~愛した君を見つけたい僕~ ストーカー(?)
絶佳(ぜっか)
1 彼女を探し始めてしまう
こんな衝動に駆られたことはないだろうか。昔の好きな人や元恋人をSNSで探したくなってしまうというようなことが、僕にはよくある。いけないことだと決まっているわけではないが、なにか悪いことをしようとしている気分になる。
僕には忘れられない人がいる。中学時代に好きだった人、名前は酒井由衣。彼女が僕を当時好きだったのかどうかは分からない。しかし、まわりのクラスメイトに冷やかされるほどには仲が良かった。僕たちを引き裂いたのはありがちなものだ、彼女の引っ越しである。彼女は愛知から京都に引っ越してしまった。僕たちはその後連絡を取ることもなくなってしまった。
いま僕は大学3年生。なんだか日々に退屈を感じ、昔のことを懐かしんでは昔に戻りたいと思うようになっていた。そんなときにいつも頭に浮かぶのが由衣だった。
彼女が隣にいてくれれば僕はしあわせだろうといつも思う。そんなことを考えるたびに、僕はSNSで彼女を探したくなる。SNSの普及のおかげで今は一般人でも見つけることができることもある。唯一無二のチャンスである成人式に彼女は来なかった。なぜ来なかったのかをみんなに聞いてみたが、誰もわからないそうだ。彼女と親交のあった女性の同級生も連絡先は知らないという。SNSで探すしかないだろう。
僕は彼女を探し出す決心をした。彼女を探すことだけが、今僕のこころを満たせる行為だった。彼女を探すために知っている彼女の情報は、彼女の誕生日、2000年6月23日ということだけだ。
僕は若者の間で一番使われているSNSを開いた。
まずは同級生のフォロワーを辿っていくという方法を実行することにした。今の大学で僕と同じ高校出身の人がいるので、そのひとのフォロー欄を開いた。中にはたくさんの高校の同級生がいた。そこから中学が同じ人を僕は探し出した。
中学の同級生から、僕と彼女と同じクラスだった人のアカウントを探し出した。もしかしたらこの方法で彼女を見つけられるかもしれないと思った。
~愛した君を見つけたい僕~ ストーカー(?) 絶佳(ぜっか) @Zekka27
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