第521話 悪意と善意
悪意と善意は見方によっては、実に近しいものである。
どちらも伝染しやすいし、些細な事から大きなものまである。
人間にとってこの二つは心から生み出され、感情となって現れる。
よく昔から言われているが、愛するが故に殺してしまうような
事件は多数あった。これも同じように、どちらにも転びそうなほど
ギリギリのラインに立っているからだ。
その感情だけなら問題にはならないが、拒絶されると更に激化する。
本人の意志はもうそこには存在せず、感情のままに突き進む。
人間のタイプにもよる。思い込みが激しいタイプや直情型にも多い。
そして日本人は非常に良く無い方向へと進んでいる。
ひとつの事だけでは、それは判断できないが、複数の事に対する日本人の
思想は当然、手遅れではあるが、改善しないとマズい。
病気と同じようなものだと思えば、簡単に理解できるだろう。
コロナのように日本人は伝染を繰り返し、世界にはバレている点とバレていない
点はある。私はゲーマーだ。しかも分析の仕事もしていた。
今の日本でゲームと言えばアプリゲームだ。
今まで出たゲームをリメイクして出したり、何度もリメイクをして出している。
今度はバイオハザードが、新リメイク版として発売される。
新までつけてしまったら、もう終わりだ。
そう、もう昔になるが、ちゃんと世界のオンラインゲームを学ぶ事無く、発売し、
大損害を被った。知らない人も大勢いると思う。
何故ならすぐに運営停止になったからだ。
アプリゲームではないゲームの開発にはお金も時間もかかる。その上、一番大切なのは、全てを取り仕切る総合プロデューサーだ。
総合プロデューサーが駄目なら駄作しか生まれない。
社名などは伏せておくが、ある大型MMORPGの発表会に行った。
各雑誌社も集まっていたほど、大作だった。
本当に各雑誌社は苦笑した事があった。
最初のゲーム紹介が送られてきた時、なかなか面白そうだと各社が思った。
そして当時としては異例の第三回目のβテストが行われた。
我々はその会社から画面を見ていた。
しかし、そのゲームの要的要素であるものは、登場しなかった。
発売日は迫り、販売された。
数億だったか十数憶だったかは忘れたが、それくらいの規模で
しかも3年間の開発を経て出たのは、
最初に発表されたものとは全く違うゲームになっていた。
しかも、今の時代に今更これを出すのか? と言う意見も飛び交った。
雑誌社としても、これをどう面白く伝えることが出来るか、私は相方に
相談されたが、私は「無い」と即答した。
海外で制作してたからだろうとは思った。
実際、世界でもよく言われるが製作期間5年とか書かれてはいるが、
実際は3年だったりする。最初の二年はゆっくりゲートボールでもしているような
感じだと思ってくれればいい。
時間が迫って焦って、運営開始日によくあるログイン出来ない事や、メンテナンスに次ぐメンテナンスをするのはそのせいでもある。
ここでも総合プロデューサーが優秀ならば、100%とは言わないが、それほど大きな
問題は起こらない。リメイクを作るのは簡単だ。少し飾り立てれば出来上がる。
それほどまでに人材不足だと言わざるを得ないのが、今の日本だ。
悪意は無かったが、同じ事を繰り返している。もしかしたら悪意なのかもしれない。
自分たちの時代は安泰だと思っている、政治家などと似たような考えだ。
それならば完全に悪意だ。
父が生前、テレビを見ていて、こいつは相当な悪党だと言った。
政財界に詳しいからそう言ったのかと思ったが、違った。
悪党がにじみ出ている顔つきだ。悪人でなければこんな顏にならないと言った。
まあ確かにそうではあった。
人間はこのように、悪意が無くても結果的に悪意ある行動であったと見なされる事もよくあるものだ。
逆に、今の日本では善意は伝わりにくいものになっている。
私はこの前、バスに乗った時、始発から終点まで優先席に座っていた。誰も立っていなかったからだ。しかし、次のバス停で人が乗ってきた。誰も他にはいないのに、
優先席に座らず立っていた。
これははっきり言って善意とは言えない。悪意ではないが、善意では決して無い。
高年齢者がくれば譲ればいいだけであって、座ってはいけない席ではない。
以前、子供連れの母親が乗って来た。私の横に子供を座らせたので、私はそのまま
「どうぞ」と言って席を譲った。優先席ではないが、譲るべきだと思った。
これは善意と言える。物事の判断が出来ないようになってきている
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