第484話 大人になって感謝の言葉を言われた

今はもうしてないが、昔は中学時代の仲間と正月とかに集まって


飲み入ったりしていた。男ばかりの5,6人で集まる飲み会だ。


昔話を今だから言えるけどで、私はろくな事を言われた試しが


殆ど無く、普通に笑っていても怖かったと言われた。


私は部活には入ってはいたが、帰宅部だった為、殆ど出てない。


誘われて3年間入ってはいたが、活動は一切してない。


1年の時、卓球部。二年の時は、テニス部の女子に好きな子がいる事を


知って入った。三年の時は、馬鹿な友達の集まりで絵画部に入った。


絵画部の顧問の先生が、こんなに人がいるのは初めてだと、


喜んでいたのを思い出す。


私がカウンターで飲んでいると、隣に座ってきた。


彼が何を言いたいのかは、すぐに分かったが、


私は知らないふりをしていた。


2年か3年の頃だったと思う。その時間は体育の時間で、体育館に


皆、集まっていた。まだ授業も始まって無く、担当の先生も


居なかったが、人だかりが出来ていた。当時は2クラスで合同で授業を


していたので約50名ほどの大きな人だかりだった。


私は何をしているのかと思い、真ん中まで入って行った。


丁度、その時、KがHを殴った所に居合わせた。


何故殴ったのかは、今でも私は知らないが、


そもそもKが人を殴るのも初めてみたし、喧嘩も初めてみた。


Hは私も嫌いでたまに喧嘩をしていた。一発だけ頬にパンチは


入ったが、喧嘩慣れはしていないので、それほど威力も無かったのか


ちょっとグラついた程度で喧嘩自体は終了した。


今でも気になるが、何があったのかは予測もつかない。


ただ、KがHに対して、謝ったのは覚えている。


「ごめん、悪かった」と言っていた。


しかしHはKに対して、土下座して謝れと言った。


人だかりが出来ていたが、介入しようとする者は誰も居なかった。


少しの間を置いて、Kが膝をつこうとした。


私はKの腕を掴むとそのままその人だかりから外に出した。


皆からはぐれて私の席の隣に来て彼は言った。


「あの時の事は今でも感謝している」


私は分からないような振りをして、「ああ、気にするな」と言った。


彼は一生感謝すると言っていたが、何があったのかは


聞かなかった。問題は周囲の奴らも止めてやればいい事を、


ただ見ているだけだった。私は遅刻して行ったから詳細を知らないが、


もう少し遅れていたらと思うと、気分が悪くなる。


感謝は一生してくれるらしいが、中学時代は目を合わせるのも


怖かったとKと他の連中にも言われた。

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