第282話 【英雄ジン・1】
意識を取り戻した俺は、二日間皆につきっきりで看病され、自由な時間が一時も無かった。
しかし、ようやく体が万全だという事を皆に伝えれた俺は、久しぶりに一人の時間を満喫していた。
「はぁ、ようやく自由になった。心配してもらえるのはありがたいけど、あそこまで行くとな……」
心配される事自体悪い気はしないけど、寝る時も誰か居るって変な感じだったからな……。
そうだ一人になった事だし、ずっと気になってたステータスがどんな風になったか確かめてみよう。
俺はそう思い、ステータスを表示させた。
✤
名 前:ジン
年 齢:15
種 族:ヒューマン
身 分:平民
性 別:男
属 性:火・水・風・土・光
レベル:97
筋 力:18215
魔 力:29874
運 :76
スキル:【鑑定:5】 【状態異常耐性:5】【剣術:5】
【魔力強化:5】 【火属性魔法:5】 【水属性魔法:5】
【風属性魔法:5】【土属性魔法:5】 【光属性魔法:5】
【魔力探知:5】 【身体強化:5】 【瞑想:5】
【体術:5】 【気配察知:5】 【刀術:5】
【魔力視:5】 【剣気:5】 【空間魔法:5】
【空間把握:5】 【魔力強化:5】 【使役:5】
【調理:3】 【挫けぬ心:5】 【魔力譲渡:4】
固 有:【成長促進】【異空間ボックス】
能 力
称 号:神童 加護持ち 金級冒険者
魔女マリアンナの弟子 リウスの主 救世主
英雄
加 護:魔法神の加護 武神の加護 剣神の加護
聖神の加護
✤
「悪魔を倒しただけあって、レベルがものすごい上がったな……」
俺はステータスを見てレベルが一気に上がっていて、少し笑みを浮かべたが称号の所を見て落胆した。
「はぁ、この数日で王都の人が俺の事を〝英雄〟と呼んでいるって知ったから、もしかしてと思ったけどきっちりと称号に反映されてたか……」
救世主に続いて、英雄の称号まで手に入れてしまった。
マジでこのステータス、他人に見せたくなくなって来たな……。
ステータスを一通り確認した俺は、そう言えば刀がヤバい状態だったのを思い出した。
「あれ、そう言えば俺の刀ってどこに行ったんだ? 城の部屋には無かったはずだが……」
そう思い【異空間ボックス】を確認すると、その中に刀があった。
気絶する瞬間にでも入れたのか? まあ、無くしてなくてよかった。
「俺の刀、こんな黒かったか? それに刃の部分がボロボロだった筈だが……」
刀全体は黒くなってる訳ではなく、刀身部分が黒色になっていて刃こぼれしていたはずなのに綺麗に治っていた。
なんか、嫌な予感がするんだけど……。
そう思いながら刀を手に取って見ていると、黒い靄が刀から出て来て人型の形になった。
「よっ」
「……何でお前がここに居るんだよ」
刀身から出てきたベルロスに俺は、呆れた顔をしてそう言った。
出て来たベルロスに俺は特に対処しようとしてないのは、こいつから全く脅威を感じられないからだ。
「お前に倒された後、普通はこっちの世界で死んでも悪魔の世界で生き返るんだが、気づいたらお前の刀に乗り移ってたんだよ。力も刀に吸い取られたのか、俺の力は殆ど無くなってるしで俺もよく分かってない」
「何でそうなるんだよ……」
ベルロスは落ち着いた様子でそう言うと、部屋の扉を叩く音と共に「弟子ちゃん、今いいかしら?」と師匠の声がした。
俺は今の状況が状況なので、師匠に助けてもらおうと思い師匠に部屋に入ってもらった。
「あら、やっぱりベルロスだったのね。弟子ちゃんの部屋から変な魔力を感じたから来たけど」
「変な魔力ってなんだよマリアンナ。というか、お前はこの状況を見て驚かないのか?」
「ん~、そうね。驚くか驚かないかで言うと、ちょっとだけ驚いたかしら? でも、何となく何でこうなったのか予想はついてるわ」
師匠の言葉に俺とベルロスは一緒に首を傾げると、師匠は俺の刀についてる師匠の魔力で出来た球を指をさした。
「私の魔力が作用して、多分その球にベルロスが封印されたんだと思うのよ」
「……そういや、消える時になんか吸い込まれる感覚がしてたが。もしかして、その球が原因なのか?」
「多分ね。ほら、弟子ちゃんはレドラスやフィオロので何度か見てると思うけど、悪魔を封印する時に宝玉を使ってたでしょ? あれって、実は弟子ちゃんの球と同じ原理で私の魔力で作ってたのよ。それで今回、弟子ちゃんがベルロスの事を倒した事で球が反応してしまって、そのままベルロスを封印したんだと思うわ」
師匠の話を聞いた俺は、なんとなくだが納得した。
確かにそれなら、ベルロスが封印されたのはおかしくないが、何でベルロスはフィオロ達とは違い肉体まで封印されたんだ?
「あの、師匠。それだったら、何でベルロスだけは刀に肉体まで封印されたんですか? 今は出てきてますけど、さっきまで刀の中にこいついましたよ」
「それはその球が宝玉よりも私の魔力を強くこめて作った物だから、肉体のも封印したんだと思うわ。ただ封印自体、私がしたわけじゃないから自由な部分もあるって感じね」
「成程な、だからジンが持つまで俺は刀から出れなかったのか。それに今も遠くに行こうとしても、縛られてる感覚がある。自由なのは、刀からの出入りくらいか?」
ベルロスがそう言うと、師匠は「そうみたいね」と言葉を返した。
マジかよ……かなり気に入ってた刀なのに、悪魔付きの呪いの武器になってしまった。
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