シャーシャンのお話し
織風 羊
第1話
ナズナ連邦国のある村で、ある日、突然、その子はやって来た。黄色い短パンに緑色のタンクトップ。足元は、その小さな足に似合うはずもないくらいに大きなサンダルを履いていた。笑うと口が顔の半分もあるのではないかと思えるくらいに大きな口で笑った。
二人の少女が公園で遊んでいる所へやって来て、二人の遊びを見ていたが、その可愛らしい笑顔に誘われるように、その子を二人の遊びの中に入れてあげることにした。
その子は自分のことを、
「シャーシャン、シャーシャン」
と言っていたので、二人の少女は、その子を、
「シャーシャン」
と呼ぶことにした。
三人は仲良く公園で遊んでいたが、夕暮れ時にお別れをすることになると、シャーシャンの太陽のように大きな笑顔が曇りだし、その代わりに大きな瞳が涙で輝き出したかと思うと、大粒の涙が溢れ出した。
「シャーシャン、帰る所ない」
とシャーシャンが言うと、大きな方の少女が
「お家、ないの?」
と訊いた。
「シャーシャン、お家ない」
と少年が答えた。
それを聞いて小さい方の少女が、
「じゃ、うちにおいでよ」
と言ったが、大きい方の少女が妹であろう少女を睨みつけた。
「シャーシャン、お家に行く」
と急に大きな口を広げて笑顔になったのを見ると姉の少女は連れて帰らなければならないことになってしまった。
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