解説

「第1回 #匿名超掌編コンテスト」作品解説

【030】「先生、試しに長ったらしいタイトルで読者を釣ってみたらどうですか。『後宮を追放された私、異国の歌と舞踊で成り上がり ~四千年に一人の歌姫アイドルと今さら握手したがってももう遅い~』とか……」

https://twitter.com/tokumeiconboard/status/1614644959470313473


 カクヨムの匿名コン本編でもお馴染み、主催者自らはっちゃけることで自由度を広げるシリーズの一。

 この作品自体が「長ったらしいタイトルで読者を釣る」趣向なのですが、今回の参加者層には響かず、空気の読み違いを痛感。

 中華×アイドルといえば『マクロスF』のランカちゃんですが、そのまんますぎてもアレなので、ずらしてシェリルさんの中国名「雪露」からヒロインの名前を取りました。

 ポンコツ師匠とドライな若者のコンビは個人的に好きなので、またどこかでリバイバルできたらいいなと思います。



【088】匿名コン名物、美人で変人な先輩が俺の元にも……えっ後輩なの? なんで!?

https://twitter.com/tokumeiconboard/status/1614648143886569473


 常連の方にはお馴染みのルビ芸シリーズ。「これが許されるなら何やってもOKだろう」というラインを高めに引いておくのは主催者として大事なので。

 後輩の名前がチサトちゃんなのは、当時『リコリス・リコイル』を見たばかりだったからです。こういう子が後輩に居てくれたら楽しいだろうなと。

 なお、「五分の二が幽霊部員」となっていたのは、「五分の三」と書くべきところを完全に間違えたものです(※再掲時に修正)。五人いる部員の内、マトモに活動しているのはこの二人だけという設定のはずだったのですが、ここを書き間違えたことで、幽霊じゃない残り五分の一は何してるんだって話に。

 カクヨムだとこうした誤記は後から修正できるのですが(もちろん他の方の修正依頼にも対応しています)、画像投稿の形式が災いしました。ちゃんと読み直ししましょうねという教訓です。



【097】オレオ

https://twitter.com/tokumeiconboard/status/1615002132276727809


 匿名コン恒例、誰もやらなければ主催者がやると決めているやつ。

 馴染みのない方のために解説しておくと、これはカクヨム黎明期、本文に「オレオ」とだけ書かれた作品がランキング上位に居座ってしまったという故事に由来しています。

 歴代匿名コンにおいても、オレオはカクヨムの「始まり」であり、言わずもがな「食」であり、歴史の「闇」であり、「過去」の記憶であり、数年を経て「再会」もするし、春の季語にもなる……という具合で、あらゆるお題に対応する万能の三文字でした。そして勿論「試み」でもあるというわけです。



【098】試せメロス

https://twitter.com/tokumeiconboard/status/1615002187096281088


 初日の二作が思った以上に今回の参加者層に刺さらず、これはヤバイぞ、戦い方を変えないと、ということでチューニングを合わせた一作。

 作中「試しに」で行動しているのはメロス兄妹だけで、警吏や少女は普通なのがポイントです。

 元々こうしたパスティーシュ遊びは私も大好きなので、多くの方に気に入って頂けて何よりでした。

 ちなみに本文中に「試」の字は26回出現しており、全178作中で最多となっています。



【116】お試しヒロイン

https://twitter.com/tokumeiconboard/status/1615364428610039810


 シリアスめいた前半からの落差を狙った一作。「真面目な作品と思わせて何じゃそりゃ!」みたいなノリ好きなんですよ。

 少し前に『ゾンビランドサガ』を見ていたので、ハーレムの陣容にはそのイメージも若干混ざっています。

 なお、匿名コンでは作品同士で繋がりを持たせる遊びも恒例なので、ハーレムの先輩達が深雪ちゃんのために奮闘する話とかも書こうかなと思ったのですが、本作自体があまり伸びなかったので、やっても反応してくれる人は少ないなと思って断念。いつかそういうコメディは別の形で書きたいですね。



【125】月の兎

https://twitter.com/tokumeiconboard/status/1615726299544453122


 今回の憧れの作家さん枠。板野が匿名イベントのたびに作品を通じてかの方にファンレターを送っているのは公然の秘密ですが(笑)、今回は卯年に掛けてこんな感じにしてみました。

 当初は主人公の属性は物書きで考えていましたが、ビジュアルを写し取る方がしっくりくるなと思って絵描きにしました。

 作中の「彼女」がかぐや姫のような超常的な存在なのか、ちょっと不思議な生き方をしているだけの普通のホモサピエンスなのかは、敢えてどちらとも取れるようにしています。



【134】試しに付き合ったんやけど

https://twitter.com/tokumeiconboard/status/1616451157588848641


 マジで最近の若い子は交際開始の意味で「付き合った」って言うんですよ。「昨日から付き合った」とか。それは日本語が間違ってるだろーという憤りにも似た思いをただ込めた一作です。

 あと、前回の匿名コン本編で関西弁の再現が割と好評だったので(四季の宴「月見バーガーの季節」)、大阪人的なツッコミの応酬を見せることにも注力しました。

 なお、「付き合った」のアスペクトの件は以前Twitterでも話題にしたことがあるので(https://x.com/itano_or_banno2/status/1477426146623254528)、分かる人には分かってしまったかもしれません。



【148】君に中毒

https://twitter.com/tokumeiconboard/status/1616813835104681992


 特筆すべきこともなき一作。本文をスマホの画面風に整形するにあたり、なるべくキリのいい位置で行が変わるように(さりとて全文がピッタリ綺麗に揃っていたらスマホ感が出ないので、文中での改行も混在するように)工夫しました。



【164】引退試合

https://twitter.com/tokumeiconboard/status/1617181785036836864


 「まじめなほうの板野」の本気の一作。女の子の熱い青春っていいですよね。

 冒頭は有名なスレイヤーズの書き出し(「あたしは追われていた」の一行で主人公の性別、キャラクター性、状況が伝わる)の逸話をちょっと意識しています。

 何気に「剣道」という単語を直接は出さないのもポイント。

 天美さんは、昔好きだった『バンブーブレード』のタマちゃんのイメージを若干交えつつ、名字は『仮面ライダー響鬼』の天美あきらから。

 今回の板野の作品ではメロスに次いで高順位となりました。熱さや爽やかさを感じてくれる方が多くて嬉しかったです。



【171】俺と匿名コンの八日間

https://twitter.com/tokumeiconboard/status/1617182182900125698


 今回の参加作品の実録でした。即ち、まず主催者としてのノルマを遂行し、次に今回のイベントで「勝ちに行きたい」作品を投下し、あとは好きなように遊んでいた形です。オレオは尺の都合で含めず。

 オチはラーメンズの「地球の歩き方」(日本やアメリカのような架空の国の話を延々しておいて、最後に日本やアメリカは別に存在することがわかる)のオマージュです。

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