カカシ

手に入れることは容易い。

求めれば掴める。

飢え。

求めていないことが問題だ。

飢えてからでは遅い。

身体が動かない。

烏がやってくる。

俺の次の餌。

死ね。

くたばれ。

いてまえ。

そうだ。

気づきは遅い。

死んでから学ぶ。

ヒトダ。

骸骨に敬礼。

赤く染まる大地。

地球ヨ。

偽の愛よ。

愛してあげる。

愛してあげる。

稼働する生命体。

いつのまにか嘘まみれ。

手が届かない。

私の胸に何もない。

一本道。

枯れた大地。

周りは山しかない。

Kは足を引き摺る。

水を奪う。

陽射し。

真っ赤な太陽。

枯れた灰色の空。

空は涙を尽くす。

どれだけ泣くのか。

どれほど。

Kはまっすぐ歩く。

視点はぶれない。

車が駆ける。

サングラスの男と女。

beautiful city。

来訪者は笑う。

「お兄やん、この先は地獄でっせ」

Kを汚す。

Kは無我夢中で足を引き摺る。

キーキー。

地面が鎖で削られる。

ヒトダ。

ヒトが道を舗装する。

ヘルメット。

銀のツナギ。

汗だらけ。

鉄。

草刈りをするお爺さん。

麦わら帽子。

花を植えるおばあさん。

ひまわりの種を食べる赤ちゃん。

町がある。

西部劇に出てくる町。

「ここら辺にオアシスがある」

町案内人のカカシが話す。

「気になるならゆけばいい。心が洗われる」

ヒトは家の中にいる。

外を出歩かない。

「みんな耐え忍んでいる。この世で生きる喜び、そして悲しみのことをムスコムスメに話す。明日はない。明後日だけがある」

ヒトダ。

オアシス。

枯れる。

枯れた赤いリンゴ。

シワシワ。

リンゴの成れの果てがオアシスに積もっている。

枯れた赤いリンゴの海にUがいる。

日向ぼっこ。

「骸骨になる。骸骨は良い。形が明白だ。中身がなくても許される。襲わないでください。不健康だから。死んでいるから。死体に鞭打ちやめなさい。」

Uは不愉快。

Kは空を見上げる。

木の影。

小さな黒点。

少しずつ近づく。

オアシスに降るリンゴ。

Uは笑う。

泳ぐ。

リンゴを求める。

貧乏な鳥。

バサバサと飛ぶ。

リンゴは襲われる。

純粋で高貴な処女のように。

Uはつまらない。

「アイムイングリッシュマイニューヨーク」

Uはリンゴの中を沈む。

「そうですか。枯れていましたか。」

寂しくカカシは笑う。

「所詮なくなります」

「カカシさんはカカシだから死なないのでは」

Kの問いかけにカカシは顔を硬直させる。

カカシの顔は赤い血液の泥に塗りたくられている。

昔、ヒトヲ撃ちすぎて倫理が反転するオトコガ拳銃を撃つ代わりにカカシをつくる。

カカシは懺悔。

おっほっほっ。

ねここねこ。

カカシは悲しい顔をする。

そう見える。

「魂がなくなる」

カカシはこの街が好き。

街がなくなれば、カカシは消える。

いっそのこと首を絞めてあげる。

Kは死体に鞭を撃つ。

ぱしんぱしん。

無抵抗なカカシ。

扉が開く。

町はカカシを見る。

ぎょろぎょろ。

鋭い眼差し。

私をこれ以上傷つけないで。

ああっ。ああっ。

Kは紫色の両手をカカシから手放す。

頭がずきんずきん痛む。

Uの高笑い。

リンゴの底から響く。

ぱきゅん。

また何処かでピストル。

ヒトダ。

追われる。

懺悔の値打ちはない。

打ち捨てられるキリスト。

神の血が流れる。

白くドブの大地。

青い匂いに誘われる。

私はカモメ。

違う。

カラス。

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