僕の部屋が異世界と繋がったら、勇者と魔王に毎日ご飯を所望されます。
大口真神
勇者と魔王との出会い編
第1話 僕の部屋が異世界と繋がった
昨年の12月から「セイントフォー〜僕にしか見えない“命素”が万能なので、この世界で穏やかに成り上がって行きたい〜」も、しれっと連載していますのでこちらと同じくよろしくお願いします。
---------------------------------------------------------------
ピローン
“Last mission”
「おお〜やっと、やっとこれで最後だ〜〜。」
「よかったなユウタ、これでお前を救えるな。」
「これもひとえに我のおかげだな! 感謝してもいいんだぞ! もっと褒め称えてもいいんだぞ!」
「本当に今までありがとう、
僕は二人に向き合い、手を取り感謝を告げた。
「ふっよせよ、仲間じゃねーかシュークリーム。」
「もっとだもっとほめ讃えよ! カツカレー!」
…さらっと要求するところが二人らしいというかなんというか。出会った頃から変わらないなと思いふっと笑ってしまった。
「二人から勇者と魔王と聞いた時は、絶対に詐称だと思っていたけど本物でよかったとつくづく思うよ。」
「ひど! そんなふうに思っていたのかよ! 抗議する! そしてシュークリーム10個を要求する!」
「もっとだもっとほめ讃えよ! カツカレー10杯を要求する! 至急支給!」
…さらっと倍要求するところが二人らしいというかなんというか。
「二人と初めて出会った時は僕がまだ高校2年生だったもんな…」
「おいユウタまさかお前、回想に入るつもじゃないだろうな?」
「まだ今からミッションなんだぞ! クリアする前にフラグを立てまくる気なのか?」
僕の部屋が異世界と繋がったら勇者と魔王に毎日ご飯を
「「やめろ〜〜昔を振り返るな〜〜〜〜〜〜〜」
そんなフラグは僕がへし折ってやる!
「僕、このmissionが成功したら結婚するんだ! へへっ」
どうして現代日本の平和な町のど平凡な僕の部屋に、異世界の魔王と勇者に出会ったのか最初っから語りたいと思う。
「死亡フラグ要回避! 回想無理無理発動!」
ピチューーーーーーーン
-----------------------------------------------
僕の名前は三ツ俣
炊事、洗濯などの家事全般を全て自分でやらないといけないからだ。それに加えて勉強もしなければいけないので、はっきり言って過酷だ。
まだ、彼女でもいればその1人暮らしのデメリットを相殺できるぐらい…いや、それ以上のメリットを享受できたのだろうが…あいにく僕は平凡な男だ…彼女いない歴17年だ…言わせんなよぐすん。
そんな孤独な日曜日の夜11時58分、僕は今日最後の家事である洗濯物の部屋干しをいつもより早く終え1日の疲れからすぐふとんに入った。ウトウトしながらもお気に入りのYOUTUBEを流し見していると…
ゴゴゴゴゴゴグオオオオオオ
遠くの方から響く、地の底から湧き上がるようなものすごい地鳴りの音と共に部屋が揺れだした。縦揺れではなく横揺れだった。
「わっわわあああああ」
思わず声に出してふとんの中でうずくまって揺れが収まるのを待った。
実際は10秒ぐらいだったのだろうがものすごく長く揺れを感じた。体感的に震度5以上あったのではないだろうか、あ~怖かった。
ふとんにうずくまっている時に耳元で「カチッ」となにかのスイッチが入った音が聞こえたような気がしたが、気のせいだと思ってそれ程気にかけなかった。
揺れがおさまったのですぐにスマホの地震情報を確認する。
あれ、おかしいな? まだ速報が出ていないのか? あんなにも大きく揺れたのに…
情報が遅延していると思い今度はTVをつけザッピングするがどこの局も速報はない。マンションのベランダの窓を開け外を見るも地震が起きた後という慌ただしさを感じない静かな深夜0時過ぎだった。
さっきの地震は何だったのかと疑問に思ったが、どこにも速報らしき物があがらない以上僕はいぶかしながらも1日の疲れか、布団に入るとすぐに意識を手放した。
今思うとこの地震が僕の部屋と異世界を繋げた時に起きた異変だったのかもしれない。
事件はその日の晩飯時に起こった。
ーーーーーーーーーーーーーー
「はああああ疲れた。今日も疲れた。」
もちろん誰もいないので独り言だ。一人暮らしになってから独り言が増えたような気がする。僕は部活動に所属していない。授業が終わってちょっとだけ友達とだべったりして帰る。毎日ではないが帰り道にあるスーパーへ寄って、夕飯の材料や朝食べるパンなどを買いだめしたりする。
今日は惣菜のカツと食後のデザートのシュークリームとプリンを明日の分も含めて2つずつ購入。スーパーのデザートは安いが意外においしい。コスパが良いと思う。仕送りで生活している僕には十分なご褒美デザートだ。
家に帰って惣菜のカツを玉ねぎやめんつゆを入れて卵で綴じ、カツ丼にした。カツだけで食べても良いが洗い物の事を考えて丼ぶり1つで済むようにと考えてだ。まあ、だいたい卵で綴じればうまい。むしろ卵だけで綴じた玉子丼のほうが好物だ。安いし。
1DKだが自分はキッチンではなく、ベッドのそばにある小さい折りたたみテーブルで食べている。ベランダの扉を前に手を合わせ手抜きカツ丼を食べようとした時…目の前のベランダの戸が軽快な音をたてて開いた。
カラカラカラ…
「は?」
「は?」
「えっ?」
「えっ?」
僕はあまりの突然の出来事に唖然としてしまい。思考が停止してしまった。3階のマンションのベランダの戸から入ってきたのは西洋風な顔立ちの瞳がエメラルドグリーンが特徴的なイケメンだったのだ。だが服装がアニメや漫画でお馴染みの冒険者風装備を身にまとっていた。
お互い10秒くらいフリーズした後に同時に叫びだした。
「「ど、どろぼ〜〜〜う」」
二人同時に叫んだ。
「いや、お前が泥棒だろ!」
「そっちが僕のマンションに侵入してるし!」
「はっ? まん…なんだそれ、ここは俺の…」
男は改めて辺りを見回して驚いた顔をしている。
「は〜〜? どこだここは! 俺は自分の部屋に…」
男は再度ベランダの戸を開けて外に顔だけ出して確認している。そして何度も確認した後、ベランダの戸をぴしゃりと閉め僕を見下ろす。
「…繋がってた。俺の部屋が異世界と繋がってた。」
「異世界…って………どゆこと?」
「ん〜〜〜ちょっと待って! 俺も今頭の中整理したいから。」
そう言って男は僕のベッドに座って考え込んでしまった。
くうううう〜
僕のお腹の虫が鳴った。何が何だかわからない興奮状態でも体は正直だ。丁度食べる寸前の出来事だったのでカツ丼を食べるのを忘れていた。男が考え終わるまでご飯を食べていようと箸でカツを持ち上げて食べようとしたら…
「何そのうまそうな匂いの食べ物?」
男はカツ丼にくっつきそうなぐらい顔を近づけてガン見した。
「えっ僕の夕ご飯なんだけど…食べた『食べたい!』の?」
男は食い気味に答えた。
…しょうがない。
「じゃあ分けてあげるからちょっと待ってて。」
僕は分ける食器を持ってこようとキッチンの方に向かおうと立ち上がると…
ガチャ
今度はクローゼットの中から背の高いローブを着た女の人が出てきた。
「は?」
「は?」
「えっ?」
「えっ?」
お互い目の前で立ち尽くし、僕は今日2回目の素っ頓狂な声を上げた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます