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灰の街がなくなった時、レテューが感じたのは、ああ、またか、という諦めの気持ちだった。



また、奪われた。



あっけなく。



何度も何度も容赦なく、奪われ。けずられ、壊されてきた。



何もかもが、この手のひらからこぼれていく。



どれほど力をつけても、味方が増えても、また。






だから。


街が緑で覆われた時。


奇跡が起きたと思った。



やっと。今までやってきたことに意味が──あったのだと。


街のみんなで街を復興できた日。


やっと、肩の力が抜けた気がした。


新しい森の中に、周りの木々を利用して真新しい家を建て。


新しい街の入り口に、ギルドの建物も作った。


鉱山で仕事が出来ると耳にして、新しい住人がやって来て、対応に追われたり。


毎日忙しくこなすうちに、気が付いたら半年経ってしまい。


何か忘れているような気がして首をひねる。



「──?」


「どうした、レテュー。昨日から変な顔をしてるぞ」


新しい緑の街の、ギルドマスターとなったケイレルに指摘され。


「いや、なんか……忘れてる気がして」


「?」


急ぎの仕事もなく、街の運営も回りはじめて、ようやく一息ついた日。


花曇りの空からは、弱々しい日の光。


暖かく、落ち着いた、静まり返ったギルドの1階に座り──レテューは反射した光に目を止めた。


光、光……優しいあたたかな。


唐突に思い出す。





『オレのコト、王子って呼ぶなよ』





思い詰めたように〝頼み事〟をされたのを。



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