第398話 【迷宮の報酬・3】


 次の日、俺達は準備をして迷宮へと転移で向かった。

 俺達が迷宮攻略をしてから、すっかりと冒険者の姿は無くなった迷宮だがこの日は数組の冒険者が迷宮の前に集まっている。

 それは俺の知り合いだったり、ギルド等できちんと情報集めをしている冒険者達だ。


「ジン君達、待ってたよ。報酬の話は本当なんだよね?」


「はい。本当ですよ。それじゃ、報酬の受け取りに行ってきますので少し待っててください」


 迷宮前の入口でアンジュさんから確認された俺はそういって、クロエ達と共に迷宮の中に入り、迷宮の転移陣で最下層の神様が居る部屋に来た。


「ジン達、待ってたよ。報酬の準備はもう出来てる」


 神様の所に行くと、ワクワクとした様子の神様が居り、その横には楽しそうに笑顔を浮かべるメイも居た。


「かなり難しいと仰ってましたけど、この数日で用意できたんですね」


「当たり前だよ。これでも、神様だからね」


 そう自信満々に言う神様は、俺達の報酬の場所に案内した。

 今回の遊戯神の迷宮者である俺達は、これまでの攻略者の様に財宝や特別な武具等はお願いしなかった。

 財宝には興味が無いし、特別な武具も必要としていない俺達は報酬について話し合い、ある報酬を受け取る事にした。


「ここだよ」


 神様に案内されてきた場所は、100階のボスを討伐後に訪れた報酬部屋の更に奥の部屋。

 そこには、これまでとは少し雰囲気の違う感じが漂う門が設置されていた。


「ジンにこんな感じにお願いってアイディアを貰って、そこから自分なりに色々と考えて作ってみたよ。ここから先は今までの階層とは違って、10層目だけが探索エリアになってて、それ以外は全てボス部屋となってるよ」


 俺達が報酬としてお願いしたのは、迷宮を更に面白くしてほしいというお願いだ。

 そんな報酬を願った俺達に神様とメイはその時、目が点になって驚いた顔をしていた。


「神様、凄く楽しそうに作ってましたよ。既に階層は30層分ご用意してありますので、当分は楽しんでもらえると思います」


「本当はもって用意したかったんだけど、時間が足りなくてね。でも安心して、約束通り100層分はちゃんと作る予定だから、それとジン達が攻略したところも今まで通り行けるようにしてるから、息抜きで上層の探索にも行けるからね」


「そうですか、分かりました。最高の報酬をありがとうございます」


 そうお礼を言うと、クロエ達も一緒にお礼を言い、それから俺達は久しぶりに迷宮の家に戻って来た。


「お久しぶりです。ジン様方、こうしてまた皆様にお仕えでき、大変うれしく思います」


 迷宮の家に戻ってくると、執事が玄関を開けた先で待機しておりそう挨拶をすると深々と俺達にお辞儀をした。

 数日振りの再会に、俺達も「またよろしくな」と言って家の中に入った。


「う~ん、帰って来たって感じがするね~」


 そうレイが言うと、俺も頷き「それじゃ、荷物の整理と着替えが終わったらリビングに集合な」と言って、それぞれの部屋に向かった。

 そして日用品の整理等をした俺はリビングに移動して、皆が集まるのを待った。

 それから数分後、皆は整理を終えて装備に着替えて戻って来た。


「それじゃ、早速だけど攻略に行こうか」


 俺の言葉に皆は頷き、俺達は執事に「行ってくる」と言って迷宮の家を出て、100層突破後の報酬部屋に移動して門を開けた。

 門の先は長い一本道となっていて、その道を歩いていくと更にもう一枚門が現れた。

 この先から、魔物の気配が感じるな……。


「この魔力、かなり強いボスみたいだね」


「早く戦いたい!」


「どんな魔物か気になるな、良い素材になりそうだ」


 クロエ達はそれぞれそう言い、俺は「それじゃ、攻略開始だ」と言ってボス部屋の門を開けて中に入った。

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