第5話 SOS5

「ふう~。新人戦で優勝できて良かったです。」

 僕の名前は佐藤蒼。普通の小学一年生。憂鬱に自宅で目覚める蒼。

「どうしたの? 大活躍だったじゃない。何が不満なの?」

 居候の天使エルエルが蒼を励ます。

「みんなは僕が1組を4人も倒したって言うんだけど、まったく記憶がないんだよね。」

(それはそうよ。実際に戦ったのは神様だもの。)

 蒼は神様の時の記憶は無い。

「そういう時もあるわよ。オッホッホッホー!」

 笑って誤魔化す天使エルエル。

「蒼! エルエルちゃん! 朝ごはんよ!」

 蒼ママがご飯だと呼んでいる。

「は~い! どうしよう?」

 こうして蒼の朝は始まる。


「なに? もやられただと?」

 魔界。魔王シュベルトが悪魔騎士ルシファーから報告を受けている。

「はい。魔王様。」

「許せん! 許さんぞ! 人間どもめ!」

 怒り狂う魔王シュベルト。

「こうなったら、もっと強い悪魔を人間界に派遣するのだ!」

「ははあ。いでよ。マルバス。」

「はい。ルシファー様。」

 悪魔マルバスが現れる。

「マルバス。人間界に行っておまえの病原菌をバラまいてやれ。」

「かしこまりました。」

 悪魔マルバスは人間界に向かう。

「これで人間どもは全滅だ! ワッハッハー!」

 喜び笑う魔王シュベルトであった。


「えい! やあ!」

「まだまだ! くらえ!」

 学校で蒼と樹は剣の稽古をしている。

「参りました。はあ・・・・・・はあ・・・・・・。樹くんには敵わないです。」

 蒼は降参した。

「そんなことはないよ。蒼だって新人戦で4人も倒したんだ。かなり強いと思うよ。」

「本当ですか? やったー! 嬉しいです! アハッ!」

 樹に褒められて喜ぶ蒼。

「でも、どうやった樹くんみたいに剣が上手になるんですか?」

「俺は剣術道場に通っているんだ。」

「剣術道場!? 習い事っていうやつですか!?」

 地球SOSの世界でも教育格差は存在するのであった。

「俺は3歳から剣道を習っていて、今年7歳から剣を習っている。だから他の生徒より剣が上手くて当然だ。」

「恐るべし!? 剣術歴4年の樹くん!?」

 蒼は自分のにわか剣法では樹に勝てないと悟った。

「俺だけじゃない。詩だって魔法の塾に通っているぜ。」

「なんですと!? 魔法の塾があるんですか!?」

 恐るべし地球SOSの世界。剣だけでなく魔法の学校も存在するのだ。

「でも、私が魔法の塾に通い始めたのは今年からよ。」

「な~んだ。それなら僕と同じです。アハッ!」

 詩は同じ魔法1年生ということで安心する蒼。

「でも私のお父さんは国家公務員の外交官だから子供の頃から外国によく行くわよ。だから英語は喋れるし、魔法は英語だから私はたくさんの魔法を覚えているわよ。私も将来は日本の外務省で働くつもりよ。コネで入省もできるしね。アハッ!」

「サラブレッドですか!? 魔法は英語!? やはり生まれの差が存在するんですね!?」

 例えると医者の子供は医者になりやすいというものである。

「笑! 笑ちゃんは流石に一般庶民の生まれですよね? ね?」

「わ、私は一般庶民だよ。」

「ふう~。良かった。笑は一般庶民です。」

 自分と同類を見つけて喜ぶ蒼。

「何言ってんの。笑の親は大病院の院長じゃない。」

 チクる詩。

「い、言っちゃあダメだよ! 詩ちゃん!」

「あ、つい。ごめんね。あははは。」

 詩は口が軽かった。

「笑ちゃんの嘘つき。」

 恨めしそうに笑を見つめる蒼。

「ギャアアアアアアー! 怖い。」

 ビビる笑。

「朧! 君だけは僕を裏切らないよね? ね?」

「私は都営住宅に住んでいて生活保護を貰っている設定でいいよ。なんなら両親が死んでしまっていなくて孤児院で育てられた設定でもいいよ。ワッハッハー!」

 どこか余裕のある朧。

「謎だ!? 朧くんの私生活。」

「朧は自分のことを言わないからな。」

「こっそり放課後に後をつけて朧がどこに住んでいるか尾行しようかしら?」

「う、詩ちゃん。それはストーカーって言うんだよ。」

 朧の存在は蒼たちには不思議であった。

「ジーッ。」

 蒼は同じクラスの楓を見ている。

「どうしたの? 楓のことが好きなの?」

「違うです! 楓みたいに容姿端麗、才色兼備で勉強も剣も魔法も使えるような奴は、親もお金持ちで60階建てのタワーマンションにでも住んでいて親は内閣総理大臣か皇室の一族何だろうな~。」

「そうよね。楓みたいに全身ブランド品を着ている様な、お高い女はやめときな。ワッハッハー!」

 蒼の楓に対する偏見である。

「・・・・・・。」

(言えない。私が築60年のエレベーター無しの5階建ての都営住宅に住んで生活保護をもらっているなんて。ブランドの服やカバンもリサイクルショップの中古品だなんて言えない。剣も我流だし、魔法も本屋の立ち読みで覚えてるなんて言えない。絶対に言えないー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)

 楓、小学一年生の心の叫びであった。

「はあ~。」

 ため息をつく楓。

「どうしたの? 楓。」

「あんたたち悩み事がなくていいわね。」

 築たちが楓に声をかけてくる。

「私って見た目のイメージでお高いキャラって決めつけられるから大変なのよね。」

「それは自慢ですか!?」

「そうよ! そうよ!」

 楓が悩みは一般庶民には自慢か嫌みに聞こえるらしい。

「俺たちなんか何の設定も決まってないんだぞ!」

「いいじゃん。平凡で。何も無いってことは幸せよ。」

 築たちの言い分を一言で片づける楓はやはり優秀なのである。


「俺様の出番はどこへいった!?」

 もちろん1年1組の授など悪役の出番はクラス対抗戦以外にはない。


「はい。みなさん。夏の全国大会に向けて勉強も剣も魔法も頑張りましょうね。」

「はい。」

 担任の山田先生が1年2組の生徒たちにはっぱをかける。

「大会で活躍した生徒は世界大会に日本代表として選抜されるかもしれませんよ。」

「おお! 僕は日本代表になるです!」

 蒼は燃えてきた。

「アチチチッ!?」

 そして少し火傷した。

「もちろん、テストで赤点の性とは大会に選手として出場はできません。」

「ええー!?」

 学年で最下位の学力で塾にも行っていない底辺の蒼は絶望を味合う。

「む、無理だ。勉強のできない僕は全国大会に出場できない。」

 落ち込む蒼。

「諦めるな! 蒼!」

「そうよ! 私たちが協力するわよ!」

「わ、私たちはお友達です!」

 樹、詩、笑の三人が落ちこぼれの蒼を励ます。

「みんな! ありがとう! これが友情だ! 僕は猛烈に感動しているです!」

 仲間の友情に涙を流し感動する蒼。

「ところで、4人の勉強を私が見るんですよね?」

「よろしくお願いします。朧先生。」

 礼儀正しく成績優秀の朧に頭を下げる蒼たちであった。

「目指せ! 夏の全国大会です!」

 蒼は気合を入れる。


「ゴホン。ゴホン。かぜかな?」

「蒼。私に移さないでよ。」

 蒼は咳をした。

「ああ~。勉強なんて、この世からなくなればいいのに。」

 帰り道。蒼と天使エルエルは楽しく会話していた。

「あんた、それ悪魔思想よ。」

 呆れる天使エルエル。

「国語や算数も剣と魔法と一緒って考えればいいのよ。繰り返し勉強していけば経験値や熟練度が増えて自分が強くなるわ。」

 良い例え話をする天使エルエル。

「無理。絶対に一緒だとは思えない。だって勉強は面白くないです。プンプン!」

 蒼は機嫌が悪くなる。

「エルエルの堕天使。」

「堕天使言うな!」

 相変わらず仲の良い蒼と天使エルエル。


「キャアアアアアアー!」

 

 その時、悲鳴が響き渡る。

「悪魔だ! 悪魔が現れたんだわ! 行くわよ! 蒼!」

「おお!」

 蒼と天使エルエルは現場に向かう。


「ゴホン! ゴホン! いけ! 魔物ども! このマルバスの疫病を広めるのだ! ワッハッハー!」

「スラスラ!」

「ゴブゴブ!」

「ウルウル!」

「ナメナメ!」

 スライムとゴブリンとウルフとナメクジを使って街で暴れている。

「出たな! 悪魔! ぶっ飛ばすです!」

 蒼が悪魔マルバスの前に元気よく飛び出す。

「蒼。あんた今日は珍しくやる気ね?」

「だって今日はまだ神様を使っていないので、神様に頼ることができるので安心なんです。アハッ!」

 蒼は他力本願なちびっ子だった。

「人間の子供に何ができる? 子供など免疫力が低いから直ぐに病気にかかって死ぬがいい!」

「僕は地球を救う勇者になる男! 地球騎士の蒼だ! ウイルスなんかに負けないです!」

 蒼は魔王から地球を救いたい。

「いくぞ! ちびっ子! くらえ! プレーグ!」

 悪魔マルバスは疫病の病原菌をバラまく。

「ゴホン! ゴホン! ダメだ・・・・・・病気にかかって力が出ない・・・・・・zzz。」

 蒼は病気に感染して倒れてしまった。


ピカーン!

 

 蒼が気絶したので神様が現れる。

「パンデミックにはさせないぞ。行いくぞ! 悪魔! 必殺! 神サンダー!」

 神ゼウスが蒼の体に乗り移り必殺技を繰り出す。

「ギャアアアアアアー! 覚えてろよ!」

 悪魔マルバスは真っ黒こげになりながら逃げて行った。

「神は勝つ! ワッハッハー! ・・・・・・zzz。」

 そして神ゼウスはエネルギーを使い果たして眠りに着いた。

「これにて一件落着ね。ウイルスが広がらなくって良かったわ。アハッ!」

 天使エルエルは平和であることに幸せを感じていた。

 つづく。


1年2組

佐藤 蒼 剣士

鈴木 樹 剣士

高橋 詩 魔法使い

田中 笑 回復職

伊藤 朧 剣士


1年2組

井上 楓 魔法剣士

木村 築 魔法

林  空 魔法

斎藤 蛍 魔法

清水 心 魔法 


1年1組

山崎 授 かなり性格が悪い

森  静

池田 昴

橋本 刹 気合突き

阿部 奏


校長 渡辺

購買のおばちゃん。 山本

保健の先生 中村 

剣の先生 小林

魔法の先生 加藤


悪役で教頭。吉田

担任の先生。山田

VR全否定の普通の授業の先生。佐々木

掃除のおっちゃん。山口

給食のおばちゃん。松本


神ゼウス

天使エルエル


蒼パパ

蒼ママ


魔王シュベルト


悪魔騎士ルシファー 光魔法


悪魔バエル    光魔法ライト

悪魔アガレス   地震アースクエイク

悪魔ウァサゴ   暗殺 透明インビシブル

悪魔ガミジン   召喚サモンズ

悪魔マルバス   疫病プレーグ

悪魔ウァレフォル 盗むスチール

悪魔アモン    不和ディスコード

悪魔バルバトス  狩人ハンター

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