国立世界博物館雑記
多聞
鍵
地下収蔵庫の扉を開けると、ざわめきが止んだ気配がした。そんなはずはないと分かっていても、つい錯覚してしまう。最後までこの場所に慣れることはなかった。儀礼に使う道具や衣装などが収蔵されている通路を抜け、奥のエリアに向かう。普段は意識的に避けている場所で、五十貝は足を止めた。上から三段目。引き出しの鍵を開けると、そこには口のない仮面が並んでいた。何十年も前、研究対象にしていたこの仮面。館長職を退くまでの数日間なら、存分に調査ができるだろう。五十貝は仮面を手に取ると、足早に収蔵庫を去った。
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