カイイゴロシ

しき

第1話 傲慢

鬼才と呼ばれた才は地に落ちた。

己の頭を意味もなく、壁に叩きつけその男は苦笑する。自分でも滑稽で意味のないことと理解しつつもこのような最後を思い立った自分を嘲笑うかのように。


「叶うならこの最悪な駄作が傑作にかわりますように」

それが彼の最後の意味のある言葉だったかもしれない。


某日、N県N市この街では有名なオカルト話がある。まぁ、有名と言ってもこの街限定でのがつくのだが。

いわく、街の片隅にある古い屋敷には悪魔が住みついており、他の怪異を殺すのだと。

そんな今どき子供さえ信じることはないだろう。噂の屋敷の前に俺は立ち尽くしていた。

普通ならこんな所に来る用事はないのだか、もはやすがるものがここぐらいしかないくらい俺は悩まされていた。

しかし、勢いで来たものの門は鍵がかかっており、そもそも普通にただの空き家なのではといった雰囲気であり途方にくれていた。


「失礼、御用のある方ですね。」


ふと、声が聞こえ顔を上げると不思議なことにいつの間にか門が開かれており、目の前には60から70代ぐらいのいかにも老練の執事を思わせる男性が立っていた。


「あっ、えっ、用があるわけではないんですが。え~と。」


冷静に考えれば俺は根拠のない噂話を聞いてやってきた不審な人物だと今更ながら気づき返答がシドロモドロになった。


「ここに来られたと言うことは何か不思議な体験をされたのでしょう。どうぞ、入ってください主人のところまでご案内いたします。」


「えっあ、すみません。えっ、ご案内?!」


門前払いをくらう覚悟をしていた俺は驚いた。何かの間違いとも思ったが明らかにその執事は俺を見ているし、ここまで来て引き返すのも億劫になっていた俺は毒を食らわば皿までの覚悟でその怪しげな執事の案内に従った。

屋敷の中は外観に反し掃除が行き届いており、中々きれいだった。ただ何か暗い雰囲気を感じ、夏なのに俺は寒気がした。大きな広間に通されると、執事は主人を連れてくるのでここで待っていて欲しいと言い部屋から出でいた。

途方にくれて待っているとさっきの執事が車椅子を押しながら戻ってきた。

車椅子には20代、いやもしかしたらまだ10代にも見える男性らしい人物が座っていた。綺麗な黒髪の長髪、病的なまでの色白さの肌に加え整った顔立ちが人形を思わせる。それに加え、左目の義眼がさらにその人物を異様たらしめていた。それはただただ黒っだった。無くした人形の片目の代わりに黒い宝石を嵌め込んだというのがしっくりとくる様子だった。


「初めまして、僕がこの館の主の悪七嶺亜あくしちれいあだ。この執事は七家真門しちいえまもんと言う。君が奇妙な事件に巻き込まれた依頼主であってるかな。」


車椅子の人物は声はこれまた男性とも女性とも判断がつかない幼い声で話しかけてきた。名前からも男性か女性か判断がつかない。


「依頼主ってなんだよ。俺は確かに変な噂話に縋ってここまで来たけど、何かお前が噂の怪異を殺す悪魔ってやつなのかよ。」


「あぁ、その噂話なら間違いなく僕のことだね。そんなに警戒しないくてもいいよ。依頼主って言うのは便宜上そう呼んだだけで別に君からお金や魂とかを要求するわけではないから安心して。」


「じゃあ、お前は何が目的なんだよ。」


「半分は興味本位もう半分は人探しといった所かな。まぁ、君にはどちらにせよ君にはあまり関係はない話だよ。それよりもさ、話すの話さないの?何も無しでこんなもう心霊スポットにもならない所で彷徨っていたの?」


以下にも怪しいし、なんか馬鹿にされている気もするがここまで来てただ引き返すのも癪だ。俺は自棄になりながら、目の前にいる怪異を殺す悪魔と言われる人物にこと経緯を話し始めた。


「今月、ホラー小説家の大海九龍たいかいくりゅうが自殺したことを知っているか?」


「あぁ、あれか何でも自殺なのに変死体とも言えなくもないような死体の状態だったとか。」


「そうだ、全身に刃物によるひどい傷があり、周りが血の海の状態だったらしい。」


「だから何だって言いたいの。」


「ニュースとかでも遺体の近くのナイフからも本人の指紋しかなく、傷のつき方も自分でつけた傷としか言えないと言うことから自殺と断定されたとか言ってなかったけ?」  


「あぁ、そうだ最近はスランプだったから気が狂ってしまったとか、最後に自分自身を作品にしようとしたとか色々と身勝手な考察も言われてたな。」


「まぁ、大方そんな感じなんだろうね。自殺としては奇抜な方だけどその背景からするとそんなに奇妙な話でもないでしょ。」


そうここまでなら、そんなに奇妙な話でもない。スランプになった一人の小説家が何を思ったのか作品が書けない自分への怒りなどからかなんなのかわからないが必要以上のに自分を傷つけ自殺しただけの話である。

「死体の右手の人差し指が見つかってないのは知っているか?」


「あー。そんな報道もあったけかな。大方、本人が自殺する前に切って隠したんでしょう。小説家としての執念には感服するし、その異常性には驚きはしたけど精々、ネット界隈の都市伝説で少しの間騒がれる程度かな。」


つまらない、期待外れだと言わんばかりの冷ややかな視線がこちらに向く。


「その指が俺の友達でもあり、大海九龍たいかいくりゅうの担当をしていた編集者の家に現れた。俺はその友人に頼まれてこの屋敷にきた。」


俺はまくし立てるように言い放った。こんなことをこいつに話して意味があるのだろうか。


「それでその友人の名は?後、ついでに聞きそびれた君名前も聞いておこう。」

人形はさっきまでとは違い楽しそうに話す。

ついでと言われたのはムカついたが、確かに名前を名乗っていなかったことを思い出し、遅くなった自己紹介をする


「俺の名前は蓮潟黄神はすがたおうじで、友人の名前は七黒流士亜しちくろるしあだ」


「七黒流士亜さんは僕にどうして欲しがっていたのかな?」


「アイツいわく大海九龍が書いた小説に出てくる持主を呪い殺す呪いの指らしいのでその呪いを解いて欲しいとの事だ。」


「あー確かにそんなのが大海九龍の小説にあったね。その指が現れた者は死んでしまう呪いの指か。ちなみにその指は今どうなっているの?」


「残念ながら流石に警察に届けたとさ。こんなオカルト依頼するくせに最低限の常識はあるんだよな。そんなんだから本人は事情聴取等で忙しいので俺が代理で来る羽目になったのさ。」


「そうなると少なくとも本当に人の死体の指の可能性は高いんだね。近々ニュースでも報道されるかも。ちなみに奇抜な自殺を考えていた大海九龍が生前に自分で編集の家に隠した可能性は?」


「それはまずない。先生の家に訪問することはあるみたいだが自分の家に先生を紹介することはなかったみたいだ。あと指が発見された場所はなんだがアイツの部屋の中央のテーブルに置いてあったらしいんだが、その部屋は俺も大海九龍の死後に訪れたことがあるがそんな物は無かった。」


「なるほど、それは面白いな。うん、わかった。その依頼受けるよ。」


以外にもこの話の件は人形の主のお眼鏡に叶ったようだ。話の内容を理解してるのかと疑問に思うくらいの楽しそうな返事が帰ってきた。


「肝心な例の指はもう警察に渡したから直接見ることもできない。それでも解決できるのが?」


「うん、今回のケースでは問題ないかな。」


本気で大丈夫なのだろうかと思ってしまう。


「まぁ、でもその七黒流士亜さんとは一回直接お話しする必要があるね。しばらくは予定がないから流士亜さんの都合が良い日にここに連れてきてよ。もちろん君も同伴で。」


「わかった。ヤツも気にしてたし、正直俺も気になる所はあるから連れてくる。」

「うん、僕も当面は予定がないし、事前連絡とか無しで好きな時にこの館に連れて来て構わないよ。」


本気でどう言う生活しているのか不思議なんだが疑問に思うのだが、コイツと連絡先とかを交換するのも変な気がしたので俺はそのまま屋敷を後にした。

まぁ、こんなヤツにベラベラ喋ったあげくまた本当に来る方が冷静に考えれば変なのだが。3日後に俺は当人である七黒流士亜を連れてやってきた。


「なぁ、お前に素直に協力してる俺が言えたことじゃないけどよくこんな変な噂を信じるなぁ。」


道中に思わず隣りにいる同い年にしてはほりが深くいかにも堅物そうな男である流士亜に疑問を投げかける。面白半分でつきあってる俺とは違ってコイツは何故か本気な感じた。俺なんかよりオカルトとか信じないたちだったと思うんだが。


「実際に変な事件に巻き込まれたら、藁にでもすがる気持ちになるさ。実際にアレを発見してから体調も悪くなってるし。」


ヤツはただちに反論してきた。まぁ、当事者からしたらその通りなのかもしれないが。それでも、もっとまともな霊能者みたいなのとかいると思うのだが。まぁ、俺にしてもこの胡散臭い噂の方が面白そうなのでその疑問は飲み込んだ。まぁ、霊能者がまともかもわからんし。


「それにしても数年前に謎の失踪をした美食家の屋敷に怪異を殺す悪魔が住み着くのか。」


本当に胡散臭いので思わず独り言が漏れてしまった。屋敷から戻った日改めて調べてみた情報によると数年前はとある有名な美食家が住んでいたみたいだが謎の失踪をし現在も発見されていないらしい。


「まぁ、そういうな。こう言うのは変な噂がつきものなんだろう。」


本当にこの流士亜と言う男はどうにかしてしまったのだろうか。ホラー作家との付き合いで考え方が変わったか、不可思議体験でおかしくなってしまったのだろうか。それとも警察の取りしべで参ってしまったのだろうか。考えを巡らさせていると屋敷の前まで来ていた。

屋敷の前には執事の真門が立っており、再び俺たち二人を屋敷の広間まで案内してくれた。その中心にはこの館の主である嶺亜の姿があった。車椅子に全身をあずける姿は動きさえしなければ本当に芸術品として作られた人形のようだった。その人形が口を開く。


「初めまして、七黒流士亜さん。すでに知っていると思うのですが僕がこの館の主の悪七嶺亜だ。」


俺からしたら二度目となる自己紹介。それにしても本当に男とも女とも判断がつきにくい声だ。かと言って子供の様な声でもない不思議な音が広間に響いた。


「初めまして、確かに私が七黒流士亜です。この前は直接尋ねることができなくてすみませんでした。今回は依頼を受けてくださりありがとうございます。」


こんな胡散臭いヤツにも礼儀で応えるとは俺は思わず吹き出しそうになってしまった。


「うん、そこの目つきの悪い不審不良青年とは違って礼儀正しくって結構。ただ謝る必要はないよ。だって君の目的は叶わないんだから。」


館の主の人形は失礼極まりない嫌味を俺に言うどころか意味のわからないこと言い始めた。


「ちょっと待って下さい。呪いを解いてくれる依頼を受けてくれるのではなかったのですが。」


すかさず流士亜が当たり前の質問をする。それに対し、人形は人間らしい笑みを浮かべ返す。


「あぁ、呪いを解くという言い方が正しいかはわからないがそれはしてあげるよ。でも、君の目的は違うよね。そもそも君は呪いとかなんてのを信じてない。いや、呪いは信じるがオカルトは信じないと言うべきかな。」


「何が言いたいのですか。」


流士亜から怒りだけでなく、怯えの様な感情が見えた。


「君は大海九龍の呪いを本物にするためにここに来たんだろ。」


言っている意味がわからない。しかし、流士亜の様子から何かの核心に迫っていることは俺にも察することが出来た。

「大海九龍は単なる自殺、ただ最期に後世にまで残る話を作りたかったんだろう。しかしなから落ちぶれてしまった彼にはもうそんな物語を作る力はなかった。だから自らの死を持って語られづける怪談を作ろうとしたのだろう。」


鬼才と謳われながらも絶望し悲惨な末路を迎えたとその人形は言う。


「その怨念の結果が呪いの指で、それによって私の前で変なことが起きてるのではないのですか?」


「あぁ、そうかもね。でもその呪いは大海九龍と君の自作自演だろう?」


一番の核心をついにその人形は口にした。

あぁ、それならばコイツが俺なんかよりも急にオカルト信者ぽっくなったのもなんとなくわかる。コイツはその大海九龍ってヤツの最後の覚悟を無駄にしたくなかったのだろう。真面目すぎるコイツらしい考え方だ。だがそれなら不自然なことがある。


「おい、お前の筋書きならコイツが呪いを解く依頼なんてするのは凄く矛盾してないか。」


「ごもっともな質問だけど簡単な話だよ。怪談を広めやすくするためと、怪談を完成させるためだよ。この屋敷の変な噂は少しは有名だから被せれば話を広めやすくなると思ったんだろう。まぁ、それはおまけ程度の狙いで肝心なのはもう一つの方なんだけど流士亜くんだっけ?君は最後は自分自身の自殺で締めるつもりじゃなかった。」


衝撃的な言葉が飛び出した。流士亜の表情から察するに的中しているらしい。そこまで大海九龍を思っていたのか。


「待て、コイツが自殺したらそこで怪談が終わってしまうんじゃないか。」


「そう、一人だけ死人がでて呪いが終わりだと味気ない。しかしながら複数人の死人を出すのも難しいし、そこまで周りを巻き込む気は無い。だから呪いが綺麗に完結する方法を考えたってわけだ。」


「それが怪異を殺す悪魔か。」


そうか、考えてみればいくら恐怖の果にオカルト信者になろうともこんな胡散臭い噂にのるのは不自然だ。普通ならもっとこう霊験あらたかな神社の神主あたりに相談するのが相場なのだろう。初めから目的が逆だったのだ。


「でもって、そこの金髪の変人がオカルトブログかユーチューブ活動的なことをしているから利用したんだろ。でなければ、こんな変な話に付き合うヤツなんてまずいない。」


ムカつかく言い方だが合っている。俺はそこそこ有名なオカルトブログを書いている。友人の流士亜を心配していたのは本当だが、正直な話し今回の件はネタになると思ったからこそここまで協力していた。


「こんな理屈の通らない事件になると警察にとっては難解だよね。怪しくは思っていてもここまで狂った発想なんて考えもしないし、理屈上可能ても実行なんて普通しない。ましてそのために命を捨てるなんて。」


「馬鹿にしたければするればいいさ。最初からお前になんか期待していなかったし、ここまできたら後は勝手に噂が流れるのを待つだけさ。もう時期、指の件もニュースになるだろうしそれだけでも充分だ。」


今まで黙っていた流士亜が口を開いた。その口調は怒りを感じるが同時に冷静もであるこが感じ取れた。


「俺がブログで全てお前の自作自演と言ってもか?」


「お前からそんなつまらないことを言うとは思わなかったよ。でも、問題ない人は面白い方そして自分が信じたい方を信じる物だろう。」


それは俺が良くわかってるし、正直言えば俺はそこまで影響力があるわけではない。コイツの話を広めるなら俺のそこそこのブログでも効果的だが逆に否定するとなると食いつきは悪いだろう。だが今までの話を全て看過するほど俺も落ちてないし、少なくともコイツの自殺は止めないと気分が悪い。


「最期に質問だけど君たちにこの計画を持ち込んだ人物がいるだろう?ソイツは鳴神蛍なるかみ ほたると名乗る男じゃあなかったかい?」


「何故、それを。」


流士亜の表情が今までに見たことがないくらいに強張る。


「あぁ、やっぱりそうか。うん、でなければこんな破綻が前提の計画なんてありえないもんね。」


「その破綻した計画が今に実を結ぶんだ。これで先生は永遠になるんだ。」


「それが、鳴神の計画じゃあなかったらそうなってたかもね。残念だけどここでその計画が失敗するのもヤツの考え通りだろうね。」


「何を言っている。確かにここではつまずきはしたがまだ終わりでは·…。」


そこで流士亜も事の異常に気づく、言葉を失うのも無理はない。現に俺もその光景により言葉を発するのを忘れてただソレを傍観していたのだから。

気づくと流士亜の足には何匹もの巨大な蛇が絡みついていた。いや、蛇ではない自分たちの知識で例えるのだと蛇なのだが実際にはもっと禍々しい何かなのだ。自殺の決意さえ固めていた流士亜が恐怖で顔を歪めてしまうほどの。


「しかし、アイツに唆されたとしても、互いに命を捨て合うだけの信頼関係と言うのは嫉妬してしまうな。僕にはそんな関係作るのは不可能なんだろうなぁ。」  


人形が嫉妬と怨念がこもった言葉を吐く。

その時、蛇のような物が流士亜に噛み付いた。噛みつかれた流士亜の足から何か黒い物が飛び出し、それはライオンの様な形を取り始めたかと思うとそのまま館の主である人形のところまで蛇に引きづられてしまった。

そしてその主の中に消えていってしまった。 


「これで解決と、やっぱり相手を知る必要があるから嫉妬は面倒くさいな。」


意味のわからない台詞が聞こえると同時に正気に戻った俺は流士亜に駆け寄った。

流士亜は気絶しているが外傷は何もなく、先程の蛇のような何かに噛まれた傷も見当たらなかった。


「その人なら大丈夫。憑物もとれたからもう自殺なんて考えないと思うよ。」


「一体何なんだよ。これは。」


「その人は厄介なヤツに目をつけられて憑物をなすりつけられていたんだよ。まぁ、僕に対する当てつけだね。ここに相談するように仕向けたのもヤツの企みだろうし。」


「ヤツって、なんだよ。」

「鳴神 蛍って言う狂信者だよ。もしまた君がまたヤツに関する事件に関わるようならさっき見たこと含め詳しく教えてあげる。」


「ふざけるな今この場で詳しく説明しろ。」


「怪異は怪異を引き寄せる。君はできればこれ以上このことに関わらない方が身のためだと言う僕の配慮だよ。まぁ、もう遅いと思うんだけどね。」


そう言って目の前の怪物はニッコリと笑った。俺はとりあえず、流士亜を病院に運ぶためにこの屋敷からとりあえず出ることにした。無言で扉を開けてこの部屋から出る時。

車椅子に座っていた悪七嶺亜が立ち上がっているのが見えた気がした。

その後流士亜は病院に行くまでもなく目を醒まし、俺に謝罪を言い警察に自首した。

自作自演だったこともあり、指の噂の怪異も直に冷めていった。

あっさりと計画を破棄したことを疑っている俺に対して流士亜は正直なんであんな破綻した計画を実行しようとしていたのかわからないと言った。先生のことは尊敬していたがあんなことを実行する気はなかったのだと。

本当にあの館の怪物が言ったように憑物が落ちたようだった。逆に言えば流士亜たちを唆した鳴神と言う人物は本当に人格すら変えゆるほどの化け物なのだろう。

館の主の怪物、流士亜に噛みつかれた蛇のような異形、人の人格すら歪める謎の人物と噂以上にこの町は怪異の住処らしい。

ともあれ、こんなことに巻き込まれるのはもう流石にゴメンだ。オカルトとは実害がない範囲で付き合っていきたい。気になる点はあるが無理に首を突っ込むのはよそう。


だが一度怪異に巻き込まれたらまた巻き込まれるのが世の理だった。


1話完 傲慢

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