金沢は僕のことを知らない

@zhong_cun

第1話

 金沢が沈むんじゃないか、と思わせるほどの激しい夕立がやみ、道路はまだ濡れたままに、まぶしい青空が広がった。とは言っても、日は少しずつ傾いていて、青空はもうすぐ青空ではなくなるだろう。

 下降気流と気化熱でもって冷やされた風が、ふわっと網戸から入ってくる。


 僕はひらめいたままに二階の窓から顔を出した。

 未だに醒めない二日酔いの頭も、一瞬でクリアになる。

 この窓から見える南西の空に太陽があるから、反対側には虹が出ているに違いない。アパートの外階段階段を駆け下りて、相棒の原付にまたがった。

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