期待してたのに………
儀式の部屋からでると、一緒に来ていたフィーネとお母様が待っていました。
「シオン!どうだった!?」
フィーネが飛び付いてきた。
シオンは悩んだが授かったスキルを伝えた。
「えっ?豪運?何それ???」
「私も聞いたことがないわね~?」
不安な顔のシオンに、フィーネがシオンの肩を叩いて言った。
「ドンマイ☆」
うわぁぁぁぁああああああん!!!!!!!
シオンは母であるリーゼに飛び付き泣いた。
少し経って、シオン達は馬車に乗り帰ったが、馬車の中でフィーネはシオンを慰めた。
「ごめんなさい。まさか、そこまでショックを受けていたなんて思わなくて………」
「えぐっえぐっ……楽しみにしてたのに……」
せっかくの異世界なんだもん。
夢を見たって良いじゃない!
シオンはそのまま公爵家に戻ると布団にくるまるのだった。
「あ~どうすれば良いのよ~」
シオンがいじけている時、フィーネもこの先の展開に頭を抱えた。
いや、本当にどうすれば良いのよ?このまま婚約破棄されてしまったら………多分、豪運のスキルのお陰で処刑エンドは回避されると思うから、追放エンドかしら?
そうすると、危険な辺境でどうやって生きていけば良いのかしら?
取り敢えず魔法は使える様に訓練するとして………問題はどれだけ授かったスキルが使えるかと言うことなんだけど………
聞いたことがないスキルだし、検証しないといけないわね。
フィーネはこの世界にきて初めて真面目にシオンの事を考えるのであった。
「あっ!そういえば、この世界に来てから?シオンって運が悪かったような………」
いえ、日本で暮らしていたときも運が悪かった………?だから交通事故で死ぬ前にも、何回も私はシオンをそれとなく助けていたわ。
まさか、シオンは何かしらの因果率で運が極端に悪かった?
はっ!?
だから上位女神アルテミス様はこの世界に送ったのね!このスキルを与えるために!
まだアルテミス様の目的はわからないけど、なんとなくシオンにこのスキルを持たせたかった事を察したフィーネはシオンが立ち直ったら、スキルの検証をしようと計画を立てるのであった。
そして、落ち込んでいるシオンの事を知って家族や公爵家で働く侍女達がシオンを励まそうと奮闘する事態になった。
シオンとフィーネのやらかしのお陰で、すっかりシスコンになった二人の兄達がいた。
「なぁ、シオン大丈夫かな?」
「ああ、シオンが泣くなんてよっぽどだよな」
シオンの父親であるカール公爵は赤髪の碧眼の容姿であり、長男である『ルーク』は父親の容姿を受け継ぎ、とても良く似ていた。
そして、『剣聖』のスキルを授かっていた。
双子の弟である『レイン』はシオンと同じく母親似であり銀髪で碧眼であった。
そして、『賢者』のスキルを授かっていた。
シオンと一歳違いの兄達はシオンを溺愛するようになっていた。ここでは割愛するが、色々と出来事あったとここでは書いておく。
「よし、シオンが喜ぶように、龍でも狩ってくるか!」
「じゃ、僕は海にでも行って綺麗な真珠でも採ってこようかな?」
こうして公爵家は慌ただしくなるのであった。
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