第80話 【褒美・2】


 店の中にある武器は色んな物があった。

 剣タイプの物でも、短剣から大剣まで、またここらの地域では珍しい刀もあった。

 流石、リーザだな、こんなに沢山の武器を揃えてる何て普通の武器屋じゃ、ありえないからな。


「クロエは何か気に入った物見つけたか?」


「う~ん、私はやっぱりずっと使ってるから普通の片手剣が良い気がするかな? 刀ってのも気になったけど、なんだか扱いが難しそうだし」


「そうか、俺は逆に刀に興味が湧いたんだけどな」


 実際、俺の記憶にあるゲームやアニメキャラのよく使っていた武器は刀が多い。

 その為、剣を使う際のイメージは、その刀キャラ達が使っていた技をイメージしたり、自分なりにアレンジして扱っている。


「ジンは刀に興味があるんだね」


「ああ、なんか片方しか斬れないって所も気に入ったな。でも、今までずっと片手剣を使っていたから、直ぐに扱えるか分からんからな……」


「男なら新しい事に挑戦してみたら? それにジンは金には困ってないんだろ、なら刀と片手剣の二つを作ろうか?」


 リーザからそう言われた俺はもう一度、刀を手に取り「それで頼む」と言って俺は武器を二つ頼む事にした。

 それから俺達は、自分達の体に合った武器を作る為に採寸を行った。

 そうして採寸が終わると、武器が出来たら城に連絡を入れると言われ、リーザの店を俺達は出た。


「さてと、用事は終わったな。どうするクロエ?」


「う~ん、そうだね……あっ、昨日の事、フィーネさん達に一応報告しておく? それと御者さんにもお礼したいって言ってたから、渡してもらう様に頼みに行かない?」


 クロエのその言葉に、確かにそれはいいなと思い。

 俺とクロエはリーザの店から、商業区で御者へのお礼の品と、馬への贈り物としてニンジンを大量に買いギルドに向かった。

 そうしてギルドにやってきた俺達は、受付に行きフィーネさんを呼んでもらい相談室へとフィーネさん達ともに移動した。


「王城の方から連絡が来て、大体の内容は聞いています。ジンさん、クロエさんお疲れさまでした」


「兵士より先に見つけてしまう何て、流石ジンさん達ですね。本当に凄いです」


 フィーネさん達からそう労いの言葉を掛けられた。

 それから、ダンジョンでの出来事を話すと、フィーネさん達は〝捨てられた鉱石のゴーレム〟に興味を示した。


「捨てられた鉱石を取り込んだゴーレム……それ本当ですか?」


「はい、普通のゴーレムより硬く、能力もかなり高かったですね。そのおかげで俺達の武器が無くなりましたから」


 そう言いながら、折れた俺達の武器を見せた。

 ポッキリと折れている剣に、フィーネさんは「綺麗に折れてますね」と言った。


「剣が耐えてくれたおかげで俺達は今ここに居ます。本当に最後まで、俺達を守ってくれた優秀な剣です」


 その後、ギルドでの報告を終えた俺達は、御者が乗合所に居るのか聞いた。

 すると今日は、まだ仕事が入っていないらしくと言われ、ギルドが運営している厩舎へと向かった。

 厩舎では多くの馬が居て、他の御者が自分達の馬の手入れや、外では荷台の整備等をしていた。

 そんな所を俺とクロエは、教えてもらった御者が登録している所まで移動した。


「ネルスさん」


「あれ、ジンさんにクロエさん? こんな所でどうしたんですか?」


 俺達が世話になってる御者、ネルスは馬の手入れをしていた。

 そんなネルスに声を掛けると、こんな所に俺達が居る事に少し驚いた顔をした。

 まあ、そうだろうな、普通冒険者が来るような所じゃないからな、それこそ魔物を従魔として契約してる者や、自分で馬を持ってる者くらいだろう。

 ただ普通の冒険者は、従魔なんて持ってないし、馬も基本的に御者任せで、よっぽどの理由が無いと持っていない。


「実は昨日の事でお礼をしたいと思いまして」


「ネルスさんのおかげで、無事にユリウスさんを見つける事が出来たんです。昨日は、本当にありがとうございます」


 俺の言葉に続いてクロエがそう言い、俺も続いて「ありがとうございます」とお礼を口にした。


「それが私の仕事ですから、お礼を言われるような事は……」


「仕事だとしても、それで俺達は助かった事は変わりません。それに昨日は、そちらの馬に本当に頑張って貰ったのでお礼の品を贈りたいと思いまして」


「お礼の品、ですか?」


「はい、こちら本日採れたての新鮮なニンジンです。馬にはやっぱりこれが一番かと思いまして」


 ネルスが手入れをしている馬に視線を向けながらそう言うと、馬は「ヒヒーン」と嬉しそうに尻尾を振った。

 そんな馬の様子にネルスは、断ったら自分の馬が落ち込むと察して「その、ありがとうございます」と大量のニンジンを受け取ってくれた。

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