第10話 地球SOS10

「さあ! 今日から夏の全国大会の渋谷区予選の準決勝です! がんばるです!」

 僕の名前は佐藤蒼。普通の小学一年生。

「蒼。あんたは何にもやってないでしょ。」

 天使エルエルは実際に戦っているのは神様だと言いたい。

「何を言うですか!? これでも僕は神様に体を無料サービスで貸し与えてあげてます! この堕天使が!」

「堕天使言うな! 私はダメ天使だ!」

「え・・・・・・。エルエル。それでいいの?」

「ん~ん。ちょっと困るわね。アハッ!」

 相変わらず蒼とエルエルは仲が良い。


「首尾はどうなっている? ルシファー。」

 魔王シュベルトが悪魔騎士ルシファーに魔界で指名手配されて懸賞金もかかった蒼の始末はどうなったか聞いている。

「はい。魔王様。アスモデウスが次にちびっ子と戦う小学校の生徒に悪魔を取り憑かせました。既に勝負はついています。」

 悪魔騎士アスモデウスに抜かりはない。

「それは楽しみだ。今度こそあの小賢しいちびっ子を倒してみせるぞ! ワッハッハー!」

 魔王シュベルトたちは蒼に神様が取り憑いていることを知らない。

「そうだ。魔界小学校の開校の件はどうなった?」

「はい。タワービルをレンタルして今風の魔界小学校渋谷校にリフォーム工事をしている最中です。しかし文部科学省から認可が下りないので開校は来年の春になります。」

 悪魔騎士ルシファーは人間界のルールにはしっかり従う。

「何を!? 世には楯突くとは命知らずな! 文部科学省を消滅させてくれるわ!」

 魔王シュベルトは指を弾いた。


ドカーン!


 次の瞬間。人間界では震度7の大地震が起こり文部科学省は滅び去った。

「見たか! これが世の実力だ! ワッハッハー!」

(それでいいなら、ゲームと称して遊ばないで、さっさと人間を皆殺しにすればいいのに。)

 悪魔騎士ルシファーは魔王シュベルトに呆れるのであった。


「それでは勇者育成、夏の全国大会渋谷区予選の準決勝を行います。皆さん頑張ってくださいね。」

「おお!」

 いよいよ勇者育成、夏の全国大会の渋谷区予選の準決勝が始まる。

「がんばるです!」

 蒼は気合十分である。

「キャ、キャアアアアアアー!」

 その時、笑が悲鳴を挙げる。

「今日は何ですか!?」

「ミ、ミイラが3体に増えている!?」

 元々ミイラの樹、詩に続いて朧までミイラになってしまった。

「思ったより怪我の程度が酷くてね。」

「え!? ただ躓いただけですけど!?」

 蒼は朧の怪我を疑った。

「これではまともに戦えるのが僕一人しかいないです!?」

 蒼は絶体絶命のピンチに陥る。

「だ、大丈夫よ。あ、蒼くん。わ、私がいるじゃない。」

「笑は直ぐに降参するでしょ。」

「そ、その通り! ア、アハッ!」

 笑は負ける気満々だった。


「今日の対戦相手は優勝候補の広尾小学校か。手強そうな相手だな。」

 蒼は対戦表を見て準決勝なので緊張する。

「手強いのではない! 俺たちは強いのだ!」

 そこに謎の一団が現れる。

「おまえたちは何者だ?」

「俺たちは渋谷区代表になり全国を制覇する広尾小学校の生徒だ!」

 現れたのは広尾小学校の大将の前田隠と仲間たち。

「出たな! 広尾小学校! 僕がおまえたちを倒して決勝戦に進むです!」

「それはない! なぜならおまえたちは俺たちには勝てないからだ!」

 いがみ合う蒼と隠。

「そろそろ渋谷小学校と広尾小学校の生徒さんはリング脇で準備してください。」

 会場にアナウンスが流れる。

「決着はリングの上でつけてやるです!」

「勝負は既に着いている。戦うだけ時間の無駄だ。フン。」

 両陣営に別れていった。

「ムカついてきた! あんな奴には負けないです! うおおおおおおおー! 燃えろ! 僕の心!」

 蒼は闘志を燃やした。

「アッチッチ!?」

 少し着火して火傷した。

(人間如きが俺には勝てん! 何て言ったって俺は悪魔だからな! ワッハッハー!)

 隠の心には悪魔が住んでいた。


「準決勝を行います。渋谷小学校の先鋒の田中さん、広尾小学校の先鋒の後藤さん。リングに上がってください。」

「は、はい。」

 いよいよ準決勝が始まる。

「笑! がんばるです!」

「ま、任せておいて!」

 え、笑は気合が入っている。

「希! がんばって!」

「どうして戦わないといけないんだろう?」

 後藤希は戦う意味を探していた。

「あいつが秒殺の笑か!?」

「どうした?」

「対戦相手の田中笑は全ての試合を秒殺で終えています。」

「なんだって!? あのモジモジ子はそんなに強いのか!?」

 笑の情報に隠は恐怖した。

「ニコッ!」

 緊張していて笑はニッコリと笑っている。

「はじめ!」

 いよいよ試合が始まった。

「ま、参りました!」

「え? ええ? ええー!?」

 開始1秒で笑の必殺技の「参りました!」が炸裂した。

「勝者! 後藤さん!」

「勝っちゃった!?」

 対戦相手の希も笑の先制降参に唖然とした。

(恐ろしい!? なんて恐ろしい相手なんだ!? 田中笑!?)

 隠は笑に戦慄を覚えた。

「ま、負けちゃった。あ、アハッ!」

 笑って誤魔化す笑。

「やはり頼れるのは僕だけです!」

 蒼は仲間を頼らない、人を信じない性格になりつつある。


「渋谷小学校次鋒鈴木くん。前へ。」

「はい。」

 樹の出番である。

「樹くん! がんばるです!」

「俺に任せとけ。火傷で火に対する耐性もアップしたぜ! 俺は地球一の剣士になるんだ!」

 樹が戦場に向かう。

「はじめ!」

 樹と希の試合が始まる。

「そもそも5対5の戦いにヒーラーがいたって何の役にもたたないと思うんだけど?」

 希が感じた疑問は多くの一般大衆も同じく共感することであり、歪な5対5の戦いであることは誰の目にも明白だった。

「くらえ! ミイラ斬り!」

「キャア。ミイラ怖い。参りました。」

 問題点を見つけた希は戦いにやる気が無かった。

「勝者! 鈴木くん!」

「見たか! 俺の実力を!」

 ふと思えば渋谷小学校で蒼と同じくらい勝っている樹であった。

「やったです! 樹くん!」

 蒼は仲間の勝利を喜んだ。

「希。あんたやる気あるの?」

「ない。5対5の戦いにヒーラーを入れてる方がおかしいのよ。」

「それはそうだけど。」

「寧。あなたも怪我しない程度に戦ったら負けるのよ。私たちはまだ小学一年生。これからいくらでも強くなることができるわ。」

 希は自分たちが成長する先の未来を見据えていた。


「藤田さん、リングに上がってください。」

「はい。」

 広尾小学校の次鋒藤田寧がリングに上がる。

「おまえも剣士か? 武器はお互い剣。剣士同士戦おうじゃないか。」

「違うな。剣士にも剣士の格が違うんだぜ。」

 戦意剥き出しの樹と寧。二人から醸し出される闘気がぶつかり合う。

「あんたたち本当に小学一年生なの?」

 冷めているやる気のない希は呆れる。

「樹くん! がんばるです!」

 蒼は樹に声援を送る。


ピキーン!


 その時、蒼は何かを感じ取った。

「この気配は・・・・・・悪魔? でも、こんな大会に悪魔がいるはずがない。」

 蒼は深く考えなかった。

「はじめ!」

 樹と寧の戦いが始まった。

「女のくせにやるな!」

「そっちこそ! ミイラ男のくせに!」

 女とミイラ男の戦いであった。

「うっ!?」

 樹は全身の痛みに襲われる。

(しまった!? 昨日の火傷の傷が痛む!?)

 もちろん樹は全治2カ月の大火傷をしている。

「隙あり! 貰った!」

 寧が飛び掛かってくる。

「こちらもな!」

 しかし樹は最後の力を振り絞って寧にカウンターを食らわす。

「グフッ!?」

 樹と寧は相打ちになる。

「引き分け! この試合は引き分けです!」

 二人の戦いは引き分けに終わった。

「蒼・・・・・・後は任せたぞ・・・・・・バタッ。」

「樹くん! 君の死は無駄にはしないです!」

 蒼は樹の分まで頑張ると言っている。


「両チーム中堅! 前へ!」

「はい!」

 広尾小学校は長谷川縫。渋谷小学校はミイラ女の歌がリングに上がる。

「詩ちゃん! がんばるです!」

「任せなさい! 伊達にミイラはやってないわよ!」

 詩は樹と違い絶好調だった。

「あ、そうか。小学一年生から始まるんだったら、生徒全員が剣士でいいんだわ。剣術の実力は人それぞれということにしておけばいいんだわ。」

 これで5対5にヒーラーや回復職が参加というのではなく、チームの5人が全員、小学一年生ということで剣士スタートでいいのだ。小学2年生になったら魔法の授業が始まるということにすればいいのだ。

「どうして学習要領を小学一年生の私が考えているのよ?」

 ということは小学一年生に回復職ヒーラーはいない。回復アイテムを購買部やコンビニ、体力の回復は給食を食べてにしよう。後は親の職業であったり親のお金で剣の道場、魔法の塾に通って魔法を覚えたことにしよう。習い事もイマドキ。アハッ!

「私は魔法使い。塾で魔法を習っているのよ! どう? 参ったか?」

「残念。私は特殊能力者なの。魔法ぐらい怖くないわ。」

「ぬぬぬぬぬっ!?」

 詩と縫の舌競り合いが始まる。

「はじめ!」

 二人の試合が始まる。

「くらえ! 広尾! これが私の火の魔法! ファイ・・・・・・!?」

 詩は魔法を使おうとした。

「え!? 体が動かない!?」

 詩の体は動かなくなった。

「クスクスッ。無様ね。偉そうな口を叩いていた割にわ。」

 縫が笑っている。

「まさか!? あなたの仕業なの!?」

「その通り。私は相手を縫い付けて動きを止めることができる特殊能力を持っているの。」

「なんですって!?」

 縫は剣でも魔法でもない特殊能力者だった。

「感謝しなさい。あなたが火の魔法を使ったらミイラの包帯に引火して人間バーベキューの出来上がりよ。」

「はっ!? 言われてみればその通りだわ!? ありがとう! エヘッ!」

「どういたしまして! アハッ!」

 素直な詩と縫。

(バカ言っている間に何とか考えなくっちゃ!? この動けない地獄からの脱出方法を!?)

 詩は意外に冷静だった。


ピキーン! 

 

 その時、歌は何かを思いついた。

「そうだ! 大型アップデートしかない!」

 詩は手探りの中で進む大会。それに自分のミイラ女としての地位に疑問を抱いた。そして閃いたのは大型アップデート。なんのこっちゃいな。

「私たちは日本人なので日本の戦闘文化といえば、剣ではなく刀。騎士ではなく侍。魔法使いではなく忍術だ!」

 直訳すると全国大会後の日本代表になって世界大会に行った時に外国の相手が剣士であり魔法使いが登場させたいということである。これならスムーズに騎士と侍の対決ができるのだ。形の当てはめて落としていく。単純だけど何と難しい作業だろう。正にハリーポッター。

「縫! あなたの技は見切ったわ!」

「これは包帯だけ!? 詩の姿が消えた!? どういうこと!?」

 詩の姿は無く包帯だけが残っていた。

「忍法! 火遊びの術!」

「ギャアアアアアアー!」

 縫の体が火に包まれる。

「勝者! 高橋さん!」

 詩は試合に勝った。

「包帯を変わり身にして私は縫の空間縛りから脱出したのよ。アハッ!」

 詩は知力が高かった。

「詩ちゃん? その姿は?」

 詩の姿は魔法使いの姿から軽装な姿に代わっていた。

「忍者よ。だって私たちは日本人だもの。アハッ!」

 子供たちの衣装は各民族性を重んじてみた。

「え!? 地球一の魔法使いになる目標はどうしたですか!?」

「知らない。私は地球一の忍者になるのよ! ワッハッハー!」

 詩の目標はあっさりと変わった。

「俺も地球一の侍になるぞ!」

「樹くん!? おまえもか!?」

 裏切り者は続出する。

「ごめん。みんな。私もまだ完全回復じゃないのよね。ここまでだわ。バタッ。」

 詩は疲れて眠りに着いた。

「安らかに眠れ。詩ちゃん。」

「か、勝手に殺しちゃあダメだよ。」

 詩もタンカーで救護室に運ばれていくのであった。


「両チーム! 副将前へ!」

 広尾小学校の副将は岡田錦。渋谷小学校の副将が朧である。

「朧くん! がんばるです!」

「私に任せてくれ。全員倒してみせるよ。ワッハッハー!」

「朧くん! 足元には気を付けるです!」

 無事に朧はリングに上がれた。

「おい、隠。どうしたんだ? おまえ、いつもと様子がおかしいぞ? 体調でも悪いのか?」

「別に。普段通りだ。」

 錦は大将の隠の様子がいつもと違いおかしいことに気づいていた。

「はじめ!」

 いよいよ朧と錦の戦いが始まる。

「どこからでもかかってこい! 受けて立つよ!」

 正々堂々とした朧。

「それはどうも! 俺は出し惜しみはしないぜ! くらえ! 忍法! 口寄せの術! いでよ! 錦鯉!」

 錦は錦鯉を呼び出す。

「鯉で何ができるというんだい?」

「それはどうかな? その錦鯉は鯉は鯉でも人食い鯉だ!」

 錦鯉が朧に鋭い牙を輝かせ突撃する。

「ピラニアですか!? 危ない!? 朧くん!?」

 蒼は朧を心配する。


シュパーン!


 一瞬で朧は錦鯉を切り倒す。

「なに!?」

 その光景が予想外なので驚く錦。

「口寄せの術ということは君の忍術が未熟なら鯉は大した強さではないということだ。ただそれだけだ。」

「そ、そんな!?」

 微動だにしない朧。

「あんた本当に小学一年生ですか!? アハッ!」

 蒼は朧の強い実力に笑顔で喜んだ。

「まだやるというのなら手加減はしませんよ。」

「ま、参りました。」

 絶望した錦は負けを認めた。

「さすがです! 朧くん!」

「いえいえ。これも蒼くんの応援があったからですよ。ワッハッハー!」

 調子をこいて大笑いする朧。

「えっ?」

 その時、朧はうっかり足を滑らせて宙に浮く。

「ギャアアアアアアー! 足が!?」

 朧はまたこけて足を痛めてしまう。

「蒼くん。後は任せたよ。」

「・・・・・・。」

 そう言い残すと朧はタンカーで運ばれていった。

「なんて足腰の弱い奴なんだ!? 毎回毎回よくこけるな! 呪われているんじゃないかです!?」

 蒼は朧を除霊しようと考えた。

「これで決勝進出は僕の活躍次第です! 絶対に負けられない戦いです! アハッ!」

 気合を入れる蒼であった。


「両チーム! 大将は前へ!」

「はいです!」

 いよいよ大将戦が行われる。

「がんばるです!」

「あ、蒼くん。が、がんばって。」

 もう渋谷小学校のベンチには笑しか残っていない。

「隠! がんばれ!」

「おお!」

 広尾小学校の大将は前田隠。


ピキーン!


 その時、蒼は相手の大将の隠から何かを感じ取る。

(なんだ!? この感覚は!? これは相手のプレッシャーか!?)

 蒼は隠に異様な気配を感じた。

「はじめ!」

 二人の戦いが始まった。

「光!?」

 試合開始と同時に隠から光が蒼に向けて放たれる。

「ウワアアアアア!?」

 間一髪のところでかわす蒼。

「へっへっへ。久しぶりだな。」

「久しぶり? 僕はおまえなんか会ったことはないです?」

 しかし蒼は隠を知らなかった。

「忘れたとは言わせない。俺は悪魔バエルだ。」

 隠は自分は悪魔のバエルだと宣言する。

「・・・・・・誰でしたっけ? 悪魔も多く出てきているので名前も覚えられないです。アハッ!」

 しかし蒼の記憶力は悪かった。

「ふざけるな! おまえに一番最初に倒された悪魔だ!」

「おお! そういえばいた様な!」

 蒼は気持ちだけ思い出した。

「ふざけやがって! 俺はおまえに負けてから魔界では人間の子供に負けた情けない悪魔として侮辱される日々を送っているのに!」

「可哀そう。クスン。」

「同情するな! 許せん! 許さんぞ! ちびっ子!」

 悪魔バエルは子供の蒼に負けて魔界で肩身が狭かった。

「それなら人間界で住んだらどうですか? 例えると日本人の眞子様みたいな有名人が日本で生活しにくくなったら小室くんと海外に逃亡するみたいな感じです。アハッ!」

 住む場所変われば環境も変わるというやつである。

「そうか! その手があったか! ありがとう! ちびっ子!」

「どういたしまして! アハッ!」

 素直に受け入れ感謝する悪魔バエル。

「だが、その前に。ちびっ子! おまえとは勝負の決着をつけねばなるまい!」

「やめるです! 君なら真面目に働けば大手の電力会社に高額年俸で就職できるです! 人々の電力を、人々の笑顔溢れる幸せな家庭を支えるんだです!」

 必死に説得する蒼。

「問答無用! これも悪魔のサガよ! いくぞ! ちびっ子! くらえ! 光魔法! 光の矢!」

 悪魔バエルは光の矢で蒼を攻撃する。

「ギャアアアアアアー! やられ・・・・・・。」

 蒼は光の矢で胸を抉られてご臨終となる。

「終わったな。これで俺の悪魔としての使命は果たしたぜ。」

 悪魔バエルは長かったちびっ子との戦いを振り返り感激する。


ピカーン!


 その時だった。蒼の体から神々しい光が放たれる。

「僕は絶対に負けないです。」

 蒼の体が神様に乗っ取られ生き返る。

「なぜだ!? 確かに殺したはずなのに!? その神々しい光はなんだ!? それではまるで神じゃないか!?」

 悪魔バエルは蒼の正体に少し近づいた。

「僕は神様です。歯向かったことを後悔するがいいです。くらえ! 神サンダー!」

 蒼は雷雲を呼び寄せて雷を降らせた。

「ギャアアアアアアー!」

 悪魔バエルに意識を乗っ取られた隠は真っ黒こげになった。

「勝者! 佐藤くん! 決勝進出は渋谷小学校に決まりました!」

 蒼の・・・・・・いや、神様の活躍で渋谷小学校は勝った。

「やったです! 勝ったです! ・・・・・・zzz。」

 エネルギーを使い果たした蒼は眠りに着いた。

「タンカー! タンカーだ!」

 蒼と隠はタンカーで運ばれる。

「か、勝ったのは私のおかげです。アハッ!」

 一人無傷の笑はニッコリと笑うのであった。


「広尾小学校が負けたか。」

 蒼の戦いを観戦していた生徒がいた。

「あの力はなんだ? とても小学一年生とは思えない?」

 恵比寿小学校の大将の石川巧だ。

「彼は妖怪を次々と倒しているエリートなんだよ。」

 そこに何者かが現れる。

「おまえは何者だ!?」

「私は妖怪アスモデウス。」

「妖怪!?」

 蒼が剣士から侍に二本らしくなったのであれば、敵役の悪魔も日本的に妖怪になるべきであろう。

「その通り。妖怪王様が地球を支配するために歯向かう人間は邪魔なので消えてもらいます。アハッ!」

 妖怪七人衆の一人アスモデウスは巧を倒すつもりだ。

「そうはいくか! 妖怪なんて俺が倒してやる!」

 巧は刀を抜いて妖怪アスモデウスと戦おうとする。

「色欲。」

 妖怪侍アスモデウスは色欲を巧みに飛ばす。

「は~い! アスモデウス様に従いま~す! アハッ!」

 巧は妖怪侍のアスモデウスの誘惑の術にかかってしまった。

「小学生の子供を言いなりにするなど簡単なことです。アハッ! アガレス。」

「はい。アスモデウス様。」

 そこに妖怪のアガレスが現れる。

「この子に乗り移ってちびっ子を倒しなさい。」

「かしこまりました。」

「ギャアアアアアアー!」

 妖怪アガレスは巧みに憑依する。

「これで決勝戦も面白くなってきましたね。オッホッホー!」

 妖怪侍のアスモデウスの笑い声だけが響く。


「そうか。私たちは悪魔ではなく妖怪だったのか。」

 悪魔騎士だったルシファーは自分が妖怪に置き換えられたことを受け入れようとする。

「妖怪ルシファーもおかしいな。私の名前は妖怪天使とか、妖怪羽女とかに変えた方がいいのかな?」

 悩む妖怪七人衆のルシファー。

「でも改名してもアスモデウスよりはマシだな。あいつは妖怪エロ女にしかなれないだろうからな。」

 ライバルを哀れむ妖怪ルシファー。何かもっとマシな名前はないのだろうか? 明けの明星と飛ばれているならルシファーは天照大神路線なのだろうか?

「悪魔学校も妖怪学校に名前を変えなくっちゃ。悪魔生徒募集から妖怪生徒募集に変えなければいけない。やることが増えて困るなあ。」

 しかし後戻りは面倒臭いのでしない。前に進みながら修正しよう。

「ということは魔力ではなく妖力。剣ではなく刀。強い刀は妖刀。若しくは真打とか名刀とか。名刀! 片栗粉! とか面白そうだな。何事も明るく楽しく考えないとね。アハッ!」

 かなり前向きな傲慢さな妖怪ルシファー。

「ん? んん? 必殺技も光魔法サンライズではなく、妖力! 初日の出! とか漢字の名前を考えないといけないのかな?」

 謎だらけの置き換えである。

「私的にはどっちでもいいんだけどな・・・・・・。」

 遠くを見つめる妖怪ルシファーだった。


「ワッハッハー!」

 蒼の笑い声だけが響き渡る。

「寝ているだけで妖怪を倒せる。正に眠りの蒼だ。ワッハッハー!」

「よく言うわ。全て神様に倒させているくせに。」

 天使エルエルは蒼をチクチクする。

「いいんです。神様が倒そうが僕が倒したことになるです。アハッ!」

 神を顎で使う男。それが蒼である。

「蒼。あんたそのうち天罰が当たるわよ。」

「うるさい。この堕天使め。」

「堕天使言うな!」

 一見すると蒼と天使エルエルは仲が悪い。

「蒼のあだ名も考えて言い返してやらなければ!」

 復讐に燃える天使エルエル。正に堕天使。

「アッチッチ!?」

 そして復讐の炎が引火して火傷する天使エルエルであった。

「大丈夫か!? 俺の部屋!?」

「なんですと!?」

 蒼も天使エルエルを心配する。

「蒼! エルエルちゃん! ご飯よ!」

 蒼ママがご飯で呼ぶ声がする。 

「はい! ご飯!」

「わ~い! 今日のご飯は何だろな? アハッ!」

 これでも蒼と天使エルエルは仲良しさ。   

 つづく。


1年2組1班

佐藤 蒼 剣士 神様標準装備 神サンダー

鈴木 樹 剣士 ミイラ斬り

高橋 詩 魔法使い

田中 笑 回復職 秒殺

伊藤 朧 剣士


1年2組2班

井上 楓 魔法剣士 紅葉狩り

木村 築 魔法 謎

林  空 魔法 凡人

斎藤 蛍 魔法 気配を消す

清水 心 魔法 回復道具いっぱい


1年1組

山崎 授 かなり性格が悪い 卑怯

森  静 未だに不明

池田 昴 凡人

橋本 刹 気合突き

阿部 奏 リコーダー


校長 渡辺

購買のおばちゃん。 山本

保健の先生 中村 

剣の先生 小林

魔法の先生 加藤


悪役で教頭。吉田

担任の先生。山田

VR全否定の普通の授業の先生。佐々木

掃除のおっちゃん。山口

給食のおばちゃん。松本


神ゼウス    サイコパス 神サンダー

天使エルエル  マスコットキャラクター

天使ウリエル  神の火 神の光

天使ガブリエル 死者を生き返らせる ドレイン 蘇生魔法リザレクション

天使ラファエル 神の癒し


蒼パパ

蒼ママ 料理が美味しい。


魔王シュベルト

悪魔騎士ルシファー  傲慢 光魔法サンライズ

悪魔騎士アスモデウス 色欲 誘惑テンプテーション

 

悪魔バエル    光魔法ライト 光の矢

悪魔アガレス   地震アースクエイク

悪魔ウァサゴ   暗殺 透明インビシブル

悪魔ガミジン   召喚サモンズ

悪魔マルバス   疫病プレーグ

悪魔ウァレフォル 盗むスチール

悪魔アモン    不和ディスコード

悪魔バルバトス  狩人ハンター


恵比寿小学校

石川 巧

山下 誓

中島 伝

石井 輝

小川 巴


広尾小学校

前田 隠 身を隠す

岡田 錦 錦鯉

長谷川 縫 特殊能力者

藤田 寧 女剣士

後藤 希 やる気なし。


代官山小学校

近藤 鋼 仮勇者

村上 響 魔法使い

遠藤 太 斧 怪力

青木 紅

坂本 洸

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