第34話「後夜祭」


「「「「「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」」」」」


 後夜祭まではあっという間だった。

 クラス展示の方の仕事を手伝い、部活の方の展示も嫌々ながら手伝いと仕事三昧で文化祭最終日の午前を終えることになった。


 まぁ、ビックリしたことが多かったが中でも部長がたまたまこの学校に来ていたOBの陸上自衛隊員と嬉しそうに話していたし、キャンプファイヤーも一緒に踊ろうと約束していたことだった。


 あの部長が恋愛とは……と少々疑問下に感じてしまったがもとはと言えば部長事牧城舞花は普通は可愛いのだ。黙っていれば可愛いというヒロインではありがちのやつだが事実は事実。


 しかし、同じ部員としては部長が恋仲になってくれたのは嬉しく思う。


 それはそれ、これはこれだが晴彦の方も彼女と一緒に回っていたのを見かけたし、


『おぉ、来たぞ~~義ぃ』


『あ、あいつじゃん』


 と仲良く遊びに来たのも、初めて晴彦と彼女がイチャイチャしてるところを見たのでギョッとしてしまった。楽しそうなのは良かったがもしかしたら晴彦も最初はこんな風に思っていたのかもしれない。


 我ながら、俯瞰して恥ずかしく思ってしまったのは一旦仕舞っておくとしよう。





 というわけで、文化祭最終日の本当の始まりはこの後夜祭からだった。

 生徒会の準備を手伝った俺は休憩がてら第一体育館に訪れていたのだが、後夜祭バントライブは例年同様の凄まじい盛り上がりを見せている。


「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ」」」」」


「「「「「いやっふぅぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお‼‼‼‼」」」」」


「「「「「いけええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ‼‼‼‼」」」」


「「「みどりちゃあああああああああああああああああああああああああああんんん‼‼‼‼」」」



「「「「なおやぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼‼‼‼‼」」」」


 男女混合のポップなバンド。

 ボーカルのみどりちゃんらしき女の子に最前列を埋め尽くす半裸で燥ぎまくる男子たちが声を嗄らしながら名前を呼ぶ。さらには前列ギターのイケメン、なおやには男子の奇声に加えて女子の黄色い声援が飛び交い、二人の表情は途轍もないほどに楽しそうだった。


 熱気に、鼓動に、そして学生にしては完成度の高い歌。

 正直、こんなの楽しければいいと思っていたがこの盛り上がりようを見ていればッどうやらそう言うわけでもないだろう。


 ドンドンドン!!!

 ギィンンンンン!!!

 パチパチパチ!!!


 楽器の音に、体育館を埋め尽くす生徒たちが飛び跳ねて建物自体がずしずしと揺れていた。正直建物自体崩れてしまうのじゃないかとドキドキしていたが後ろで見ている先生方も「まったくなぁ」と呆れ笑いを溢していて、大丈夫らしい。


「いけえええええ、叫べぇえええええええ豊平ぁあああああああああ‼‼‼‼」


 イケメンギタリスト「なおや」が雄たけびを上げると生徒たちもとい聴衆たちも「うおおおおおおお」と声を嗄らす。


 去年の後夜祭バンドは色々あっていけなかったから今年は見てやると思っていたが俺とは全くと言っていいほど別世界で凄いとしかいようがなかった。


 3年生から1年生まで、バンドが変わり静かな歌になったとしてもそれに合う形で声援を送り続ける姿に俺もいつの間にか釘付けにされていた。







「って俺、何してるんだ」


 ハッとしてすぐさま生徒会室へ戻ると時刻はすでに5時半を過ぎていた。


「——あ、いたいた、新人君」


 そう声を掛けたのは保形委員の先輩女子だった。


「え、あぁ、すいませんほんと」


「休憩はとっくのとうに過ぎてるからね~~」


「まじですんません」


「まぁ、いいけど……あ、そうだ」


「ん、ど、どうしたんですか?」


「ほら、さっきりーたんが呼んでたなぁって」


「六花がですか?」


「うん、そうそう」


「まじか……全然聞いてなかった」


「ふぅん。まぁいいけど、早くグラウンド行ってあげたら?」


「そ、そうっすね。行ってきます」


 そうして、身体を反転させ颯爽と生徒会室を飛び出した。飛び出す瞬間、「あつあつだねぇ」と聞こえた気がしたがまぁ気が付かなかったということにしておこう。



<あとがき>


 どうも、ふぁなおです。えぇ、最近になって急にどうしたんだって話なんですが締め切りが近づいてきたってだけです。色々あって書けなかった分をこの数日で取り返そうとしているだけなのでお気遣いなく。それと、毎回誤字報告やコメントありがとうございます。誤字に関してはご指摘いただいた中でわざとやっているものに関しては直してはいません。ただ、めっちゃうちミスする僕からすると大変うれしいことなのでここで御礼をしておきます。まじでありがとうございます。


 というわけで、10万字まであと少しなのですが後夜祭と言う個人的にはあまりにも懐かしい文化祭の風物詩を書かせていただきました。勿論、僕の高校で後夜祭、そしてバンドライブなど「あの頃はぁ」と思えるような行事がありました。男子は最前列で上半身裸になり、クラスTシャツをタオル代わりに回したりまさにライブはプロさながらって感じだった気がします。まぁ、そんな思い出を参考に書きましたがまだ高校生の方はしっかり楽しんでください。では。


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