第384話 【魔法玉・2】
その後、姫様の用事の時間が来たので解散となり、俺は拠点の方へと転移で移動して研究所にいるレンの所へと向かった。
「レン、今良いか?」
「んっ? ああ、ジンかちょっと待っててくれ」
作業をしていたレンに声を掛けると、そう言って少しだけ作業を進めて中断してくれた。
「ジンが来たって事は、ユリウスさん達が魔法玉を手に入れたのか?」
「うん。偽物の魔法玉を一つ手に入れたらしいから、それの相談を今度する事になったって伝えに来た。レンも薬の準備があるだろうから、早めに言っておこうと思ってな」
魔法玉はレンの薬で交換する事が決まってる。
その為、作り主であるレンには先に伝えようと思って、姫様の部屋からそのままこっちに来た。
「気を使ってくれて、ありがとな」
「良いよ。それより、今は何の研究してるんだ? 見た所、魔法玉じゃないみたいだけど?」
「ああ、魔法玉は別の所で研究中だ。今は迷宮で取れた素材の研究をしてる」
レンの言葉にここ以外に研究所ってあったか? と思い、その事をレンに聞いた。
「前にジン達にも確認取って、この拠点の地下を改築しただろ? 覚えてないか」
「そう言えば、そんな事言ってた様な……丁度、色々と忙しい時期だったから完全にその事を忘れてたな」
俺は気奥の奥底に眠っていたレンの言葉を思い出し、確かに改築すると言っていた事を思い出した。
それからレンは改築した場所は、俺以外は全員が行った事あるから案内しようか? と聞かれた。
「良いのか? 作業中じゃないのか?」
「一旦、時間をおかないといけないからな、ジンを案内する時間はあるよ」
そう言われた俺は、それなら案内してほしいと言ってレンと一緒に部屋を出て地下へ繋がる階段の場所へとやって来た。
この階段すら、全く知らなかったな……というか、造りがかなり頑丈に出来てるな。
「なあ、この壁かなり強固に作られてないか?」
「一応、地下には実験施設があってそこの物は大切な物とかあるから、盗まれないように頑丈に作ってもらったんだ」
「そうか、まあレンの研究資料は確かに貴重だからな」
その後、階段を下りた先には長い廊下があり、扉がいくつかあった。
殆どは今は使われておらず、今後何かしらで使う事になったら改装して使おうと考えているとレンは言った。
「それで、ここが地下の研究所だ」
「他の所と比べて、更に頑丈な造りをした研究所だな……」
地下の研究所は3重の頑丈な扉と、魔力が込められた壁によって作られていて、そう簡単には壊れそうにない造りをしていた。
「完成した時に師匠を呼んだ事があって、師匠も驚いてたよ」
「そりゃ、ここまで頑丈に作られた研究所を見せられたら、誰だって驚くだろうよ……」
「ふふっ、まだここは入口付近だって事、ジンは忘れてないか? 奥はもって凄い事になってるよ」
レンは嬉しそうな顔をしながらそう言い、俺はそんなレンに研究所を案内してもらった。
頑丈な造りだけでは無く、設備自体が良い物が設置されており、設備への投資額がかなりヤバそうだなと感じた。
「なあ、レン。この研究所っていくらしたんだ?」
「まあ、軽く数百金貨は使ったな。研究は好きだし、研究所に金を使えるならって惜しみなく使ったんだ」
その驚きの額に俺は内心驚いていたが、逆に凄いなとも思った。
俺も色々と依頼やら、なんやらとこなして大量のお金が集まっているが、未だにどう使おうか悩んでいる。
クロエ達は買い物で散財していたりしてるし、レンは研究所に投資してる。
だけど俺の場合、使う場所と言えば偶に姉さんとのお出かけの時や、装備の整備を頼む際に払う位だ。
「俺も貯まってるお金をどこで使わないとな」
「ジンは何か欲しい物とかはないのか? クロエ達みたい、服とか買いに行けばいいんじゃないか?」
「ん~、特に服とかには興味が無いんだよな……興味があるとすれば、装備くらいだけど今の装備に満足してるからな」
「金の使い所に迷ってるなんて、贅沢な悩みだよな……」
俺の言葉に対し、レンからそう言われた俺は苦笑いを浮かべて「確かにな」と言った。
その後、地下から地上へと戻って来た俺は、折角拠点に来たのならと悪魔達の様子を見る事にした。
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