第156話 【最強種とのおいかけっこ・3】


 修行一日目は結局、10分間逃げ切る事は成功しなかった。

 二日目も同様で徐々に時間は伸びたが、スカイも徐々に本気を出してきて10分間逃げる事はまだ無理だった。

 そして三日、四日と過ぎ、修行をはじめて五日目、俺は遂にスカイの本気の速度に10分間逃げ切る事に成功した。


「よっしゃぁ、遂に逃げ切ったぞ!」


「おお、遂にやりきったぞあの坊主!」


「すっげぇ!」


 成功した瞬間、俺は雄叫びを上げると、俺の修行を観戦していたスカイと同族であるドラゴン達からも祝福の咆哮をあげられた。

 この五日間ずっと付き合ってくれたスカイも、喜んでる俺の所に来て「ジン、おめでとう」と言ってくれた。


「本気の速度に逃げられたの、これで三回目だよ。一回目は親父、二回目はマリアンナ、そして三回目はジンだよ」


「その並びに入れたのは本当に奇跡に近いな……スカイさん、この五日間修行に付き合ってくれて、ありがとうございました。本当に良い経験が出来ました」


 俺はそうこの五日間、俺のために付き合ってくれたスカイにお礼を言うと、スカイは「楽しかったよ」と笑顔を浮かべてそう言った。


「……それにしても、ジンって本当に凄い成長速度だよね? いくら特殊な力があるとはいえ、たった五日でそこまで転移の技術が上がるって、マリアンナも凄い人を弟子にしたね」


 俺の事をジッと見つめたスカイは感心したような感じでそう言うと、近くに寄って来た師匠にそう言った。


「ふふっ、私も弟子ちゃんがここまで凄いとは思わなかったわ。スカイから逃げるのも一月は掛かるかなって思ってたのよ? それが一週間以内で逃げ切るなんて……もう、本当に凄いわ弟子ちゃん!」


「ちょっ、師匠!?」


 師匠は突然俺を後ろから抱きしめ、俺は身動きが出来なくなった。

 転移で逃げようにも、師匠は何故かその魔法を止めて逃げないようにしてきた。


「ジン、マリアンナって結構感情豊かだからこれから大変だと思うよ。逃げるには、もっと転移の技術をあげないとね」


「スカイさんの次は師匠から逃げる訓練ですか……」


 スカイさんの言葉を聞いた俺は、師匠に抱きしめられた状態でそう呆れながらそう言った。

 その後、スカイとのおいかけっこは終わったので次の修行に移る事になった。 


「師匠、次の修行はどんな事をするんですか?」


「うん、その前に聞いておきたいんだけど、弟子ちゃんのステータスを見せてもらえるかしら? 必要なスキルがあるか、確認しておきたいの」


「良いですよ。師匠ですから、弟子の事は知っておく必要もありますからね。というか、いつ見るのか思ってたので言ってくれて良かったです」


 俺はそう言って、自分のステータスを出して師匠に見せた。


名 前:ジン

年 齢:15

種 族:ヒューマン

身 分:平民

性 別:男

属 性:火・水・風・土・光


レベル:73

筋 力:3197

魔 力:6387

 運 :76


スキル:【鑑定:5】   【状態異常耐性:4】【剣術:5】

    【魔力強化:5】 【火属性魔法:4】 【水属性魔法:4】

    【風属性魔法:4】【土属性魔法:4】 【光属性魔法:4】

    【魔力探知:5】 【身体強化:5】  【瞑想:5】

    【体術:4】   【気配察知:5】  【刀術:5】

    【魔力視:5】  【剣気:5】    【空間魔法:5】

    【空間把握:3】

固 有:【成長促進】【異空間ボックス】

能 力

称 号:神童 加護持ち 銀級冒険者

    魔女マリアンナの弟子

加 護:魔法神の加護 武神の加護 剣神の加護


 前見た時よりレベルが1上がってるのは、多分キングオークジュニアを倒した時の経験値だろう。

 それと新たなに手に入れたスキル【空間把握】は、この修業期間中に手に入れたスキルで名前の通り、空間把握能力が上がるスキルみたいだ。


「ふむふむ、スカイから逃げ切ったって事は【空間把握】も上達してると思ってたけど、スキルレベルが3まで上がってたのね。凄く速い成長ね」


「はい、固有能力の【成長促進】と神の加護のおかげだと思います。これまでも新しく覚えたスキルとか、かなりの速度で上達してたので」


「いい能力を持ってるのね。これなら、私が考えていた以上に弟子ちゃんは私の技を直ぐに覚えてくれそうだわ」


 師匠はニコニコと笑みを浮かべると、次の修行内容について話し始めた。

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