第201話 【約束・1】
グロレとの食事会から数日後が過ぎた。
少し心配だった騒がれるかもしれないという心配は、丁度良く新たな功績をあげた竜人国のおかげで特に騒がられる事は無く平穏に過ごす事が出来た。
「金級冒険者になったからって特に変わった事は無いな」
「そうだね~、まあ私達の場合は低い時から姫様から依頼を受けてたりしてたから、位の高い人から依頼を受けるって事にも慣れてるもんね」
今日はレイとレンが二人で用事があると言って出かけたので、今日は久しぶりに俺とクロエだけの二人。
二人だから特にする事は無い為、それならいつも通り修行をするかと話になり、二人で空島に来て、今は休憩をしている。
「ジン君と出会って、もう三年か~」
「そうだな、出会いは偶然だったけど、まさかここまで長い付き合いになるとは思わなかったな」
「最初はジン君が本当に目立ちたくないけど、仲間が欲しいって思ってて丁度良くその時に私が知り合えたって偶然が重なったもんね」
あの時は仲間になった後にゲームのクロエって事に気付いて、本当に驚いたんだよな……。
出会いから本当に偶然が重なったなと、クロエの言葉に俺も納得した。
「それでいうと、姫様との関係も不思議だよな。最初は姫様の暇つぶし相手だったのに、今もその関係が続いてるっていうのは凄いよな」
「そうだね。姫様との関係も本当に不思議だよね。私もまさか、自分の住んでる国の王家の人達とこんなに親密な関係になるとは思って無かった」
ただの冒険者であったクロエからしたら、そうなる未来は本当に見てなかったと思う。
それから休憩を終え、俺達はこの間までしていた修行と同じ様に模擬戦闘をする事にした。
「ジン君、私久しぶりに体術勝負したいんだけど良いかな? 最近、体動かさなすぎてお父さんに怒られちゃったんだよね」
「そういや、最近実家に帰ってたな。その時にクロムさんから言われたのか」
「うん、戦うぞって言われて戦ったら、ボロボロに負けちゃって魔法ばかりにかまけてないで体も動かすんだぞって」
王都で活動を再開してから、クロエは偶に実家に帰る事がある。
それでつい先日もクロエは実家に帰っていて、その時にクロムから怒られたのだろう。
「体術か俺も久しぶりだから、ちょっと念入りにストレッチしておかないとな」
そう言って俺はクロエは念入りにストレッチをしてから、体術での模擬戦闘を行った。
流石と言うべきか、鈍っていると言ったクロエだが獣人特有の戦闘センスでかなりいい戦いとなった。
元々、そっちの才能がかなりあって今は魔法使いとしてパーティーで活躍してるが、本来はこっちの方が本当はもっと活躍できるんじゃないかなと感じた。
「クロエ、今は魔法でパーティーで活躍してるけど前に出て戦う事に専念したいとか思わないのか?」
「ん~、偶にだけど発散したい時とかはあるけど、魔法使ってて楽しいな~って思うから今はこっちの方がいいかな? それで言うと、ジン君はどうなの? 前は魔法で戦ってるイメージがあったけど、今は前に出てずっと戦ってるよね?」
「正直、俺も好きで前で戦ってるからな……魔法の才能がある事は師匠からもかなり言われたけど、やっぱり今は自分の好きな刀で戦うのが良いかな」
お互いに今の戦う場所とは、違う才能を持つ者同士の俺とクロエはそんな感じに今は満足してると言った。
「レイちゃん達はそれで言うと、自分達の才能にあった所で戦ってるよね」
「ああ、レイは持ち前の怪力で前に出て戦って、レンは支援魔法や普通に魔法を使ってクロエのカバーをしたりと、器用に何でもこなしてるから凄く有難いよ」
特にパーティーとして有難いと思うのは、俺と違って要所要所で器用に役割りを変えているレンの働きだ。
あれは器用なレンじゃないと難しい役割だろう。
「最近になってレン君って一気に凄くなったよね。昔から凄い器用だなとは思ってたけど、マリアンナさん達の修行で一気に凄くなったと思う」
「俺も師匠との出会いは大きかったけど、レンは俺以上に師匠達との出会いは人生を変えるレベルで大きかったと思う。ヘレナーザさんも言ってたけど、才能があっても器用に使いこなす力がある人間はそんなにいないって言ってた。俺もクロエもどちらかというと、色んな才能を持ってるけど、それを使いこなしてるかって言うと違うだろ?」
「うん、私もどっちかになっちゃう。魔法なら魔法、体術なら体術ってなるけどレン君はその場その場で必要な事をしてるから見てて凄いと思うよ」
俺はクロエはそうレンの評価を口にして、本当にレイとレンを仲間にして良かったと改めて思った。
その後、俺達は空島から宿に戻って来て、汗を流して夕食までの時間を部屋で過ごす事にした。
そして夕食の時間になり、下に行くと用事で出掛けていたレイ達が丁度帰って来たので一緒に食事をとった。
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