埋れ人

簪ぴあの

第1話

私を育てたのは祖母だ。

両親は高校教師で、母は四十才で私を産んだ。母は一人娘で親の望み通り婿をとったが、仕事一筋でなかなか子供をつくらなかったのだ。

同じく高校教師だった祖父は私が産まれる前に亡くなっている。祖母にとっては待ちに待った孫だ。母が超仕事人間だから、孫の教育は自分の責任だと思ったのだろう。本当に祖母は怖かった。

背筋を伸ばし、はきはきとはなさなければ叱られた。幼稚園でも小学校でも何より恐ろしいのは授業参観に祖母が来ることだ。授業内容はもちろん、クラスメートの名前や発表の内容などもしっかり覚えている。

「○○ちゃんの意見はよかったわ。」

などと、学校からの帰り道や帰宅後に延々と聞かされるのだからたまったものではない。

だからといって、祖母が大嫌いかというとそうでもないのだ。

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