第460話 映画 イコライザーより 


 デンゼル・ワシントンは少女の為にロシアのマフィアを五人殺した。


そしてその報復から、大きな組織が相手だと、彼はすぐに判断した。


昔の仲間で今は引退して、平穏な生活を夫と過ごす、


旧友の女性の元へ向かった。


彼女の夫が彼と握手をして「彼女は君は絶対に生きていると言っていたよ」


そして三人で静かに食事を済ませると、彼女は言った。


「もう昔みたいな力はないわ」

彼は携帯で撮った男を見せて、何者か知りたいんだと言った。


彼女は彼の為に、CIAに調べに行き、その男の資料を持ち帰った。

「ロシアの特殊部隊スペツナズで隊長をしていた危険な男よ」


彼は迷いのある顔つきで、何も言わなかった。


彼女は彼を昔から知っていた。

だから彼が再び立ち上がるのを躊躇ためらっている事を察した。


そして彼の背中を押すように彼女は言った。


「進むべき道へ至るには、過ちも犯す」


自分の思い通りにはならない。だけど彼は誰かの為に戦おうとしている。

彼女は彼の中であと一歩進めない様子を見て言った。


「奥さんが愛したあなたは——生きていたのね」

そして彼に対して、旧友である女性にそう告げられ、迷っている彼に対して

「進みなさい」と彼に言った。


彼はその言葉を聞き、笑みを浮かべ軽く笑い、旧友の彼女も笑みを浮かべた。

そして「ああ」と答えた。


「行く前に挨拶をね」と言って彼女は家に入った。

彼は彼女がその場から家の中に入った後に「さよなら」と言った。


分かり合える友人は、現実でも数少ない。信頼関係で結ばれていて、


CIAのような組織に所属している以上、死ぬ事は覚悟している。


しかし、彼が迷ったと言う事は、ただの言葉以上に意味のある、


他人には分からない痛みとは違う辛さがある事を、彼の態度から悟った。


映画は連続していく為、重要な場面を何も特別な意味も無いと


思ってしまうシーンが多く入っている。私は良い映画は何度も見る。


見る度に気づくことがあるからだ。


それはつまり己の成長を確認できると言う事でもあり、


逆に前とは違う意味で捉える事もある。


映画やドラマでは第三者である我々に対して、分かりやすくし過ぎず、


全く分からないのでは意味が無い為、シーンの場面場面が重要になる。


単純な映画で先が見えてしまう映画は駄作と言える。


そして主人公の演技力が重要になる。分かり切っている事ではあるが、


多くの人は、映画に飲まれて気づかない。


それはつまりいい映画だと言う事になる。

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