第244話 【戦力強化・4】


 翌日、改めて俺達が教えることになった兵士達に集まって貰い俺達はその人達と挨拶を行った。

 400人も居たら顔見知りが居るかなと思っていたら、俺やクロエが城で生活してた時に一緒に訓練場で訓練してた時の兵士が何人か居た。


「え~、改めて自己紹介をしておきます。俺はジン、そして仲間のクロエ、レイ、レンです。今回は国からの依頼という事で貴方達の教官として配属されました。教える側になった経験が少なく、教え方に問題があるかも知れませんが、そこは色々と話し合って皆さんの力を伸ばして行こうと考えているのでよろしくお願いします」


 代表してそう挨拶をすると、兵士達からパチパチと拍手が送られた。

 それから俺達は取り敢えず、魔法使いとその他の兵士に分かれて訓練を始めた。

 俺はどちらも行けるのだが、レンから「どちらかと言えば魔法のが良いから、ジンはその他の方を頼む」と言われ、俺はレイはその他の兵士達を見る事になった。


「え~、それではまず昨日は大体の実力を見ましたが、今日はもっと実力を見る為に試験を行います。別にこれが悪いからと言って、他の場所に配属する等はないので安心してください」


「あの、試験ってどんな事をするんですか?」


 試験というと、兵士の中でも若手の人からそう質問をされた。


「まずは皆さんの精神力からテストしたいと思いますので、俺の従魔に【威圧】を段階を踏んでやってもらい、どの程度耐えられるのかテストをしようと思います」


 そう言って俺はリウスを呼び出すと、兵士の中から「おお~」と驚く声が上がった。

 リウスははじめて大勢の前に出て来て、少し照れた様子で俺の頭の上に乗った。


「この子の名前はリウス。今はこんな見た目ですが、大きいドラゴンに変身するので、その状態での【威圧】にどれだけ耐えられるのか試験をします。今から、準備を始めますので皆さんも心の準備をしてください」


「きゅ~」


 リウスは兵士に向かって「頑張れ~」と言いたげにそう鳴いて、俺はリウスとレイにこれからやる試験について説明をした。


「ねえ、ジン君。この試験ってやる意味あるの? 戦闘力を上げるなら、手っ取り早く戦って経験を積ませた方がいいんじゃないの?」


「魔王軍の中に精神系のスキルを持つ者を居るから、そいつ等に対処できる兵士を見つけておきたいんだ。実力も勿論大事だけど、精神力が高い人は更に伸ばせる余地があると思うからそういった人達はまた別の訓練をしようと考えてるんだ」


「成程ね。ジン君って本当に色々と考えてるね。私は早く、今の兵士さんがどのレベルなのか戦いたいとしか考えてなかった」


「レイはそれで良いよ。精神力のテストが終わったら、レイには沢山戦ってもらうから」


 そう言うとレイは、「楽しみ~」と笑顔を浮かべてそう言った。

 それから俺はリウスに【威圧】を5段階で出してもらう様に指示を出し、早速試験を始めた。

 まず最初の1段階目は、流石に全員がクリアした。

 そこは昨日の試験が意味があったという事が証明され、続いて2段階目の試験も全員がクリアした。


「あ~、やっぱり3段階目からは人が減ったね」


「まあ、2段階目をクリアできた時点で、ある程度の精神力は皆持ってる事が分かったよ」


 3段階目の【威圧】には200人の内、大体50人が耐えられなかった。

 そして4段階目では、更に全体の8割が耐える事が出来なかった。

 5段階目の試験前に既に残ってるのは2、30人位となり、5段階目の試験に耐えれたのは200人の内3名が耐える事が出来た。


「凄いな、リウスの【威圧】。レベルを抑えてるとはいえ耐えきるなんて、相当な精神力じゃないな」


「凄いね。それにかなり若いよねあの4人」


 試験を耐えきった3人を見て、レイはあの3人と早く戦いたそうとしていた。


「試験お疲れさまでした。15分の休憩の後、次の試験をやるので皆さん体を休めておいてください」


 俺はそう全体に届くように言って、試験に耐えきった3人の元へと近づいた。

 昨日のリストにはこの3人は元々冒険者として活動していたらしく、少し前にこの国の兵士となったと書かれていた。

 冒険者時代は銀級冒険者まで全員なっていて、兵士となった後も3人は共に行動していて魔王軍との戦いに既に何度か出た経験もあるみたいだ。


「試験お疲れ様です」


「あっ、すみません」


 3人の中で一番背の高い男性は、俺がそう声を掛けると立ち上がろうしたが、俺はそれを静止した。


「いえ、今のままで大丈夫ですよ。試験で疲れていると思いますから、どうでしたか試験の内容は魔王軍との戦いで今後必要となってくる精神力を確かめようと思いやってみたんですが」


「その、多分良かったと思います。自分達も何度か魔王軍との戦いに出た事があるんですが、相手の精神系のスキルにやられる兵士を何人も見て来たので、この試験は意味があるものだと思います」


 3人を代表してそう高身長の男性が言うと、他の2人もウンウンと頷いていた。

 リストにはこの3人は性格も良く、冒険者を止めた理由もこれ以上は上にいけないと思って兵士なったと兵士志願した際の理由で言っていたらしい。

 3人の年齢は25らしく、俺より10歳も年上だが15歳の俺に対して出来るだけ敬語で話してくれていて性格いいというのは本当らしいと感じた。

 それから少し他の2人も話をしてみて、この3人は精神力も高く俺とレイで実力を上げたら前線を張れる兵士になれると俺はそう感じた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る