ハイスペックを自覚しろ!

訪ねてきたお客様を迎える応接室に来ました。

この部屋に来た理由はこの部屋は広いからである!


部屋のテーブルに卵を2つ乗せるとシオンばフィーネに尋ねた。


「フィーネ、取り敢えず回復魔法を掛けてみるけどいいかな?」

「そうね~?あっ、ちょっと待って。魔物の森で見付けた卵は毒に侵されているわね。状態回復の魔法から掛ければ良いかも」


ふむふむ………?

ならばやってみよう!


まずは毒に侵されている卵から。


「彼の者の病を癒す奇跡をお与え下さい。キュアヒール!…………と、彼の者の傷を癒す奇跡の光りを。ハイヒール!」


なんと、シオンは右手で状態回復の魔法を放ち、左手で体力回復の魔法を同時に使ったのだった。


シオンの魔法が卵に当たると、吸い込まれるように消えていった。


「およよ?失敗した?」


フィーネは何処から出したのか、ハリセンを取り出してシオンの頭を叩いた!


スパコーーーン!!!


「あいたっ!」

「およよっじゃないわよ!よく分からないスキルを手に入れて凹んでいると思ったら、複数の魔法を同時に使うなんて、賢者でも出来ないわよ!何なのよ!嫌味?嫌味なの!ねぇ!?私に対してなんか怨みでもあるの!?」


フィーネはシオンの首元を掴んで揺らした。駄女神でも出来ないことだったのでプライドを傷付けられたからだった。


「くる、苦しい………あうあうあう…………」

「ちょっと、フィーネもう許してあげて?」


賢者のスキルを持つレインが止めに入った。


「ええい!止めるなシオンの兄よ!このポンコツ姫は自分がどんな凄い事をしたか自覚ないのよ!」

「うん、まぁ、そうなんだけどね?」

「そ、そんなに凄いことなの?」


首を傾げながらシオンが尋ねた。


「そうだね。魔法を使うには集中力が必要だよね?魔法を2つ同時に使うってことは意識を分散させるから、難易度が高くなるんだよ。今の僕でも同時になんて無理だからね」


そうだったのかー!

シオンは納得したように頷いた。


「はぁ~、何なのよ。でも成功したみたいね。色が正常になったわ」


卵は変色していた所が綺麗に白い卵になっていた。


「よし!」


シオンはガッツポーズを取った。


「次は海で取ってきた卵なんだけど………良くみると幾つか『針』が刺さっているのよね?」


フィーネが指さした。


「あっ、本当だ。針金のような細いけど、硬い針が刺さっているわ!」

「それは抜こうとしたが途中で折れたんだ。無理に抜こうとしたら卵が割れそうだったから、このまま持ってきたんだ」


なるほどね。


「じゃ、抜いてから回復魔法を掛けよう!」


シオンが針を摘まむと、簡単に抜けた。


「ポイポイッとなぁ~」

φ(゜゜)ノ゜


「えっあ、ちょっ──」


フィーネが止める間もなくシオンは全部の針を抜いてしまった。


「はい、ヒール!これがハイヒール!なんちゃって♪」


フィーネはニッコリ微笑むと、無言でハリセンを取り出してシオンの頭を叩いた。

スパコーーーン!!!!!


「このポンコツ姫がーーーー!!!!!勝手に進めるんじゃなーーーーい!!!!!」


あいたーーーー!!!!!!


こうして、なんやかんやありましたが、卵は2つとも無事に回復したようでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る