第362話 現実の世界

 人は実話に惹かれる。それは真実という誘惑に、人間は好奇心を持つからだ。しかし、それはパンドラの箱だ。現実を知れば、数えきれない無数の人々が、人間を嫌いになる可能性が高い。


富樫氏の幽遊白書という漫画が昔あった。彼は私の予想ではあるが、非常に賢く人間というものを、よく理解している。哲学にも詳しい。それはつまり人間をよく知っているという事にも繋がる。


 幽遊白書は少年誌ジャンプで連載していた。最後からひとつ手前の、仙水編で、彼は人間の悪を描いた。仙水は元々、純粋な人間であった。あまりにも純粋な為、人間の悪意の行為に対して、拒絶反応を示した。そのシーンは今でも鮮明に覚えているが、私も人間の悪は知っている。知ってから思う。知らなければ良かったと。彼はハンターハンターのキメラアント編でも、ハンター教会のネテロ会長を使って、人間の悪を描いている。私はネテロが人間こそが悪だという場面を見た時には、正直ゾッとした。


 私個人的な意見ではあるが、善意に上限は存在すると思うが、悪意に関しては上限は無いと思っている。それほどまでに、人間は本当の悪魔のような行為を繰り返してきた。真相は誰にも分からないが、魔女狩りもそのひとつだ。殺した人数さえもバラバラで実際何人殺したのか、分からないのが実情だ。そして魔女と認めさせる為に、恐ろしい拷問もした。私には出来ないような拷問を、世界中でこれまで行われてきた。


私が触れた悪意も、忘れる事は決して出来ない事であり、忘れたいが、忘れられないから厄介だ。パンドラの箱は開けてはいけない物ではあるが、その悪意の中に、希望だけ入れた。これはどのような状況であれ、希望を捨ててはならないという意味や、何事にも希望はあると言ったものだが、現実は違う。


 このままウクライナ問題が続く事になれば、再び、世界を巻き込む第三次世界大戦になる。アメリカは何とかそうならないようにしているが、ロシアの考えが変わらない以上、停戦が結ばれる事はないだろう。ロシアは強い国だが、ここまで強きにさせる公表されていない裏があるのは明白だ。


 我々が知ることが出来るのは、ほんの一角に過ぎない。長い歴史を知ればそれは分かる。人間は進化しない生き物だ。だから何度も同じ事を繰り返す。日本も防空壕的な避難場所数を公開したが、全く足りない状態だ。ウクライナの首都キエフでは、市街地戦が始まった。ここからが本番の戦いになる。お互いに精鋭部隊を投入するだろう。我々の時代に起きている事ではあるが、実際は殆ど知らないのが現実だ。歴史とは勝者にしか発言は許されない。それが戦争というものだ。

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