第349話 【遊戯神の迷宮・3】


 それから俺達は、五層目まで攻略した報酬を受け取る部屋に通された。


「報酬を受け取る為の部屋って、本当に普通の迷宮とは色々と違うね……」


「まあ、一層目から普通の迷宮とは違ったからね。入った人達の平均レベルで魔物の強さが変化するなんて、神が手を加えないと出来ない芸当だろうしね」


 そう言っていると、報酬の部屋にキラキラと光りながら背中に羽が生えた小人、妖精の様な見た目をした生物が現れた。


「皆様、はじめまして! 私、迷宮の管理を任せられております。迷宮妖精のメイと申します」


「わ~、可愛い! 妖精さんだって!」


「ちっちゃい、ぷにぷにしてそう!」


 迷宮妖精とは、神の作る迷宮に存在する管理者だと事前に情報で手に入れていた。

 それを聞いていたクロエ達は、この妖精に会う為にも絶対に迷宮に行きたいと言っていた。


「はい! ぷにぷにしてますよ! 遊戯神に作られた私の体は、最高の触り心地です。よかったら、少しだけ触りますか?」


「ッ! いいの!?」


「はい。この迷宮が設定された最高難易度級の試練を攻略した冒険者様方なので、特別に許可しちゃいます!」


 メイはそう笑顔を浮かべて言うと、我慢していたレイはメイに近づいてメイの顔を頬にスリスリとした。

 そしてそんなレイと同じように、クロエも同じような事をメイにした。


「ジン様、レン様は良いのですか?」


「ああ、一応メイは外見は女の子だし、そんな子に気軽には触れないからね」


「同じく、下手したら問題になりそうだからな」


 そう言うと、メイは「わかりました~」と言ってクロエ達にだけ自慢のほっぺたを触らせ、クロエ達が満足すると報酬の話へと変わった。


「そう言えば、さっき最高難易度級とか言ってたけど、五層まではこっちの平均レベルの魔物を倒すって内容だったのよね。難易度とか別れてたのか?」


「はい。そちらに関しまして、神様がおつくりになったルールでレベル毎に難易度の調整を行っています。そした七〇レベル以上は、その中でも難易度が一番高く魔物の生命力が通常の三倍程に設定されています」


「三倍……だから、あんなに生命力だけは高かったのか……」


 メイの話を聞いて、俺は疑問に思っていた生命力が高い事に納得した。

 通常の魔物の三倍ともなれば、元々生命力の高いオークとオーガが中々倒れないのも頷ける。


「そう言う訳でございまして、ジン様方には〝最高難易度級初突破記念〟としまして、通常の報酬よりも豪華な物を用意させていただきました。どうぞ、受け取ってください」


 そう言うと、キランッと天井が光ると色んなアイテムが俺達に渡された。

 その中でも俺が特に驚いたのは、〝迷宮の腕輪〟という名称のアイテムだった。


「メイ。この〝迷宮の腕輪〟ってアイテムの効果は、本当なのか?」


「嘘はついてませんよ。その腕輪があれば、いつどこからでもこの迷宮が存在する限り、迷宮に用意してあります転移部屋に移動する事が出来ます。ただし、そちらのアイテムは突破者であるジン様達しか使えないので他人に渡す事は出来ません」


「いや、他人に渡す気は無いけど……マジかよ。こんなアイテムまであるのか……」


 という事は、この腕輪があればいつでも来れるという事か……凄くいい物を手に入れたな。

 ましてや、このアイテムを手に入れるには〝最高難易度級〟を突破する必要があり、その為にはまず平均レベルを七〇以上にしないといけない。

 かなり入手するのが困難なアイテムだから、物凄い貴重な物を手に入れた。

 そしてその他にも、かなりいいアイテムを受け取った俺達はメイに感謝した。


「それでは、次の報酬部屋は二〇層になりますので、そちらでまたお会いできるのをお待ちしております」


「うん。直ぐに行くね!」


「またね~」


 クロエ達はすっかり、メイの事が気に入りそう言ってメイとお別れをした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る