第14話 ゆり籠の中で

 今日はやけに静かだ。ここは都心から離れているとはいえ、あまりにも静かだった。

 目が覚めたので、TVをつける。砂嵐ばかりで何も映っていない。

 「ふむ。故障かはたまたメンテナンスだろうか」

 しかたがないので、インターネットをつけた。しかし何処にも通じない。

 「故障だろうか。TVも使えないとなると困ったな」

 業者に電話をしてみる。しかし電話も不通だった。うんともすんとも言わないのだ。

 「これは本格的に困ったな。やる事がなくなった」

 しかし、俺は慌てる事がなかった。仕事をしていない俺は、日がな一日のんびりできるのだ.

 「酒でも飲むか」

 俺は酒を飲んで眠る事にした。睡魔がだんだんやってくる。

 目が覚めると、昨日と変わらない一日だった。TVもインターネットも通じない。

 「腹が減ったな」

 冷蔵庫の中に食料はまだある。俺は食事を済ますと考え込んだ。

 「さて。やることが無くなった」

 TVの下にゲーム機が有ったので、それを引っ張り出した。これは時間をつぶせそうだ。

 ゲームを始めるとすぐ夢中になった。これで一日退屈しなくて済む……。

 次の日。雨の音で目が覚めた。どうやら雨が降ってるらしい。

 カーテンを閉め切ってるので雨が降る音だけが聞こえる。

 最も外に出る習慣が無い俺には関係の無い事だ。

 TVもインターネットも不通のままだった。電話はする気がしなかった。

 「早く工事してくれないかな」

 俺はそんなことを思いながら、ゲームをつけた。今日もこれで1日を過ごせる……。


 ここはラジオスタジオの一室。廃屋同然のその中に数名のスタッフがいた。

 スタッフは全員満身創痍。あるものは怪我をし、あるものは顔が煤けていた。

 報道をしなくてはいなければならないという使命感だけが彼らを動かしていたのである。

 「いよいよ黒い雨が降ってきました!」

 ラジオキャスターは興奮気味に話し始めた。。

 「某国の核ミサイルが落下して3日。首都機能は完全に消滅し、復興のめどはたっていません──」

 TV局が壊滅した今となってはラジオだけが状況を伝える唯一の手段なのだ。最もこれだけの大事件を知らない物など居ないだろうが。

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