第248話 【兵士の訓練・3】
訓練終わり、最近は宿に戻る前に城の浴室で汗を流す様にしてる俺はシャワーを浴びに向かうと、ユリウスと廊下でバッタリ遭遇した。
「ジン君、訓練終わったのかい?」
「はい、今終わった所ですが、ユリウスさん所もですか?」
「うん、今日は少し早めに終わろうと思ってね。あまり詰めすぎても体調が悪くなるかもしれないから、偶には休ませようと思ってね」
「……姫様に怒られたんですね」
「……あはは、自分達のやり方を押し付けすぎるとついて行けない兵士が居るから考えて訓練をしなさいってね」
俺の指摘に対してユリウスは、苦笑いを浮かべてそう言った。
「ジン君達の所は順調だって聞いたけど、どうなの?」
「まあ、いい感じですね。性格等も選考で見て選んだお陰で統率がかなりとれていて、訓練がしやすい環境です」
そう言うとユリウスは「それはいいね」と言って、ユリウスは汗を流しに行ったので俺はクロエ達と合流して宿に帰宅した。
「ねぇ、ジン君。最近、忙しそうだけどちゃんと休んでる?」
その日の夜、夕食の席で心配した様子で姉さんからそう言われた。
「大丈夫だよ。ちゃんと休憩もしてるから、無理は全くしてないよ」
「でも、前はちゃんと数日に一度休日作ってたのに最近は無いよね?」
「あ~、まあ魔王軍が動き出す前に兵士の訓練を終えようとしてるから、一日休暇ってのは作ってないけど、無理はしてないから心配はしなくても大丈夫だよ」
そう姉さんを安心させるように言うと、姉さんの横からヒョコッとルル姉が現れた。
「ジン、ヘレナはただジンとの時間があまりとれないから寂しいだけよ。ちゃんとくみ取ってやりなさいよ」
「ちょっ、ルル!?」
「ジンの手料理が食べれるって知ってから、ヘレナったら今でも細い癖に運動を頑張ってるのよ? それなのに、ジンが時間が無くて手料理を食べれなくて最近元気もないのよ」
ルル姉の爆弾発言により、姉さんは顔を真っ赤にした。
う~ん、まさかここまで姉さんが思い悩んでるとは思わなかったな、いっても数日しか経ってないんだけどな……。
「その、姉さんごめん。気付かなかったよ。一応、予定では明後日は訓練を休みにしようかって話になってるから、その日は姉さんと一緒に過ごす時間にするよ」
「えっ、でもジン君も色々と予定があるんじゃないの?」
「大丈夫だよ。それに久しぶりに、料理もしたいからね」
俺はそう言って明後日は姉さんと一日過ごす事を約束して、その日はどうしようかと話段階だったが完全に休暇にする事にした。
その後、一旦俺の部屋に集まって改めて明後日の予定は一日休暇にすると伝えた。
「私達としても嬉しいかな? 久しぶりに気兼ねなく買い物に行けるしね」
「うんうん、最近は訓練で忙しくて買い物に行けてなかったし、一日休みって事前に分かって良かったよ」
「まあ、俺はいつも通り研究してるよ。特に予定も無いしな」
皆は休みだと事前に知れて良かったと言い、姉さんとの時間を楽しんでねと言ってくれた。
そして翌日、俺は訓練を始める前に姫様の所に向かい、明日は休日にする事を伝えた。
「前々から言ってたものね。ちゃんと休むのよ。兵士達の訓練も大事だけど、ジン達の体調の方が国としては大事だからね」
「分かってますよ。明日は皆それぞれ、しっかりと休んでやりたい事をやる予定です」
「そう。それなら良いわ。ユリウスにはちょっかいかけないように言っておくから、しっかりと休むのよ」
そう姫様から言われた後、俺は兵士達の所に行き訓練を始めた。
「そう言えば、ジンさんって金級冒険者なんですよね? その若さでどうやって、そんなに早く金級になったんですか?」
「そうですね。知ってると思いますが俺は【空間魔法】の素質があって、転移を使う事が出来るんです。転移を極める事でどんなに離れていても一瞬で移動出来る為、その分多く依頼をこなしたりしてたんです」
休憩時間、元冒険者であるルードからの質問に俺はそう答えると「転移ってやっぱり便利なんですね」と羨ましそうに言われた。
「まあ、その他にも金級冒険者に早くなれたのは仲間のおかげでもあります。一人だけでは難しい場面でも、仲間がいたおかげで乗り越える事が出来ましたからね」
「それは分かります。俺も仲間が居たからこそ、銀級冒険者まで行けたと思ってます」
その後の休憩時間は話に花が咲き、俺達の話に耳を傾けていた兵士達と訓練の時間を少し使い俺達の冒険者話をした。
そのおかげで休日前最後の訓練で、より兵士達と仲良くなる事が出来たと俺は感じた。
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