第450話 【武の街へ・4】


 隠れ里の人達がやってる店を出た俺達は、その後は事前に行きたい所を話し合った際に出た食堂にやって来た。


「さっき軽くしか食べなかったのも、ここの料理を楽しみにしていたからだからな、こっちでも沢山食べるか」


「うん! 久しぶりの海鮮系の食事だね!」


 竜人国は魚を食べる文化が根強く、この街でも魚料理は沢山あり、その中でも俺達は海鮮系の食事を楽しみにこの店にやって来た。


「あの何かおすすめとかってありますか? 魚って、今までそんなに食べた事無いので……」


「そうなのか? 確かに王都では魚というより、肉とかパンが主流だからな……村にいた時は川魚とか食べなかったのか?」


「村にいた時は稼ぎもそこまでだったので、魚は高くて食べられなかったです。王都に来てから、稼げるようになったんですが魚には手を出していませんでした」


「ふむ……そうなると、最初から生で行くのは怖いだろうから調理された物を選んだ方がいいな」


 イリスの為に俺達は初めての魚料理を選び、それぞれ注文を終え、少し待つと直ぐに注文した品が届いた。

 迷宮に籠ってる間、肉料理等体力が付く物ばかり食べていた俺は久しぶりに魚を食べれて、その味を思い出しながら食い勧めた。

 イリスも注文した料理を最初の一口目は恐る恐る口に入れていたが、直ぐに美味しさに気付いてバクバクと食べ進めていた。


「海鮮料理を食べてると、〝絶海のダンジョン〟の事を思い出すね。あのダンジョンを攻略してた時、何度も死にそうになったから印象に強く残ってるんだよね」


「あ~、覚えてる! 海の中のダンジョンって珍しいって最初は思ってたけど、本当に難しかったよね」


 クロエとレイは、料理を食べながら俺達が攻略に苦戦をした〝絶海のダンジョン〟の事を思い出しながらそう話をしていた。


「絶海のダンジョンか、あそこは本当に難しかったな」


「あの時からジンは強かったけどな、一人だけレベルの数値が高くていつもレイが悔しがってたよな」


「うん。でも、今はもうジン君との差もたった数レベルだからね!」


 そうレイの言葉を聞いた俺は、笑みを浮かべ「本当にレイの頑張りは見てて凄かったよ」と言った。

 一ヵ月前の時点で既にレイは、レベル100目前のレベルだった。

 そこからレイはこの一ヵ月間、イリスとの連携も訓練しながら魔物狩りに専念してレベルを上げてきていた。

 そして俺とレイのステータスの差は、もうほんの少しの差となっていた。


「でも流石にレベル100超えると上がりにくいよね……ジン君、どうやってレベル上げてるの?」


「まあ、大量に敵を倒す事だね。それも強い敵を」


「やっぱりそうだよね~。戦斧だと、どうしても数を沢山倒すのは疲れるんだよね……ジン君はその点、魔法も使えるから良いよね」


「数を倒す時は魔法が便利だからな」


 レイノ言葉に対して俺がそう言うと、話を聞いていたクロエが「私もレイちゃん達に負けてられないね」と言った。

 そんな二人の言葉に、イリスも「私も頑張ります!」と言って三人は楽しそうに笑っていた。

 その後、食事を終えた俺達は再び街の観光に戻り、夕食の時間の少し前頃に宿に戻って来た。

 本当は夕食の時間頃に戻ってくるつもりだったが、街の観光だけじゃお腹を空かせられないと思い、宿に戻って来て宿の施設を貸して貰った。


「武の街らしいよね。宿に訓練場が付いてるなんて」


 俺達の宿泊する事になってる宿の施設の一つに、宿泊客が使える訓練場がある。

 この場所を説明された時、何で宿にこんな所が? と思ったが、正直あって助かったと今は思ってる。

 それから俺達は明日に支障がきたさない程度に運動を行い、夕食も運動をしてお腹を空かせたおかげで無理なく食べる事が出来た。


「……まあ、宿の豪華さから分かってたが浴場も広く作られてるな」


「こんなに広い浴場、王家が普段使ってるのと同じ広さじゃないのか?」


 夕食後、俺達は風呂に入りに来たのだが、浴場の広さに俺とレンは圧倒されていた。

 こんな凄い宿に特別待遇で泊まれるって、本当に竜人国には感謝しかないな。

 俺はそう思いながら、レンと風呂を満喫した。

 その後、風呂から上がり泊まる部屋に戻って来た俺は、明日は祭り初日なので早めに寝る事にした。

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