第226話 【悪魔の使い道・2】
宿に帰宅後、クロエ達に監視してもらっていたレドラスを連れて拠点へと移動した。
皆には予め、これからはレドラスが拠点の掃除や点検をすると伝えていて、皆は雑用仕事が無くなって嬉しそうにレドラスにお礼を言っていた。
「……おい、こんなでかい家を俺一人で管理しろってのか?」
「数日にわけたりしたらいけるだろ?」
文句を言うレドラスに対して俺はそう言い返し、レドラスに家の中を案内した。
そうして案内を終えた俺は、レドラスの部屋として一室使わせる部屋に連れて行った。
そこは二階の使用して無い部屋の一つで、特に特別な感じも無い普通の部屋を用意した。
「まあ、悪くはないな……所で俺はこの家の掃除をするって話だが、それ以外は何をしてたらいいんだ?」
「この家で過ごしなら特に制限は設けないが、外出するには俺の同行が必要だ」
「まっ、そうだろうと思ったよ。だが、まあこの家は庭も広いし敷地内でも十分退屈はしなさそうだな……」
「ちゃんと命令通り過ごしていたら、俺もその態度を見て待遇を良くすると思うから真面目に働く事だな」
その後、今日は既に陽が沈みかけているのでレドラスに夕食を用意して、俺は「寝ている間は師匠がお前を見てるからな」と忠告をして宿に戻った。
そして皆と夕食を食べてシャワーを浴び、部屋に入って少しゆっくりしていると部屋にフィオロがやって来た。
「どうしたんだ?」
「話があって来たの、今時間大丈夫かしら?」
「大丈夫だけど、お前が話があるって珍しいな」
「話というより忠告をしに来たのよ。悪魔の最上位種二匹が突然消えた事で、今頃悪魔界は大変な事になってると思うわ、その流れでもしかしたらこっちの世界に被害が来るかも知れないわよ」
フィオロは自分達が居なくなったことで、悪魔界の均衡が崩れて大変な事になってると予想してらしい。
そしてその予想が当たっていた場合、こちらの世界も巻き込む事件が起きるかもしれないと口にした。
ゲームだとそういった事は無かったが、確かに悪魔達であればそうなってもおかしくないだろうな。
「分かった。忠告ありがとな、それにしてもお前がそんな注意をしてくれるなんて思わなかったよ」
「前にも言ったけど、私はこの世界での生活気に入ってるのよ。今更、邪魔されるのも癪なだけよ」
フィオロは以前と同じ様に照れた様子でそう言うと、話はそれだけだったみたいで部屋を出て行った。
悪魔界での問題が、こっちの世界にまで被害を及ぼすか……。
「師匠が予想して言ってた事をフィオロも言ったという事は、ほぼ確実に今後悪魔の問題が人間界で起きる可能性があるな……ゲームだとそういった事は無かったけど、そこは俺の行動の結果だろう」
まあでも、世界的にも闇落ちジンと悪魔かどちらを選べばいいかと問われたら、まだこの世界に来て弱体化してる悪魔の対応の方がマシだろう。
闇落ちジンの場合、それはもう酷い事を世界中に対して行っていたからな……。
その後、今後の対策などを考えながらベッドに横になった俺は、いつの間にか眠りについていた。
翌日、朝食を食べ終えた俺は今日は休日なので皆とは別行動をする事にした。
そんな俺が最初に向かった場所は、隠れ里のエルフの里。
「ジン殿、お久しぶりですな。今日はどういったご用で来たんですか?」
「はい、ちょっと相談事がありまして」
そう言って俺は、今後もしかしたらこの世界に、悪魔達が出て来る可能性の話をした。
「成程、最上位種を二体も倒したという事は、悪魔界での序列に問題が起きそうですね……分かりました。儂等も出来るだけの支援をします」
ギルゼルからそう言われた俺はお礼を言い、ドワーフ族の所にも行き同じ事を伝え、ドワーフ族からも協力をすると言ってもらえた。
そして俺は最後に、魔王軍との戦いの最前線で戦ってる竜人国の元へと行った。
「ふむ、悪魔がこの世界にですか……それは大変おもし、いえ大変な事になりそうですね」
「……」
話を聞いたリュドラは一瞬、悪魔と戦えるかも知れないと考え〝面白そう〟と口にしかけた。
そんなリュドラをジト目で俺が見ていると、リュドラはわざとらしく咳払いをした。
「ジン君、悪魔についても私達に任せていいよ。最上位種となると、私達でも多少厳しいかもしれないけどそれ以下だったら、話を聞く限りだと対処できると思うからね」
「はい、よろしくお願いします」
そうして俺はもしもの時の為に、隠の里のエルフとドワーフ、そして今も絶賛活躍中の竜人国へと協力の申し出をして、全てから協力してくれると返事を貰った。
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