第13話! サプライズ!2台の戦士!!
「えー!私達は今、本社屋上に居ます!」
テレビのレポーターと撮影陣が自社のヘリポートにて生放送を行っていた。レポーターは鬼気迫る声で訴えるように撮影に挑んでいる。
「高速道路上にロードローラー型のジュライハーが出現し、車両を破壊しています!!見えますでしょうか!? 爆発が起こっています!」
レポーターはそう実況を行う。
カメラは常に高速道路上の惨事を映しているが、全員「この惨事をただ見ているだけでいいのだろうか」「ここは安全なのだろうか」と動揺を隠しきれていない。
レポーターの言う通り、上下6車線の高速道路上には大型のロードローラー型のジュライハー二体が車両を次々と押しつぶしていく。
肉塊でできたそのロードローラーは、正直大変グロテスクなものであり、それがゴロゴロバキバキと車を押しつぶして進む姿は恐怖以外の何物でもなかった。
だがそこに3機のクォーリーマシンが駆けつける!
※ ※
「あいつが今回のジュライハーか!」
<グロいですね……>
<悪趣味な連中だと思っていたが、こいつは群を抜いて趣味が悪いな>
結城、ヴィオラ、健斗は思い思いにそのロードローラー型のジュライハーを見て感想を述べる。
<敵はその2体だけだね>
「よし、さっさと潰して帰るぞ!クォーリーティラン!!」
そう言って結城はクォーリードラゴン・ティランに合体する。
あれから皆と話した結果、チェンジ・クォーリーはダサいのでやめた方がいいとなった。だがそれでも掛け声事態は止めない。
「バトルテック・ハンマー!!」
いつものように肩の関節部分からハンマーを取り出し、空中から叩き潰す為に振り下ろす。だが……!
「オラアア!ってアレ!?」
ハンマーの振り下ろしは、虚しく宙を切る。
「避けられたぞ!?」
「このジュライハー、速いです!」
健斗とヴィオラはそう告げる。
そう、敵ジュライハーはハンマーを振り下ろす瞬間に後ろに超加速でバックを行い、攻撃をかわしているのだ。
<敵ジュライハーはティランのハンマー攻撃を見切ってその瞬間だけ加速して避けているんだ!>
綾川博士は通信でそう分析を行う。
「じゃあどうすれば!? ぐあああ!!」
どうすればいいかと指示を仰ぐも、攻撃の為に低空を飛んだ隙を突く形で敵ジュライハーの一体が飛び上がって突撃をかまし、重い一撃を食らってしまう。
<避けられない一撃を食らわせればいいから、クォーリーカオあたりになってレールガンなら多分流石に当たると思うんだけど>
「ここでレールガンを使ったら街に被害が!」
綾川博士の通信に、ヴィオラはそう告げる。
「背に腹は代えられん!合体し直せ!」
「だがまだ避難が済んでない!それにPEエリアドームもなしにレールガンの使用はできない!」
健斗の言葉に、結城はそう反論する。
「言ってる場合か!さっさと使って敵を倒すんだよ馬鹿!」
「市民を守るのが俺達の役目だろ!危険に晒す真似はできない!」
「馬鹿か!何警察か救急みてねぇな事言ってやがるんだ!正義気取りかよ!!」
「俺達警察か救急みたいなもんだろ!!!???」
「馬鹿野郎!一介の研究所員が公務員気取ってんじゃねぇ!!!」
反論を皮切りに、激しい言い争いをする。無論この間にも敵2体の攻撃は続いてる。
「こんな時に争わないでくれませんか!!?」
<ふむ、確かに今の微妙な立ち位置だと健斗クンの言う通りなんだけど、将来的には結城クンの言う通りに気遣いはしないとなんだよねぇ>
<後手に回った組織作りのツケが出た訳だな>
ヴィオラの悲鳴にも似た声とは裏腹に、綾川博士と向風博士はそんな呑気な事を言っている。
「博士達も止めて下さいよっっ!?」
<いや、君たちが身を挺してジュライハー達のサンドバッグになってくれたおかげで、その辺りや高速にいる人たちの避難が今完了したってさ>
<うむ、それにさっきPEエリアドーム発生器を担いだファイアー・イーグルも現場に急行してもうすぐ到着するそうだ>
「え? 避難早くないですか?」
<それについてはサプライズでもある>
「サプライズ??」
ヴィオラはそう不思議そうな声を上げる。
<お待たせしたようだな!>
<ここ辺りの人々の避難は私達グラッセ・ピューマと>
<シャルール・レオパールがどうにかしたぞ!>
ふいに、そんな通信が入る。その声は機械質だがどこか子供じみた声であった。
「誰だ!?」
結城はそう怒鳴るように尋ねる。
<そう怒鳴らなくたっていいじゃないか!>
「あ、すまん。それで、お前、いや君たちは?」
即座に謝る結城。
<私達は救助AIシリーズの2体。系列的にはヴォルケー隊長のファイアー・イーグルと同じ設計思想の元に作られた機動救助隊の車両です。で、私がグラッセ・ピューマです>
冷静そうに答えるグラッセ・ピューマ。こちらは女の子らしい声である。
<僕がシャルール・レオパールだぞ!>
元気に答えるシャルール・レオパール。こちらは男の子らしい声である。
「それで、お前さん達は今どこにいるんだ?」
健斗がそう尋ねた瞬間、高速道路の両脇から2台の車両が飛び上がった!
<今来ました>
<来たよ!!!>
2台の車両はポンプ車とはしご車であった。だが大きさが通常の倍以上ある巨大な車両で、なんかタイヤ部分からジェットみたいなのが噴出している。
「本当に車両だ!?」
「操縦者が見えないが、救助AIと言ったか? 噂は本当だったって事か?」
「噂?」
「ああ、噂じゃ国がAI搭載の全自動の救助ロボを作ってるとか言う変な噂だったんだがな。いや、さっきのファイアー・イーグルと同じか」
「なんでもいい!救助用だから無理はするなよ!」
結城はそう指示を飛ばす。
<指示は受け付けないけど、できる限りはするよ!>
<そういう訳で消火剤散布します>
そう言うと2台はプシュウウと消火剤らしきものをジュライハーに振りかける。
「馬鹿!そんな消火剤で倒せるなら苦労はねぇんだ……いや、こいつは!?」
健斗はそう叱咤しようとした瞬間、彼の目に映った光景に仰天する。
なんと!あのグロテスクなジュライハー2体は地面に消火剤を撒かれたために上手く移動できないようであった!
「消火剤で上手く動けないようですね!!」
ヴィオラはそう報告を行う。
そう言うのと同じく、空中に網状のエネルギーの幕のようなものが掛かる。
<遅くなってすまなかった。PEエリアドームスフィア投下。PEエリアドーム展開完了!>
ボルケーからそう通信が入る。
<そういう訳だ、まぁグラッセとシャルールの活躍でもうカオに合体し直す必要はないようだけど>
「ああ、それじゃあ思いっきり行かせてもらう!!!」
綾川博士の通信に、結城はティランのハンマーを握り直す。
かくして、2体のジュライハーはあっさりと倒される事となった。
※ ※
「御覧ください!向風研究所の巨大ロボット、クォーリードラゴンが再びジュライハーを撃退しました!どうやら他研究所や軍でしょうか? 他の機体のサポートにより撃退に成功したようです!!」
そのようにカメラに向かって嬉しそうに叫ぶレポーター。
レポーターだけではない。一部始終を見ていた報道陣は安堵の表情でそれらを見ていた。
後日、詳細が国から発表されることとなる。
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます