お兄ちゃんに、いつ到達できるの?

黒田寛実

第1話

お兄ちゃんがわたしには必要なのです。

お兄ちゃんのことが大好きです。

わたしは、お兄ちゃんの〇にふさわしい存在でありたいと思っています。

でも、今のわたしはどうでしょう?人前に出られないです。

駄目ですね。


じんぐるべえる

じんぐるべえる

すずがなるう


あはは、クリスマスでもないのに歌っちゃった。つい、てへっ、ドジだね。

起きて起きて、お兄ちゃん。

お兄ちゃんよく寝てるねえ。えーい、ガバッ。

お布団にダイブ。

えへへ、どうだーっ。

え、ぷんすか?

怒っちゃった?

ごめん、悪気はなかったの。

顎にぶつけちゃってごめんね。

もう大きいんだからそうやって起こすのは危ない?

そうかもね、でも、お兄ちゃんだと、つい。

ずっと、そうやって起こしてきたから。


わたしはお兄ちゃんの自慢の〇です。


寝るしかない。

寝ることしかできない。

希望は潰えた。

輝かしい時代は終わっていた。

全て終わった後を生きて、何の希望があるというんだい?

そのくせ、自殺もできやしない。

臆病者。


お兄ちゃん、今日も爽やかだね。わたし、●だけど、胸がきゅんとしちゃうなあ。

颯爽と自転車で風を切って通学するお兄ちゃん。

イケメンさんだあ。


希望。

なくなってから何年経つ?

相当前に消えてしまった。

希望がないことを自覚して生きて行けという要求がされている。

それは辛すぎて、できる気がしない。

冷笑の虫に取りつかれる他人たち。

志のある人たちは、私を置いて行ってしまう。


お兄ちゃんは、わたしを見捨てないでくれる?

口が突き出ていて、歯並びも悪いわたしを。

こんなに身体にお肉がついてしまったわたしを。

今日も一日、部屋から出られなかったわたしを。

そもそも、〇でさえないわたしを。

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