麺丸🐔

!

少しばかりの傷をつけるが



朱い色には悪寒がするのだ



カッターナイフを持つことはできず


少しばかり伸びたその爪で


死んだ細胞をぴりりと剥く



爪切りを持ち


ぱちり、と


白い所がなくなるまで



傷の面影がなくなるまで


何度でも


未完の瘡蓋を毟り取る



わざと


軽度な火傷を負ってみたり


指先での呼吸が


苦しくなるまで


輪ゴムで締め付けてみたり


とんがった針先で


薄い肉を貫いてみたりなど





痛みで生を知る。


感覚を


存在を


痛みだけが補う。



朱は見ない、掟なのだ


それはやわらかなものなのだ


誰にも気づかれず


誰にも迷惑をかけず


私だけの


私が生きるためだけの


やわらかな自傷行為にすぎないのだ


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