第302話 ヘルマン・ヘッセ

“しがみつくことで強くなれると考える者もいる。

しかし時には手放すことで強くなれるのだ”



この言葉は一見、物を思い浮かべる人も多いはずだ。


しかし、人でもそう言える。恋人や友人なども対象内に入るような


意味合いも込められていると、私は思う。


物でも人でも、失いたくない場合を指していうなら


その時、仮に自分で例えるならば、あれ程強く固執していた物でも


手放した瞬間は辛くても、数日たてばいつも通りの日常である過去と


それほど変わりないであろう。


執着心や独占欲などは、その人や物に対して、日常的にある存在だから


手放すことを恐れてしまう場合も多くある。


ある種の病気のように、取りついてしまうのだ。


物の場合は、それほど問題はないが、人の場合はそう単純にはいかない。


それは人と人との見ることは出来ないが、確実に絆が存在しているからだ。


だが、相手が自分から離れていく場合、非常に辛いものではあるが、


話を聞いた上で、仕方のない場合は、苦しいが手放すしかない。


皆、体験することだが、乗り越える人が大多数であるのは


物とは違い、人と人との物語の最後の駅だからと言えるだろう。

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