第350話 【遊戯神の迷宮・4】
メイとお別れをした後、俺達は報酬部屋から先の六層目へとやって来た。
ここからは探索できるようになる為、レンは「採取できそうなものは全部採りたい」と言っていたので俺達は採取をメインに動き始めた。
「それにしても、さっきの報酬部屋で受け取ったアイテム。凄く便利な物ばかりだったね」
「そうだよね。収納系アイテムが普通にもらえて、驚いちゃったよ」
「それもかなり容量が大きい物だし、見た目はただの指輪。それも使用者の指に合わせてくれるから、今の物よりも更にいいよな」
今回、報酬として受け取ったアイテムはどれも有能なアイテムだった。
まず最初に迷宮にいつでも出入りできるという〝迷宮の腕輪〟に加え、〝異空間収納の指輪〟というアイテムも貰った。
この指輪は名前の通り、着けていると〝異空間〟へのアクセスが可能で、そこに荷物を出し入れできる。
容量もかなり大きく、これで全員が〝異空間収納〟を出来る様になった。
更にそんな凄いアイテム二つに加え、他にもアイテムを俺達は受け取った。
・迷宮地図:迷宮内のマッピングが自動で行われるアイテム。
※この迷宮でしか、使えない。
・迷宮住宅券:安全地帯に用意されているらしい、家に入れる券。
※迷宮がある限り、何度でも使用可能。
・迷宮妖精呼び出しベル(非常用):一度だけ、どこでも迷宮妖精のメイを呼び出す事の出来るベル。
※一度使うと、無くなってしまう。
正直、貰いすぎだなと感じる程貰い、更に希少な鉱石も報酬として受け取った。
「正直、どれも有能過ぎて逆に怖いな……地図や住宅券なんて、どこのレベルまで貰えるか次第では人が居る時は使い難そうだな」
「その辺は聞いてなかったね。そこはあれだね迷宮から一回戻って、ギルドで話聞かないといけないね」
「そうだな、一応今回の目標階層は10層だから、まずはそこまで探索をしながら行くか」
今回の迷宮探索、一応俺達は〝第一探索者〟として一番最初に迷宮に入れる権利を持っている。
この権利は一月間なら、優先的に入れる権利だから10層まで攻略したら、一旦外に出て攻略速度などの情報を手に入れる予定だ。
「ここにもこれがあるのか……あっちにも、珍しいのがあるな……」
「レン君、いつもより凄く楽しそうだね」
「いつもの場所と比べて、それだけ価値の高い素材があるんだろう。俺達には全く分からないけど」
採取に関して、俺達もある程度の知識は持っているが研究者であるレンの知識には天と地ほどの差がある。
その為、レンに採取を任せて俺達はその護衛をしながら探索をしている。
普段はレンに色々と補助をしてもらっている俺達は、文句一つ言わずにレンの探索を見守りながら階層を降りて行った。
そして遂に目的の10層に到着すると、そこには大きな空間に石作りの像が設置されていた。
「……もしかして、あれがこの階層のボスかな?」
「まあ、そうだろうな……ゴーレムとの戦いは、俺とクロエは嫌という程してきたから、レイ戦ってみるか? 丁度、向こうは一体だし」
「いいの!」
レイは一人で戦ってみるかと聞くと、嬉しそうにそう言って武器を構えてゴーレムと対面した。
ゴーレムはレイが正面に来ると、目をピカッと光らせると動き始めた。
これまで戦ってきたゴーレムと比べると、大きさそこまで大きくはない。
全長2m程で体格も人間に近い形をしている。
その為か、動きも普通のゴーレムとは違って早い。
「レイ! ゴーレムには弱点があるから、そこをねら——」
「よいしょッ!」
「——ッ!」
弱点を狙えと指示を出す前に、レイは持ち前の怪力と更にそこに身体能力を上げるスキルを掛け合わせ。
背後をとったゴーレムに対して瞬時に反応し、遠心力も掛け合わせた攻撃を食らわせた。
最大火力のそのレイの一撃を受けたゴーレムは、弱点がという前に粉々に砕かれてしまった。
「あれ? もう終わり? 神様が作ったゴーレムだから、もう少し固いと思ってたけど意外と脆かったね」
「……なあ、レン。お前の妹は人間か?」
「あの力を見た後にその質問はするなよ……正直、あそこまで力が強くなるとは思って無かったよ」
一発でゴーレムを粉々にするなんて、レイの全てを掛け合わせてた力は相当な数値だろうな……。
そんな俺達が一発でゴーレムを粉々にした事を驚いていると、レイは嬉しそうな顔を見て戻って来た。
「終わったよ~、意外と脆かったね」
「いや、レイの力が強すぎるんだよ。それに反応速度もレイは異常に早かったな」
「クロエちゃんとの訓練で鍛えたからね~。0.5秒くらいの猶予があれば反応できるよ」
多分、その言葉は嘘じゃないだろうな、レイ達の訓練に混ざってみたが攻撃に反応する訓練をしていて、その練度がかなり高いと思わされた。
その後、10層では報酬部屋は行けず、そのまま11層に降りる事になり、俺達は一旦安全地帯へと戻り転移で入口へと戻って来た。
そして入口から外に出た俺達は、そのまま王都へと戻って来てクロエ達は先に宿に戻り、俺はギルドに情報を聞きに向かった。
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