オンラインゲーム『SVSM』…1

オンラインゲームって彰さんがハマっていた奴だよな。親戚の集まりのときに、俺がゲームを一回もやったことないって言ったら目かっぴらいて驚いていた。

それぐらい人気ゲームなのか?


そう考えている間に母さんは俺の目の前にノートパソコンを置き、セッティングし始めた。


「えっとね。この『SVSMエスブイエスエム』をダブルクリックして」

「ノートなのにマウスがいるの?」

「彰くんがいうには必須なんだって」

「へぇー…」


母さんがダブルクリックを押すと軽快な音楽と共にゲーム画面が開かれる。


「えっと…サクインクイ?ブイエス、マジック?」


やべ。

英語全然分からん。


「『Science VS Magic』よ。天太、まさか勉強サボってるわけじゃないわよね」

「やってるって!英語は単語じゃなくて分法を勉強してるから!」

「本当?」

「当たり前だろ!?」

「…それならいいわ。いいこと、勉強しなかったらゲーム禁止だからね!」

「はい!」

「うん。いい返事!ゲーム画面まで開けたら後は全部説明してくれるみたいだから。私は家に帰るわね。何か足りないものとかあったら電話してちょうだい」

「わかった」


「じゃあね」と手を振りながら母さんは病室を後にした。

母さんがいなくなった病室には、軽快な音楽だけが流れていた。

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