十一の月と八日目


 国立リアド学園高等部二年 モミザ・アルタイ


 朝、庭にいる愛犬のエルジェが、しきりに吠えているのが聞こえた。

 どうしたんだろうと外に出てみたら、門の外に、エルジェにそっくりな白い犬が一匹立っていた。エルジェはその犬に対して尻尾を振っていて、外の犬もエルジェの匂いをしきりに嗅いでいる。


 私が門を開けると、当たり前のようにその犬は中に入ってきて、エルジェと一緒にじゃれ付き始めた。

 その犬は、オスのようで、エルジェよりもちょっと大きい。どこを通ってきたの変わらないけれど、体のあちこちに土が付いている。


 人に慣れているようで、私が近付いても逃げないし、頭を撫でても抵抗しない。むしろ、嬉しそうな顔で、尻尾を振っている。

 首輪もしているから、迷い犬かもしれない。でも、両親に聞いても、このロセラ通りで見かけたことのない子だった。


 きっと、飼い主はずっとこの子を探しているだろう。心配で、眠れくなっているのかもしれない。

 王女様だったら、誰かの日記に書かれた、この子のことを知っているかもしれない。この子が飼い主さんと再会出来ますように。


                 おわり






   ***






 メモ


 モミザちゃんの日記を読んだ時、思わず、「いた!」という声が出てしまった。廊下にいたアミュさんが、びっくりして部屋に飛び込んでくるくらい。

 間違いなく、この白い犬は、リーだ。見つかって良かった、元気そうで良かった、そんな気持ちでいっぱいになる。


 そう言えば、リーとエルジェは、兄妹だったけ。そっくりなのも、すぐ仲良くなれたのも、納得できる。

 リーの家のあるレモレ通りから、生家のあるロラセ通りまで、三つの通りを通ったはずだ。リーって、ずいぶん遠くまで行けるんだなぁ。


 でも、モミザちゃんの家は、リーの生家ではないはず。どうしてあそこに来たのだろう?

 とりあえず、マイルニさんを通して、リーの居場所をトーチくんに教えてあげないと。


                 ノシェ













































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