第451話 【武闘会・1】
翌日、宿で朝食を済ませた俺達は、武闘会の行われる会場へと移動して来た。
ここに来るまでリカルドや姉さん達と来ていたが、俺達が座る席は姉さん達とは別の場所らしく入口で別れて、俺達は係の人に案内して貰った。
「姫様もこっちの席でしたか」
「ええ、ここは各国から招待された重要な人達の席みたいよ。ジンも挨拶位はした事がある人はいるんじゃない?」
そう姫様に言われた俺は、周りを見渡すと顔見知りの人だったり、以前王都で行われたパーティーで挨拶をした他国の大貴族などが座っていた。
中には冒険者として成功した人達もこの場所には集められていて、奥の方にルークさん達が居るのが分かった。
「貴族と冒険者が一緒ってのは、珍しいですね。こういう場所って、基本的に分けられてそうですけど」
「竜人国は、というより私達同盟国はそんな貴族だからという考えはそこまで無いわ。それに何より、ジン達の存在が大きいもの」
「俺達ですか?」
「冒険者として活動をしてる人の中には、ジン達以外にも功績を立てる人はいるわ。でも、ジン達並みに世界を救うレベルの功績を立てた者は少ないわ」
そう姫様から言われると、挨拶に来たと他国の貴族が来ると他の貴族達もやって来て、あっという間に俺達は貴族に囲まれた。
その後、暫くは開放される事は無く、開会式まで俺達は貴族と話をしていた。
「ジン達、試合始まる前なのに疲れてないか?」
「はは……貴族に話しかけられて、精神的に疲れました」
ようやく解放された俺達は、ルークさん達の居る所へと移動して来た。
「ジン達は、今の時代で最も有名な冒険者と言っても過言じゃないからな」
「そうよね。やっぱりジン達の功績は凄くて、他の冒険者が少し功績を立てても霞むものね」
「そうですか? 小さくても功績には変わりないから、凄い事だとは思いますけど……」
そう言うと、ルークさんは頬を搔きながら「悪魔を倒す功績より目立つのは難しいと思うぞ」といい、エリスさん達は頷いていた。
「貴方達の場合、やってる事も凄いけどその凄い事を連発してるのが尚更凄いのよね。普通の冒険者は、一つ大きな功績を立てたらそんな立て続けに起こさないわよ?」
「あの勇者でさえ、魔王討伐後は普通の冒険者みたいに旅をしてるしな……」
「そう言えば、その勇者ですけどこの街に来てるみたいですよ? ルークさん達は会いましたか?」
勇者がこの街に来てる事をルークさん達に言うと、ルークさん達は既に勇者と会っていると言った。
というか、俺達が遅く来ただけで既に勇者はこの街に早くに来ていて、姿は隠してはいるらしいが観光を楽しんでいたと教えて貰った。
「向こうから声を掛けて来たとは、俺達も流石に驚いたよな」
「そうね。ジン達みたいな私達は、そこまで交流があった訳じゃないからね」
「向こうからしたら俺達は、ジンと同じ宿に泊ってて何度か顔を合わせていたから知り合いの枠に居たとは思うが。俺達からしたら、魔王を討伐した国の勇者だから、久しぶりに緊張した」
「ドルクさんがそこまで言うって事は、かなり緊張したんですね……」
普段、黙っていることが多いドルクさんが長い言葉でそう言ったので俺はドルクさんが、かなり緊張したんだなというのを感じ取った。
「それでその勇者ですけど、ここには居ないって事は普通席の方に居るんですかね?」
「多分、そうだと思うぞ? 俺達と会った時も、なるべくバレないような恰好をしてたからな」
ルークさんとそう話しをした俺は、会場全域に対して【魔力探知】を行った。
しかし、あまりにもこの会場にはドラゴン族や、ルークさん達にみたいに実力のある冒険者が沢山いすぎて個人を特定のはかなり難しかった。
「……あっ、居た。ほらっ、あそこだよ。ジン君」
「えっ?」
俺が必死に【魔力探知】で探っていると、一緒に探していたクロエが俺を呼びある方向を指した。
するとそこには、フードを被った二人組の姿が目に入った。
よく見ると、その二人組は勇者と戦女のノラだった。
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