、朝のあるある過ぎて、笑い話にもならないからだ。

「よォーッしィーッきィーッ、起きなさァーーいッ、春花はもう起きたよォーーッ」

 大声で呼びかけながら、体を激しく揺すり続ける。

「んんッ、ンーーんんッ」

 何度かの呼びかけで、柱基は大きく伸びをしたあと、ようやく目を覚ました。

 妹同様、寝ぼけまなこで上半身を起こすと、ボォ~とした顔でこちらを見つめる。

「おはよう、柱基、ご飯出来てるよ」

 柱基はボォ~としたまま、再び布団に沈んでいった。

「おいッ、いい加減起きなさいッ!遅刻するぞッ」

 沈んだ息子をさらに揺すると、再び上半身を起こしてくる。

 そして、先ほどよりも幾分かマシな寝ぼけまなこで、こちらを見つめてきた。

「おはよう、柱基、そろそろ起きよっか」

「おはよーおとーさん」

 今度は声に出してあいさつもしてきた。それでも油断せず声をかけ続ける。

「もうご飯は出来てるから、早く顔を洗ってきなさい。目が覚めるから」

「は~い」

 柱基はベッドから足を下ろすと、そのまま立ち上がってドアの方へ歩いていく。

 今日は楽な方だったと、少し息を抜く。

 しかし、のんびりもしていられない。

 十八もすぐに後を追って階下に戻る。

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