ミナピィは視える!
川谷パルテノン
第1話
前略、わたくし
「オ"ハヨ"〜 ハヂゴ〜」
オ"ハヨ"〜オ"ハヨ"〜オ"ハヨ"〜オ"ハヨ"オ"ハヨ"オ"ハヨ"オ"ハヨ"オ"ハヨ"ッッハヂィイイゴォオオオッッ
おはようございます。この世の者ならざる皆々様。
「最近肩がやけに重いんだよね。これが肩こりっての」
「まあ、大丈夫ですか
「だから"様"はやめろって。ウチらタメじゃん。ハチコはなんかそゆとこあるよな」
「申し訳ありません。依共様のこと今更ヨリピーなどと申しましてもわたくし背筋のむず痒さが」
「や、いきなりヨリピーでもいいけどさ。ミナトって名前で呼んでくれたらいいじゃん」
「かしこまりました。ではミナピィ」
「あ、うん」
「それは肩こりではありません」
「どゆこと」
「ミナピィの右肩にはトルコの理髪師の霊が憑いています」
「トルコ」
「はい、トルコでございます。その霊がのしかかるカタチでミナピィの肩に圧をかけておりますゆえ、祓わねばその重みは消えません」
「ふーん、なるほどね。霊ぃぃぃぃッッって何ぃぃぃぃッッ」
「うーん、亡き者です」
「違う違うッそうじゃッそだけどッそうじゃなああいっ」
「??」
「あんたマヂで言ってんの。あたおかすぎる。霊霊霊霊霊なんているわキャ。てか視えないしよくわんないしなんだそれあたあたあたあたあたしべべべつに怖かナイシッ」
「お祓い、しましょうかあ」
「できんのえできんのそんなコンビニ行く? みたいなノリで? 是非ッ頼むッ」
「先ずは準備が必要ですね。放課後、我が家にお越し下さい」
ポッポー ポッポー
「来たわけだが。初めて来たけどハチコん家ってこんなお屋敷だったんだ」
「一人暮らしなんです」
「え、こんなデカハウスに。お家賃お高いんでしょう」
「父母が遺してくれた持ち家なので。それに厳密で言えば一人暮らしじゃあありませんから」
「もう何も言うな。悪いこと聞いた」
「?? じゃあ早速支度しますね」
「あのさあ。さっきから寒気止まんないんだけどまさか」
「あ、コラッ。大事なお客様に悪戯しないのティラ吉ッ」
「てぃら、きち?」
「ジュラ紀に亡くなったティーレックスの霊です。あーそうかミナピィには視えないんでしたね。指パッチン」
Guuuooooohnnnn!!! Guuuooooohnnnn!!!
「許して許して許して許して助けて助けて食べないで帰って帰ってお還りくださいいいいいいッッッ」
「コォラッ、ティラ吉。ミナピィはエサじゃありません。指パッチン」
「なんなのよアンタぁ。ハチコっていまさらだけど視えんの」
「視えるって、ああ霊ですか。ハイッ」
「いつからあ」
「自我が芽生えた時にはもう。一般の方ってそうではないんですよね。わたくし存じ上げなくて。父からはあまり外でそのことを話すなと言い聞かせられてきましたから。ですのでミナピィが初めてなんですよ。家の者以外にこのことをお話するの。なんだか嬉しゅうございますね」
「あはは、そう。それは、よかったのかな」
「じゃあ祓いましょうか散髪トルコ」
「あはは、オネシャス」
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