第200話 【金級冒険者への昇格・3】
翌日、ようやく連絡が届き俺達は試験を受ける為にギルドへとやって来た。
試験内容は予定通り、試験官との1対1での対決形式。
今回、俺達が4人いるのだが相手は一人の試験官が担当する為、順番で受けると説明された。
「大丈夫なんですか、4人と連戦なんて」
「はい、相手の方はかなりの持久力のある方なので心配はいりませんので、大丈夫です」
心配したクロエの言葉にリコラさんはそう言い、俺達は試験を受ける順番を決めた。
試験の順番はレン、クロエ、レイ、俺という順番になった。
一番最初に試験を受けるレンは試験場に行き、試験が後の俺、クロエ、レイは別室で待機となった。
「試験相手の人、剣士って聞いたけどレン君大丈夫かな……」
「まあ、レンは俺達のパーティーだと支援職だけど、普通のパーティーだと魔法使いや剣士としてのやれる程に器用な奴だから大丈夫だとは思うぞ」
元々、勉学に秀でているタイプのレンだったが師匠達の修行を経て、持ち前の器用さを上手く使い剣術・魔法・サポート全てを使えるように成長した。
それから30分程待機室で待っていると、多少服が汚れたレンが戻って来た。
「レン、どうだった?」
「ん、合格した。お先に金級冒険者になったぜ」
レンはそう言って、新しく作られたレン専用の冒険者カードを見せて来た。
それを見た俺達はレンに「おめでとう」と言い、次の試験者であるクロエが試験場へと向かった。
それから一時間後、クロエとレイも無事に金級冒険者に上がり、俺の番が回って来た。
リコラさんの案内で試験場に移動した俺は、そこで待っていた試験官の剣士に挨拶をした。
「初めまして、今回試験を受けるジンと申します」
「俺は金級冒険者のグロレだ。よろしくな」
180㎝程の長身かつ筋肉もガッシリとした男性、細いタイプの剣士であるユリウスとはまた違った感じだなと感じた。
そうして互いに自己紹介をした俺達は、直ぐに試験を始めた。
「ほう。この辺りじゃ珍しい刀使いか、相手をするのは初めてだ」
グロレは俺の刀を見ると、笑みを浮かべるとその体躯に合った大剣を俺目掛けて振り下ろしてきた。
俺はその大剣を刀を使い、地面へと流してグロレの腹部に蹴りを入れた。
その一撃を食らったグロレは「面白い動きするじゃないか」と笑いながら言うと、両手で持っていた大剣を片手で持つと一気に詰めて来た。
「ハァッ!」
「ッ!」
グロレは片手で大剣を振り、更に剣を持ってない方で物凄い勢いの拳を振って来た。
一瞬、驚いた俺だが大剣には刀を使って攻撃を流して、拳の方は片手で受け止めた。
「なっ、俺の拳を片手で受け止めるなんてッ!?」
「これでも鍛えてるからな、それじゃあ次は俺から行くぞ」
そう言って俺はグロレの手を放し、刀を両手で持ちグロレに攻撃を仕掛けた。
「竜刀流三の型・竜の牙」
その攻撃に対してグロレは大剣で受け止めようとしたが、グロレの持っていた大剣は砕け散った。
「……凄い技だなち。文句なしでお前は合格だな」
「ありがとうございました。リコラさん、すみませんギルドの備品壊しちゃいました」
俺とグロレが使っていた武器はギルドの備品。
俺はそれを壊してしまったのでリコラさんにそう謝罪をして、弁償すると言ったのだが、弁償はしなくても大丈夫だと言われた。
その後、グロレから「なあ、お前達ってもしかして少し前まで話題だったパーティーか?」と聞かれた。
「はい。竜人国の登場で話題性が無くなったパーティーですね」
「いや、名前を聞いた時にもしかしてと思ったけど……そうか、お前達だったのか……」
そうグロレは言うと、俺に向かって頭を下げた。
突然、グロレから頭を下げられた俺は困惑して「ど、どうしたんですか?」と慌てて聞いた。
「お前達が救ってくれた街の中に、俺の故郷もあったんだ。お前達からしたら救った街の一つかもしれんが、俺の故郷には無くなった両親の墓があってどうしても取り戻したかったんだ。だけど、俺一人じゃ到底無理だった」
グロレはそう言うと、再び頭を下げ「本当にありがとう」とお礼を言った。
それからグロレはクロエ達にもお礼が言いたいと言い、俺と一緒に待合室に向かい皆にも同じようにお礼を言った。
そして俺はグロレが皆にお礼を言ってる間に、新しく金級冒険者の色に変わった冒険者カードをリコラさんから受け取り、無事に金級冒険者になる事が出来た。
「なあ、この後ってジン達は暇か? 暇なら、お礼として飯を奢らせて欲しいんだが」
そうグロレから言われた俺は、新しく知り合えた金級冒険者のグロレとも仲良くなっておきたいと思い、皆に確認した。
すると皆も同じ気持ちだったので、グロレと一緒に食事をする事になった。
金級冒険者昇格、新しい出会いを祝いその日の昼食はいつもより少し豪華な物を食べ、いつもより楽しい食事をする事になった。
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