(第一部完結済)双剣使いの英雄譚 ~ロボやモンスターが飛び交う世界に転生したので、自由気ままに生きるために前世の経験を駆使して楽しみます~
第1話 あっけねぇ前世の死に様と、ろくでもねぇ現世の生き様ってやつだ
(第一部完結済)双剣使いの英雄譚 ~ロボやモンスターが飛び交う世界に転生したので、自由気ままに生きるために前世の経験を駆使して楽しみます~
有原ハリアー
第1話 あっけねぇ前世の死に様と、ろくでもねぇ現世の生き様ってやつだ
「あー……死んだな、これ」
蔵の地下で、俺は目の前の状況を察して笑いながら呟いた。
奥まで行っちまった今、慌てて走っても間に合わない。しかも、扉の前に棚が倒れて開けようにも開けられねえ。
幼馴染の代わりに蔵の中の点検をしたら、急にすげえ地震が起きやがった。まぁ、実は地震が起きそうな感じはしてた。
じゃあなんで行ったんだって話だが、単純だ。あいつが無惨に死ぬざまは、見たくなかったんだよ。
揺れた結果、棚が倒れて刀が降って、切り刻まれながら人肉ハンバーグにされる……なんて、死にざまはな。
「ま、あいつの身代わりならそれはそれでいいか」
――なんて笑った次の瞬間、俺の意識は凄まじい音とともに消え去った。
***
ってぇのが、俺ことゼルシオス・アルヴァリアの前世の最期だったよ。
まったく、何であんな蔵の中の棚が全部倒れるようなデカい地震が急に起こるかね? まぁ、名乗り出ちまった俺も俺だけど……見て見ぬふりって、どうもできねぇなぁ。
あぁ、そうそう。
死んだ後から
三つ確かなのは、俺が黒髪黒目で、しかも不思議と前世の記憶、おまけに技術を受け継いでるってことだな。前世は剣道――それも二刀流で有名な名家に生まれたけど、何の因果か
あー、ハッキリ言っとくが、俺はおっさんじゃねえぞ。今は40だけど、前世の年齢で言うと16歳だ。端的に、時間っつーか人生が前世の2.5倍くらいなんだよ。ついでに言うと、40はこの世界――ヴェルセア王国って国じゃあ成人だ。
そんな俺だけど、成人と同時に生まれた家――アルヴァリア家を
今? ロボットに乗ってふわふわ空中を漂いながら、テキトーに旅してるよ。あ、でもな。
「自由って、サイコーだな!」
別に、勘当されること自体はクソどうでも良かったんだ。
ま、勘当されちまうほどの悪さなんて、思い当たることはいっぱいある。
つい昨日まで通ってた、騎士学校なんていう教育施設で起こした数々の暴力沙汰がそれだ。
俺に難癖や因縁を付けた奴らを片っ端から死ぬ一歩手前までボッコボコにしたし、俺の
だいたい15から22のときだったな。最後の腐れデブに関しちゃ、前世で言えば小学生の子供が大人をタコ殴りにした……ってやつだ。
ちなみに、俺のいたアルヴァリア家ってのは騎士の家だ。
騎士ってのは、貴族や王様より格下なんだよ。どっかで見たけど、この世界も漏れなくってワケだな。つーか、騎士ってのはヴェルセア王国の軍人みたいなもん、な? 正確にはちょっと違うけど、そんな感じだ。
ふつう、騎士が貴族に逆らったら……ってことだけど、不思議と俺やクソ親父ども一家にはおとがめなしだったよ。一切な。何があったんだろうな?
でも、思い当たるのはそれだけじゃない。
家でもやっぱり生意気だった。両親や兄――長男と次男には反抗しっぱなしだったな。俺は一番下の四男だったけど、どうもあいつらの言ってることに納得がいかなかったんだ。
そのくせ俺は、ケンカの技術だけはいっちょ前にはあったから……あいつらが変なことを言ったら、すぐぶん殴ってたよ。「お前に力は必要無い」だの「この無能」だの、どんな性根してたら出るんだろうな? 否定ばかりしてくるクソ野郎どもが。あー、でも兄たちを差し置いて、剣術流派“
けど、ろくなもんじゃねぇ兄の中でも、三男だけは俺によく接してくれた。あと母親は、俺が悪さをしても一応かばってくれてもいたから、特例っつーか恩としてこの二人は殴ってない。でも口ごたえくらいはしたけどな。
そんなこんなで、俺が成人したその瞬間に家を追い出されちまった、ってワケだ。
けど、幸い住むものはある。
なんでアドシアなんていう、見るからに高そうなもんを持ってるかって? 騎士学校を首席で卒業したからだよ。素行はクソ最悪、でも成績はぶっちぎりのトップだった。
俺の通ってた騎士学校だと、首席と次席にはアドシアが与えられるんだ。最初、俺はあまりの素行の悪さから、アドシアを貰えねぇ3位の成績にされそうになった……そう噂で聞いたな。
でも何でか、席次は変更されなかった。今でもさっぱりわかんねぇ。それで結局は成績通り、俺が
結局、俺は専用にカスタマイズされたアドシア――「シュタルヴィント改」を首席で卒業した証に貰って、当面の家がわりにしたんだ。
ぶっちゃけ勘当されてもへっちゃらなのは、これがあるからだな。
「さて、ひとっ
適当な浴場で、まる一日洗ってない体を洗おうって気分になった次の瞬間。
シュタルヴィント改のセンサーが、襲撃者の来襲を告げてきやがった。
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