9月5日
私には、
部活を引退してから、放課後も暗くなるまで一緒に図書室で話したり、美咲の家で遊んだり。
とにかく家にいる時間を短くしたかった私は、美咲と一緒にいることが多くなった。
当時は思いもしなかったが、書いている今になって考えてみると。
元から、美咲と私には、《病んでいる》という共通点があって、互いに依存し合っていた。
男友達に彼女ができたら接点が減るのと同じような感じで、誰か他の仲のいい人ができたら、すぐに離れていた。
それなのに男友達とは違ってだいぶ濃い関係だったから、《共依存》という表現で間違いないと思う。
それでも、当時の携帯も持っていない私にとっては何にも代えられない大好きな親友だったし、今でも友達と思っている。
話を戻すと、その日はとくに、美咲はおかしかった。
放課後の最終下校時刻になってもいっこうに帰ろうとせず、昇降口で美咲は「帰りたくない」と言って泣いていた。
その場にいた担任と私も、美咲がどうして帰りたくないのか理由は知っていたが、学校において行くわけにもいかなかったので、私は「一緒に帰ろう?」と言うしかなかった。
担任もしびれを切らしたのか、そそのかす。
それでも美咲はしばらく俯いたまま、親指の爪で制服の袖をガリリと何回もかいていた。
爪と布の繊維がこすれる不快な音を聞きながら、私は困惑を通り越してイライラしてくるのを感じた。
冷たい雨風が解放されている扉から入ってきていて、私は珍しく帰りたいと思うほど、体が冷え切っていた。
ようやく帰り始めた頃には、もう最終下校時刻から二時間も過ぎていて、辺りはすっかり暗くなっていた。
美咲はこの先、どうなっていくのだろう。
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