第6話・オデッサの目撃者とネオ・ジオン抗争

 自動化されている連邦の開拓シナリオですが、宇宙世紀初期、少なくともシャアの反乱あたりまでは、シナリオの存在を知り準ずる人たちが存在しました。容疑者は連邦サイドでレビル、ゴップ、エルラン、マチルダ(たぶん)、ワッケインなど。ジオン側はデギン、マ・クベ、キシリアの命を無視してマ・クベへの援助を妨害した軍高官たち、ククルス・ドアン、一般市民ではニューヤーク市長など。


 その中でマ・クベとレビルの存在は重要でした。彼らはグルだったのです。

 存在しないはずの資源採掘。それを宇宙に運び出し、本当に無かった事にするのがマ・クベの任務でした。そして最終的には関係者の多くを消すつもりだったのでしょう。

 岡田斗司夫氏は「あの時キシリアがアッザムに乗ってるのは不自然」と指摘していましたが、あれはアムロが採掘基地を目撃してしまったのが原因です。マ・クベはガンダムを倒した後に、アッザムで基地を関係者ごと焼却するつもりだったからキシリアを同乗させたのです。

 ただしキシリアは事情を知りません。

 一方エルランはマ・クベとレビルの連絡役。アムロは余計な事をしでかしてくれました。

 オデッサ作戦でマ・クベが水爆ミサイルを使用したのは、採掘基地群を敵味方ごと消去するためです。おそらくビッグトレーは水爆に堪えられる防御力を持っているので、自分たちだけ助かる確証を持っているレビルは『行け』と手振りで命令したんですね。全てを無に帰するために。

 弾頭ぶった斬られました。またアムロが余計な事を!

 もちろんキシリアがマ・クベを支援するよう上層部に再三要請しても聞き入れられなかったのは、水爆の犠牲者を減らすためで、それはキシリアがシナリオの存在を知らなかった証拠でもあります。

 さて厄介な事になりました。オデッサに採掘基地があった事実を知る者が残ってしまったのです。どうにか最小限に抑えたものの、直接の目撃者であるアムロを筆頭としたホワイトベースの面々だけは誤魔化しようがありません。しかも話の通じなさそうな若者や子供ばかり。カツレツキッカは何も知らないのでジャブローで保護します逃げられました。

 レビルはホワイトベースを囮として、その実、ジオン軍に消去させるために単独行動を強制しました失敗しました。

 アムロはどんどん人間離れするし、ミライさんは巨艦でビームを避ける人外だし、カイはサラッと危険な場所を感知するスーパー臆病者だったり、すでにもう誰にも手がつけられないほどの化物集団と化していたのです。

 仕方ないのでマ・クベ出撃! 途方もなく不安だけど新型モビルスーツで怪物ニュータイプを暗殺せよ! 極秘任務だから一人で頑張るよ!

 わあ何でシャアが来るんだあっち行け! 私はこいつを消さなきゃならないのだよテメーも消すぞうわー木馬を消去しに来たワッケイン殺してんじゃねぇやめろー!

 ……ゴメンもう無理。あの壺をキシリア様にあれはいいものだ!


 その壺ですが、おそらく連邦の裏シナリオ、宇宙世紀の真実が書かれた紙かデータが入っていたのでしょう。特級の機密事項です。

 事の真相を知ったキシリアはシャアを懐柔、同志に引き入れます。あるいは引き込まれました。

 シャアは最初からシナリオの手先で、妹を助けるために介入したのかもしれません。

 たとえ知らなかったとしても、シャアはザビ家への怨恨を抱えつつ、シナリオに従う決意を固めた訳です。


 さてジオンですが、コロニーを落とし資源を収奪したので用済みです。後片づけをしなければなりません。ちょっと早いかもしれませんが、デギンはこれ以上子供を失いたくなかったのです。

 しかしソーラ・レイで両艦体ごと消滅し、その時キシリアは思い知ったのです。

 兄ギレンはシナリオの存在を知らずに戦争し、暴走している!

 もちろん消しました。兄上も意外と甘いようで。

 

 さて事の真相を知ったシャアですが、アムロを殺せないかとジオングで一生懸命探します。私にも敵が見える!

 倒せなかったので懐柔策に変更。ララァの件はさておいて同志にすればいいじゃん無理でした。ニュータイプなんだからわかれよ!

 もういい。でもキシリアにはタヒんでもらおう。あいつがいると戦争終わらないからね。


 戦後、ブライトはシナリオの走狗となって出世、シナリオに従わない意思を示したアムロは証拠隠滅のために幽閉されました。

 残されたミネバ様は、その後シナリオの走狗と化したハマーンの手で、次なる騒乱の種として育てられるのです。シャアが怒るのも無理ないわ。


 だったら私が代わりを務めよう! と頑張るシャア(最初からやっときゃよかったんだこの馬鹿とハマーン)。本心ではただのMSパイロットでありたかったのに、ダカール演説やらミネバの面倒と教育方針の修正やら第二次ネオ・ジオン抗争やらで、裏と表と大忙し。


 ハマーンはというと、シャアとの密約でミネバを開放、また地球から人類を追い出すためにコロニー落としを敢行し、同じくシナリオの走狗だったグレミー・トトと戦い、ジュドーを同志にしようと頑張ったけどダメでした。でも意思は伝わったようなので、救いのある最期と言えるでしょう。


 ハマーンの意思と裏シナリオの存在を知ったジュドーは、遠い木星でシナリオがどう作用しているか気になったようです。さすがはニュータイプ、大当たりでした。


 木星ではシナリオが暴走を始めていたのです。

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