第277話 【襲撃・2】
翌日、いつも通り見回りをしていると昨日は魔物が現れなかった場所で魔物と遭遇をした。
本来であればこの辺りに魔物は出てこない。
まあ、このくらいの変化で、帝国や魔王軍が関係してるとは言えない。
「やっぱり、冒険者の数が減って魔物が増えてるのかな?」
クロエの言う通り、冒険者が減った事で魔物を狩る人間が減り、その結果魔物が増えているのが今の現状だ。
そんな魔物達を俺達はたった4人で対応していて、今日もかなりの数の魔物を討伐した。
討伐した魔物の死体はすべて回収して、王都に戻って報告してる際にギルドに売っている。
一つ一つは安いが塵も積もれば山となる、ということわざ通り毎日それなりの収入を得ている。
「正直、最初は冒険者さん達の数が減ってどうしようかと思いましたが、ジンさん達王都に残ってくださって本当に助かりました。ありがとうございます」
王都の冒険者が減り、業務が減ったフィーネさんは久しぶりに俺達がよく使ってる部屋に来て、そう俺達にお礼を言った。
「お礼なんて、良いですよ。俺達もすきで残っただけなので」
フィーネさんの言葉に俺はそう返すと、クロエ達も同じような言葉をフィーネさんに返した。
というか、暫く見てなかったけどフィーネさん疲労で少し老けたように見える。
「フィーネさん、代理の仕事かなりきついんですか?」
「……そうね。私が想像していた以上にきつい仕事だったわ。正直、あれを平然とこなしていたアスカは凄かったんだって、今になって分かったわ」
アスカの性格を知ってる俺は、真面目な正確なフィーネさんより仕事が出来ていたと聞いて少し驚いた。
いやでも、確かにゲーム本編では知的なキャラとしての一面もあったし、設定資料には勉学にも秀でていると書かれていたな。
「そういえば、今日はリコラさんは居ないんですか?」
「彼女には休んでもらってるわ。ここ最近、ずっと働き続けてたから、今日は私がジンさん達の対応はするから休んでも良いって言って休んでもらってるわ」
「確かに、最近は毎日王都の見回りをした上に大量の魔物の素材を鑑定してもらってましたね」
「ええ、それで今までもちょっと無理をしてたから、私の方が落ち着いたからリコラさんには休んでもらったの」
フィーネさんはそう言うと、続けて「それにジンさん達にも会いたいと思っていたので」と笑みを浮かべながらそう言った。
その後、フィーネさんと暫く俺達は久しぶりに会ったので積もる話もあり、一時間程会話を楽しんだ俺達は一緒にご飯を食べる事にした。
「フィーネさんと一緒に食事って、俺達が昇格した時以来ですかね?」
「そうですね。ジンさん達が旅に行った後は、一緒に食事をする機会もなかったですし、王都に戻ってきた後は私が仕事が忙しく逆にパートナー登録を解除する事になりましたからね」
フィーネさんは少し寂し気にそう言うと、レイが「魔王がいなくなったら、戻るんだよね?」と俺に聞いてきた。
一応、魔王討伐の為、アスカが戦女として戦場に出て業務に支障が出るからという事で今はフィーネさんがマスター代理となっている。
「そうなってるな、ただいつアスカがギルドに戻ってこれるかだよな……姫様と少し話したんだけど、魔王討伐が終わったら勇者達は各国を回るみたいな話が出てるらしいんだよ」
「えっ、嘘でしょ? 私、そんな話聞いてないわ……」
フィーネさんは、俺の言葉を聞くと絶望した顔でそう言った。
「まだ確定ではないですから……」
「いやでも、その可能性高いんじゃないか? これだけの期間、多くの国々が協力して魔王という脅威を討伐したら、国巡りをさせそうだけどな」
レンのその言葉に更に落ち込んだフィーネさんは、目に涙を浮かべて「アスカだけでも、帰ってきて……」と嘆いた。
その後、俺達は落ち込んだフィーネさんを慰めながら食事を済ませ、フィーネさんをギルドまで送った。
フィーネさんを送り届けた後、いつも通り俺達は解散して俺は宿に戻る事にした。
「……なにもする事ないな」
クロエとレイは二人で模擬戦闘をしてくると言って拠点に行き、レンはいつも通り薬の研究をしにクロエ達と一緒に拠点へと行った。
クロエ達の方に参加してもいいんだが、今は模擬戦闘をしたいという気持ちでもないしな……。
「寝るか」
何もする事が無い俺はベッドに横になり、目を瞑り寝ようとした。
その数秒後、俺は強大な魔力を発する魔物の魔力を感じ取り、その近くに何やら人の集団も感知した。
「王都に残っていて正解だったな、師匠にも出てもらったのに結局襲いに来たか……」
人の魔力に覚えがあった俺は、その魔力の正体が帝国であったある人物の者だという事に瞬時に気づいた。
俺はそれから、すぐに拠点の方へとクロエ達を迎えに行き、魔力のした場所に向かった。
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